Holidays ゲイズ(gaze)
『判断の基準』
このHolidays(書庫)記事は、『今のところ、弁護士と縁もユカリも無い』 そんな皆様のアフタータイムや休日にお読みいただきたい記事として発信するものです。
この 『ゲイズ (gaze)』は、注視が必要 と思われる実態・事件について、一定期間経た後の今を発信します。

神奈川県警 地域課警察官 8発発砲 (1月20日)
先月20日に、『神奈川県警 地域課警察官の発砲』 の報道がありました。
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日本経済新聞 WEB(2017.1.20)
『 刃物で抵抗の男に警官が8発発砲 神奈川県警 』
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO11921020Q7A120C1CN0000/
20日午前6時10分ごろ、神奈川県三浦市初声町下宮田の住宅で、住人の男(34)が父親(67)に刃物で襲い掛かる事件があった。駆け付けた三崎署地域課の巡査長(30)と巡査(21)が殺人未遂容疑で男を現行犯逮捕する際、刃物を持って向かってきたため計8発を発砲、複数が腹部などに命中した。
地元消防によると、男は意識不明の状態で病院に運ばれた。父親も顔を切られるけがを負った。
後藤俊一副署長は「被害者と警察官の生命に危険が及び、拳銃の使用はやむを得なかったと考えるが、事実関係を調査している」としている。〔共同〕
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被害者を救うため、もしくは自分の身が危険に晒された場合の反撃行為、これらは『正当防衛』です。
(襲う)相手が凶器を持って、現に傷を負わせ、なおも攻撃姿勢を緩めず半狂乱にも近い状況が窺える・・この様な際、反撃すること自体当然何ら問題ないし至極当たり前の対応であることには何の疑問もありません。
ただ今回の件、このような状態を警察官でなく、第三者(通りかかった人)など一般市民が行えば如何様な判断になるか、疑われないのか・・は、大いに疑問が残る。
今回の状況ならば、『如何様に発砲(反撃)しても仕方ない、当然だろ!』と思われる方も少なくないかと思うし、確かにその一面はあります。
疑問というのは、今回のような状況の事後責任論について、警察官の場合と助太刀した市民の場合で、事後に差が無いのか?である。
日本には、『正当防衛』 に見えても、刑罰が課せられる 『過剰防衛』 もある。
今回の要点は・・・
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被疑者(犯人)は1名、警察官2名
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被疑者は刃物を使って錯乱状態
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警察官の生命に危険が及んだため
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拳銃8発の発砲、数発命中
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被疑者は5箇所負傷、意識不明の重体など。神奈川県警、当時の発表を見ると、『警察官2人は自らも命の危険を感じるほどの犯人との距離(接近)だった。発砲は8発で5箇所被疑者に命中した。』刃物を持つ被疑者との距離は命の危険を感じるほど接近戦。そんな警察官2名に向けて被疑者が更に接近する状態。発砲8発して5発命中。つまりは、5発命中するまで被疑者は怯むことなく襲い掛かってきた、ということなのだろうか。繰り返すことですが決して、錯乱状態の被疑者が襲う場面で、救助者が必死になることを問題視しているのではありません。このような状況を警察官なら安易に正当防衛として認めて、市民の場合には認めないということが無いか?という “差” が無いか。そして、今回警察官であるからこそ もう1点。普段の訓練は役立たないのか?拳銃の使用訓練、いわば射撃の訓練です。中途半端な訓練で合格基準も無く、拳銃を発砲できるとしたら、由々しき実態でもあります。警察官が命の危険を感じるほどの接近戦。被疑者1名刃物に対し、警察官2名が拳銃で応戦。8発も発砲し5発命中させなくては犯人の攻撃を抑えられないという、警察官としての職能技術言うべき発砲技術です。また、通常人では冷静に対処できない急迫した実態、それが事件現場でもあるでしょう。では何故、過剰防衛という刑罰があるのでしょう。正当防衛と過剰防衛については、こんな記事があります。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・プレジデントオンライン『 正当防衛と過剰防衛の境界線はどこにあるか 』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・相手がもう攻撃をやめているのにまだ殴り続けたとか、刃物で襲い掛かられた場合には猟銃で反撃は過剰防衛・・だそうです。この警察官の行為が『正当な職務』『正当防衛』が早々に成立するならば、一般市民も当然同見解で進めるのが『刑事法』でしょう。更に今回は、警察官の社会教育と公正な発表に疑問符が多々存在する神奈川県警だからこそ、こんな疑問が強く感じるのかもしれませんが・・半年前も、死亡事故について当初発表を変えた神奈川県警です。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
産経ニュース
死亡事故はパトカー追跡中 「見失った」との説明、神奈川県警が訂正
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神奈川県警は、警察官の問題に対して事後、明確にする務めが見られない事象が多々存在します。
1月20日の発砲事件、県警は 「事実関係を調査している」 と発表しました。県警による事後調査そして結果発表、説明責任を然りと果たしているのでしょうか。
それとも、既に結果は発表したが、マスコミが報道しないだけでしょうか。
我々が配信する神奈川県警の不祥事問題 【責任の行方 『警察官非違行為 ①』 】
に触れる非違事象も、他警察官に蔓延している非違事実がありながら、県警は一切処分していない疑いも強く浮上してきました。
これらは後日、お伝えしていきます。
日弁連 異例の決定
先日当会ブログでも配信しましたが、依頼を受けた弁護士の提訴・提訴内容を理由について懲戒理由とする前例なき異例な決定がありました。
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当会ブログ記事
『 AV出演拒否で女性に賠償請求 提訴の弁護士「懲戒審査相当」 日弁連異例の決定 「正当な活動」反論も 』
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単位弁護士会で懲戒請求棄却した事案について、日弁連へ提出された異議申出で日弁連綱紀委員会が『懲戒相当』の議決をしたものです。
まだ、懲戒処分と確定していません。
この判断で 『懲戒』 となるならば、一歩でも前進したものでしょう。
しかしながらその評価は“今回だけ”ではないのでしょうか。
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(産経ニュース 2017年1月19日配信)
日弁連の綱紀委は28年12月、「訴訟活動は弁護士の本質的職務で、提訴が懲戒理由とされるのは極めて例外的な場合に限られるべきだ」としつつも、
(1)提訴はこの女性や同様の立場にいる女性にAV出演を強制する行為とみなされる恐れがある
(2)請求額の妥当性や、提訴が女性の心理に与える圧力などを十分に検討していない-
などとも指摘。

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宮崎県弁護士による 『被疑者弁護人、強姦ビデオで取下げ強要』が過去にあります。概略は当会ブログ『Holidays 『人権~性犯罪被害~NO.2』をご覧下さい。
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当会ブログ記事
Holidays『人権~性犯罪被害~NO.2』
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この宮崎県の弁護士に対する懲戒請求は宮崎県弁護士会で棄却されています。
とある団体が1万を超える署名が集めて、弁護士に対して懲戒請求しましたが棄却でした。
今回、日弁連綱紀委員会が『懲戒相当』と示す要件2つには・・・
① 『女性や同様の立場にいる女性にAV出演を強制する行為とみなされる恐れ』
これを『被疑者弁護人による強姦ビデオで取り下げ強要』は、宮崎県弁護士会所属弁護士12名が『取り下げ交渉は正当』という反論示していたことからも、通常行われている弁護士業務と窺われます。
② 『女性の心理に与える圧力などを十分に検討していない』
強姦ビデオ取下げ強要も依頼人(被疑者)の弁護士が、率先して取った行動です。
なぜ、この事件、棄却なのでしょう。
日弁連に異議申出したからこそ『懲戒相当』となるのなら、このとある団体の責任者は『猛省しなくてはならない』でしょう。
今回 『ヒューマンライツナウ』の活動である『AV出演強要問題』に深く関係する訴訟事件、その対峙した相手側弁護士に対する日弁連 『懲戒相当』 判断です。
これも 事実 です。
今回の判断が懲戒委員会でも懲戒処分として通れば、AV企業側の弁護士は任務を避けるでしょう。新たには弁護士の誰もが就きたくない。
当然、悪しき企業は是正すべきで、悪しき手法を絶つことは大事です。但しそれはAV問題に留まりません。
他方、企業側の弁護士が離れていくAV強要問題の今後は、訴訟もせず安易に企業から賠償得ることも可能となるのではないでしょうか。日数掛けず弁護士業務が果たせる。
重要なことは今後、他事案との度量・比較です。
今回の件を、画期的判断と賛美できるか否かは、今後の判断実績にかかると思います。
単位弁護士会や日弁連が『依頼人の利益』だけではなく、『社会的利益の実現』についても、以降も懲戒判断の基準とするのか、gaze(凝視・注視)しましょう。
AV強要問題、事後のセーフティネット構築も重要なことは言うまでもありません。
しかし、予防なる両輪があってはじめて、目的に達するものと言えるのではないでしょうか。
ヒューマンライツナウは、弁護士業務ではありません。
ヒューマンライツナウ
国民生活センターが取り上げるようになった今、セーフティネット構築は一山越えたのでしょう。ならば、NGO活動として最も重要なこと 【予防】 に尽くすことではないでしょうか。
強要行為など被害が出るなど、弁護士に頼らないで済むように “予防” です。
問題の芽を摘む 『そもそも』 も改善、 『予防』 がNGO活動では重要では?

このあたり予防の意義など この後配信記事 『Holidays 『人権~性犯罪被害~NO.4』 でお伝えします。
判断の基準 Gaze(凝視・注視) しましょう。
(七人の記者班)