【大量懲戒請求】『令和4年2月1日福岡地裁判決 判決書内容』   弁護士脅迫調査委員会

『令和4年2月1日福岡地裁判決 判決書内容 』

ここ最近、「余命三年時事日記」というブログが発端となったいわゆる『”大量懲戒請求”訴訟の報道もめっきり』減りました。

反面、大量懲戒請求「訴訟」について報道があると、事実を伝えないマスコミの実態が浮き彫りになっています。

マスコミ自ら取材に走り事実を確認するという原点を健忘し、利害関係者の投げ込み等々などと思われる一方の “宣伝活動” をそのまま発信、もしくは記者など個人信条に成り下がった誘導記事で、有料の紙面、有料ネット配信なされているともいえるのではないしょうか。

今月は数回に分けてその実態を発信していきます。

先ず、今月1日に判決成された福岡地裁判決書内容をお伝えします。

(短時間での書き写しのため、誤字脱字等あるかもしれませんがご容赦ください、被告の氏名は個人情報のため(被告・・被告・・ら)としました。

令和4年2月1日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

令和2年(ワ)第3278号 損害賠償請求事件

口頭論終結日 今和3年10月12日, 

 判 決

川崎市中原区新丸子東2895 蔵小杉ATビル505号室

 宋恵燕

同訴訟代理人弁護士  神原元 永田 亮 

被告 選定当事者 

(以下被告・・」という) (選定者別紙選定者目録記載のとおり)                         .

(以下,上記5名・・を併せて「被告・・ら」ともいう

上記5名訴訟代理人弁護士 野 

主 文

1、 被告・・ (定当事者),原告に対し,別紙選定者目録記載の各選定らのため,各5500円及びこれに対する平成29年12月13日から支済みまで年5分の割合による金員を支払え

2 被告・・ 被告・・ 被告・・ ,被告・・ 、被告・・ 被告・・,及び被告・・は,原告に対し,れぞれ5500 及びこれに対する平29年12月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 

3 原告のその余の請求をいずれも棄却する

4. 訴訟費用は,原告に生じた費用の420分の14と別紙選定者目録記載の選定者らに生じた費用の20分の1を被告(選定当事者の負担とし. 原告に生じた費用の420分のを生じた費用の20分の1を同被告 らの負担とし,原告に生じた費用の420分のと被告・・ に生じた費用 の20分の1を同被告の負担とし,原告に生じた費用の420分の1と被告・・に生じた費用の20分の1を同被告の負担とし,その余を原告の負担とする。

5 この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。 

事実及び理由

第1 請求

 1 被告・・ (定当事者),原告に対,別紙選定者目録記載の各選定らのために,それぞれ11万円及びこれに対する平成29年12月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え

2 被告7名及び被告・・は,原告に対し,それぞれ11万円. 及びこれに対する平成29年12月13日から支払済みまで年5分の割合によ 

る金員を支払え。 

第2事案の概要等 

1事案の概要 

本件,弁護士である原告が被告・・ら及び選定者らにおいてそぞれ原告を対象弁護士とする違法な懲戒請求を行ったことにより精神的苦痛を受けたと,被告・・ら及び選定者対し,不法行(709)に基づき,それぞれ損害金11万円及びこれに対する不法行為の日の後又は不法行為日でる平成 29年12月13日から支払済みまで民法(成29年法律第44号による改正前のもの以下同)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である

2 提事(当事者間に争いのない事実並びに証拠の後に掲特記ない限り枝番を省略す及び弁論の全趣により容易に認められる事実公知の事実を含む)

(1) 原告は,神奈川県弁護士会に所属する弁護士である。 

(2) 奈川県弁護士会会長は,平成29年3月9日,神奈川に対し,神奈川朝鮮学に通う児童生徒へ学費補助を行うことを求める会長声(以下件声明」いう)発出した。 (甲15)

(3)余命三年時事日記というブログ(以下本件ブログ」というなおブログとはウェブサイトの一,簡単に作ることができることから日記の公開や意見の交換等に使われる)存在するところ,別表記載のとおり,別表番号1ないし9の者は平成29年11月13日までに,別表番10ないし21のは同年12月13日までに,を対象弁護士として下記の懲戒事由の記載(本件各記いう)る懲戒請求(本件各懲戒請求書という)に各自署名又は記名し押印の,本件ブログの運営者が指定する場所に本件各懲戒請求書を送付し。 

            記 

「違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛,容認し,その活動進することは,弁連のみならず傘下弁護士会および弁護士の確信的犯罪行為である(戒事由①という)

直接の対象国である在日朝鮮人で構成される在日コリアン弁護士会との連携も看過できるものではない(以下懲戒事由②いい併せて件各懲戒事いう

この件は別途,外患罪で告発しているところであるが,今般の懲戒請求,せてその売国行為の早急な是正と懲戒を求めるものである」 

(甲5ないし1 3, 20の1~7.9~22)

(4) 別表記載とおり,表番1ないし9の者は平成29年11月13日神奈川県弁護士会受付の請求書により,別表番号10ないし21の者は同年12月13日同受付の請求書により,件各懲戒請求書を取りまとめた者を通じて神奈川県弁護士会に対して本件各懲戒請求書を送付し,原告について 弁護士法57条1項所定の懲戒を求めた(以下「本件各懲戒請いう) (甲20の1~7.9~22) 20.

(5) 神奈川県弁護士会から同法58条2項に定める本件各懲戒請求の調査を求められた,奈川県弁護士会綱紀委員会第二部会は平成30年4月4日に同第一部会は同年8月1日,別表記載のとおり,法58条4項に基づき,本件各懲戒請求につい,ずれも懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする議決をした。 (甲1ないし4

第3 争点及びこれに対する当事者の主張 

1 本案前の主張(争点1)  

 (被告・・の主張)

本件各懲戒請求にかかる調査は神奈川県弁護士会が一括送付された本件各懲 戒請求書をあえて2つのグループに分け,同一の懲戒求を2度にわたり調査した不当なものであり,本件訴えは,暴利を得ることを目的とし,選定者らの 同意なく違法に神奈川県弁護士会から情報提供された個人情報に基づいて行われたものであから,無効である。 また,件訴え,原告が先行して提起た大量懲戒請求にかかる損害賠償と同一であって二重起訴に該当して無効である

(原告の主張) 

否認ないし争う。 

本件訴えは,暴利を目としたものではな,川県弁護士会が,調2回にわたり行ったこと,選定者らの個人情報を提供したことに違法はない

2 本件各懲戒請求の違法性等(争点2) 

(原告の主張)

 (1) 本件声明に不当性はなく,在日コリアン弁護士協会が日弁連に多大な影響を与えているとい事実はない上に,原告は,本件声明を公表した弁護士会に所属するにどま,会長や副会長その他の役職になく,本件声明の発出に何ら関与せず,本件声明を支持する旨の意見を表明した事実もない。 

したがって,本件各懲戒事由が事実上又は法律上の根拠を欠くことはして明らかであって,本各懲戒請求は事実上は法律上の根拠を欠く,して弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠く場合におい請求,そのことを知りながら又通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得のに,あえて懲戒を請求すなど,懲戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認めら れるときには,違法な懲戒請年求として不法行為を構成する(最高裁平成19 年4月24日第三小法廷判決民集61巻3号1102頁以下平成19 年最高裁判決いう。)

(2) 被告・・らは、一見して戒事由に当たらない懲戒請求違法でないと主張するが,戒請求制度は,護士が基本的人権の擁護と社会的正義の実現を使命とするとを前提に,その使命の達成が困難となり,いては国民の基本的人擁護が全うできななるこを防止するために自治団体である弁護士会及び日本弁護士連合会に所属弁護士への懲戒権限を付与したものであるから,一見して明らかに懲戒事由に当たい事由で懲戒請求を行うこ,弁護士懲戒制度の趣旨に反し,違法である

(3) 本件各懲戒事由が懲戒事由にならないはその記体から了解することができるものであり,被告ら及び選定者らは本件各懲戒事由が事実上又は 法律上の根拠を欠くことを知っていたさらに,本件ブログには種差別的記載があり,被告ら及び選定らは, 本件ブログに賛同し本件各懲戒請求に及んだのであるから,件各懲戒請求は差別的意図でなされたのである。 また,被告ら及び選定者ら,各懲戒請求をするに当たり,なくとも弁護士に相談するなり相応の検討を行う必要があったのに本件ブログに従 って本件各懲戒請求に及び,何ら調査をしなかったか,少なくとも過失がある

(4) たがっ,本件各懲戒請求は事実上又は法律上の根拠を欠くところ,被告・・・ら及び選定者らは故意又は過失により本件各懲戒請求を行ったものであ, 本件各懲戒請求,弁護士懲戒制度の趣旨を逸脱した違法ものである

(被告の主張

(1) 否認ないし争う

本件声明は神奈川県弁護士会の会長名で公式に発出されており,その内容弁護士会の所属弁護士の総意であると理解されるから,構成員である 原告につい,本件各懲戒事由を理由として行った本件各懲戒請求には根拠がある。 また,最高裁平成19年判決は,弁護士が紛争当事者の相手方弁護士を懲請求した事案であり,同一書式によって多数人が懲戒請求を行った本件とは事案が異なる

 (2) 件声明は憲法89条に反し,的に日本人の生命財産を脅かしている選定者らは,治的意見表明のために懲戒請求を行ったものである原告本件各懲戒求を人種差別目的であるとする根拠は本件ブログであるが,ブログは公益目的のもので人種差別主義をあおるものではない仮に,件ブログに人種差別的内容が含まれるとしても,選定者らは本件ブログの読すぎない原告は,強引に人種差別を結び付け,差別主義者のレッテルを貼るものある(3) 一般の懲戒請求者に対して,戒事由について事実上及び法律上裏付ける。相当な根拠について高度の調査,検討を求めることは,懲戒求を萎縮させ るものあり,戒請求が広く一般の人に認められていることを基盤とする 護士懲戒制度の目的に合致しないから,調査,討を求めることによって懲戒請求を制限すべきではない

(被告・・らの主張)

 (1) 否認ないし争う

 本件各懲戒請求は一見して事由に当たらないことが明らかな懲戒請求であるから懲戒処分となる危険性がなく損害の生じる余地がないから,法性がなく,不法行為は成立しない。 また,最高裁平成19年判決は紛争当事者間の懲戒事由該当性が問題となる事案であるところ,件は第三者による一見して懲戒事由に当たらとが明らかな事由による懲戒請求であるから,本件に最高裁平成19年判決は妥当ない。 

(2) 被告・・らは自らの意思で懲戒請求書に署名したものの,本件ブログを読まずに知人から依頼され懲戒請求書を提供されたか又は本件ブログを熟読せずに書式をダウンロードしたにすぎず,人種差別の目的はなく,自らの政治的主張を表明する手段として本件各懲戒請求を行ったものである。 

3 損害の有無及び額(争点3)

(原告の主張)

原告は,人種差別を目的とする本件各懲戒請求によって,,名誉,名誉感情を侵害され,護士業務に対する支障を受け,精神的苦痛を被っ具体的に,種差別目的の本件各懲戒請求によって原告の人格権が侵害されて強い恐怖,屈辱等を受け,また,本件各懲戒請求によって,弁護士ないし個人と しての信用及び名誉並びに職業人として有する誇りである名誉感情が毀損され, さらに,記録の管理及び利益相反の確認を行うという負担を負,弁護士としての行動等を萎縮させられ,新たな顧客獲得の機会を喪失するなどの弁護士に対する支障を受けて精神的苦痛を被った。 

その損害は,被告ら及び選定者らの懲戒請個別に生じ,同じ理由で大量の懲戒請求がされたとしても,々の不法行為による損害は希釈されない. . 本件各懲戒請求による慰謝料は,それぞれにつき10万円であまた,各懲戒請求と相当因果関係がある弁護士費用は,それぞれにつき1万円である

(被告の主張)

否認す。 

選定者らは人種別目的で本件各懲戒請を行っておらず,の損害に関する主張はいずれも抽象的ものにすぎないか,原告に生じた損害はない

(被告らの主張

否認する。 

被告・・らは人種差別目的で本件各懲戒請求を行っいない各懲戒事由が弁護士法所定の懲戒事由にならないこは一見して明らかであり,本件戒請求によって低下する名誉や信用はな,原告の名誉感情が毀損されることはないまた弁護士という法律専門職に従事する原告が本件各懲戒請求に よって負う負担は受忍限度の範疇であり,原告の業務に対する影響の主張は抽的なものにすぎないしたがって,本件各懲戒請求によって,原告に個別に生じた損害はない。 

原告の主張は,件各懲戒請求が大量になされたことを前提とするものであ,個別不法行為に基づく請求であることと整合しない。 

4 損害の填補の成否ないし他の懲戒請求者による和解の影響の有無(争点4)

(被告・・の主張)

原告は,件訴訟に先立,選定者らと同一の懲戒事由で懲戒請求を行った者に和解金の支払を求める示談書を送付し,和解金を受領しから,原告の損害はすでに補填されている。 

(被告・・らの主張) 

本件各懲戒請求を含む多数の本件各懲戒事由同一内容の懲戒事由に基づく 戒請求,すべて本件ブログの営者が特定の弁護士に対して懲戒請求をことをびかけて,懲戒請求者がこれに応じというものでるから,なくとも首謀者たる本件ブログの運営者と個々の懲戒請求者との間で共同不法行為が成立するして,原告には本件各懲戒請求によって個生じた損害はなく,原告の主張する損害は大量請求を前提とする全体として1つの損害であり,の損害額は100万円を超えることはないところ,原告は,既に数百万円の賠償金を得たか,原告の損害賠償請求権は他の懲戒請求者による弁によって既に補填されている。 

(原告の主張) 

否認す。 

個別不法為と共同不法行為の訴訟物は別個であり,原告は個別不法行為にく請求をする以上,被告らは共同不法行為者による弁済の抗弁を主張でき,件で共同不行為が成立するかは審理の対象とならない。 

原告が本件各懲戒請求を含む多数の本件各懲戒事由と同一容の懲戒事由に 基づく懲戒請求に関して数百万円の和解金を受領したことは否認する被告・・・らが提出する和に係る証拠,本件別事案に関するものである

第4 当裁判所の判断

1 被告・・及び被告・・・関係 

被告・・及び被告・・・は,適式な呼出しを受けながら本件口頭弁期日に出頭せず,答弁書を提出しないか,請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして,これを自白したものとみなす(なお,慰謝料の額は法的(に関するもので自白は成立しない)

2 認定事実 

前記前提事実に加,証拠(事実の後に掲)及び弁論の全趣旨によれば, 下の事実が認められ

(1) 神奈川県弁護士会会長は,平成29年3月9日,神奈川県知事が神奈川県の朝鮮学校運営する学校法人に通う児童及び生徒に対する平成28年分の外国人学校児童生徒学費軽減事業補助金についての交付決定を留保し,さら平成29年度の当初予算案に計上しないとを明らかにしたことについ,本件声明を発出した本件明は神奈川県弁護士会会長個人名での声明であり,本件声明内には神奈川県弁護士会の決議を経たなどの記載はない (甲15)

(2) 原告,記補助金の交付決定留,予算非計上に関し,自らの立場明らかにたことがなく,件声明の作成過程に関与しなか

(27 [6頁)

(3) 本件ブログには,平成28年8月27日頃の「在日や反日勢力を駆逐することを目的としたブログ」であるとの記事のほか,平成29年4月18日頃の「在日弁護士については別途、懲戒請求も準備している」との記事,同月27日頃の「朝鮮人学校補助金支給を要求する声明を出すという行為は許されざるものである。この件は懲戒請求をもって対応する」との記事、同年9月29日又は同月30日頃の懲戒請求や告発の概要として「213神奈川県弁護士会朝鮮人学補助金支給問題」等を挙げ「できることはやる。できないことはしないということで是々非々に対応されたい」との記載がある記事があった。

(甲7,8,11、13)

(4)本件ブログの運営者は、本件各懲戒請求より前に、本件ブログ読者のうち希望者に対し、レターパックで本件各懲戒請求書その他の書式をインターネット上に掲示するなどし、上記懲戒請求書その他の書式や記載要項を送付したほか、ダウンロード用の本件各懲戒請求書その他の書式をインターネット上に掲示するなどし、上記懲戒請求書の書式を提供するにあたり、日付は提出日に記載するので日付を空欄にし、さらに家族や友人にも協力を依頼するよう求めた。(甲9、乙22)

(5)本件各懲戒請求書は、氏名住所欄及び日付欄が空欄で、その余は同一の文言が印字されたものである。本件各懲戒請求書には日付欄の右側に「No213」との印字、対象弁護士の欄に神奈川県弁護士会の会長ら役員のほかに原告と同様に朝鮮半島に由来すると捉え得る姓の弁護士の氏名等の印字懲戒事由の欄に本件各記載の印字があった、(甲20の1~7・9~22)

(6)被告・・ら及び選定者らは本件ブログを自ら読み、又は、本件ブログを自ら読まずに本件ブログを読んだものからの依頼を受けた上で、本件各懲戒請求についての懲戒請求書の書式をレターパックで受け取り又はインターネット上でダウンロードした。(甲9、乙22、丙76の1~5)

(7)そして別表記載のとおり、別表番号1ないし9の者は、平成29年11月13日までに、別表番号10ないし21の者は同年12月13日までに、それぞれ入手した本件懲戒請求書の書式に署名又は記名した上で押印し、日付欄を空欄にしたまま、本件ブログの運営者が指定する送付先へ送付した。(甲20の1~7・9~22、丙76の1~5)

(8)本件ブログの運営者又はその関係者は懲戒請求書を取りまとめた上で各懲戒請求書の日付欄を補充し、平成29年11月13日頃に別表1ないし9の者の懲戒請求書を含む大量の懲戒請求書を、同年12月13日頃に別表10ないし21の者の懲戒請求書を含む大量の懲戒請求書を神奈川県弁護士会に送付し、その頃、上記各懲戒請求書は神奈川県弁護士会に到達した。(甲1,3、20の1~7・9~22、乙22)

(9)神奈川県弁護士会は、平成30年2月26日、「神奈川県弁護士会綱紀委員会及び綱紀手続に関する会規」を改定し、神奈川県弁護士会の綱紀委員会は対象弁護士等につき懲戒すべきでないことが一見して明らかであると認められるときは、対象弁護士等に弁明その他の陳述の機会を与えることなく、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする議決をすることができる旨の規定を新設した。(同会規27条3項)(丙11,12)

(10)別表記載のとおり、神奈川県弁護士会は平成30年4月3日付けで原告に対して、別表1ないし9を含む591件の懲戒請求事案の調査を綱紀委員会に求めた旨通知し、神奈川県弁護士会綱紀委員会第二部会は同月4日付けで、原告に弁明その他の陳述を求めず、いずれも懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする旨の議決を一括して行った。さらに別表番号10ないし21を含む367件の懲戒請求事案の調査を綱紀委員会に求めた旨通知し、神奈川県弁護士会綱紀委員会第一部会は同年8月1日付けで原告に弁明その他の陳述を求めないことを相当とする旨の議決を一括して行った(合計958件)

議決の理由は本件各懲戒請求書に記載された事由がいずれも弁護士法第56条1項が定める懲戒事由に当たらず、対象弁護士につき懲戒すべきでないことが一見して明らかであるというものであった。(甲1ないし4)

3 争点1(本案前の主張について

(1)被告・・は本件懲戒請求にかかる調査が神奈川県弁護士会において一括送付された本件各懲戒請求書をあえて2つのグループに分け同一の懲戒請求を2度にわたり調査した不当なものであり,本件訴えは,暴利を得るこ とを目的とし,さらに選定者らの同意なく違法に神奈川県弁護士会から情報提供された個人情報に基づいて行われたものであるから,無効であると主張す。 

かし,前記認定及び別表のとおり,神奈川県弁護士会は2回にわたっ て本件各懲戒請求書を受け付けたことが認められ,受付日によって調査開始日が異なったと推認さ,神奈川県弁護士会による調査開始に不合理な点は見当たらないまた,本件訴えは,原告が被告ら及び選定らに対し,件各懲戒請求に より生じた損害の賠償を求めるものであって,原告が本件訴えを起した目は不法行為により被った損害の填補にあるということができ,その余にこれを覆すに足る事情は見当たらないか,本件訴えが暴利を得ることを目的としたものということはできないさらに,象弁護士は懲戒処分がなされた場合には不利益を受けるおそれがあり,対象弁護士が懲戒請求者の主張する懲戒事由について弁明等を行うめに,懲戒請求者を特定することが重であり,そうした点鑑みると, 懲戒手続の適正かつ公正な運用のために懲戒請求者の氏名及び住所といった情報を対象弁護士に開示する必要性が大きいというべきであるか,奈川県弁護士会が原告に懲戒請求者の氏名等を提供した措置に違不当な点はないしたがって,被告・・の上記主張を採用することはできない。 

(2) ,被告・・は,本件訴えが原告において先行して提起した大量懲戒請求にかかる損害賠償請求と同一であって二重起訴に該当して無効であると張する、しかし,民訴法142条の定める二重起訴の禁止は,当事者及び訴訟物をにて 同じくする訴えが既に裁判所に係属する合にさらに訴えを提起することを禁止するものであるところ,本件訴えと当事者及び訴訟物を同じくする訴え が既に裁判所に係属したと認めるに足る証拠はない。 したがって,被告〇の前記主張を採用することはできない。

争点2 (本件各懲戒請求の違法性等)について

(1) ア 前記認定のとおり,被告ら及び選定者らは,神奈川県弁護士会に対し,原告を対象弁護士とする本件各懲戒請求を行い,本件各懲戒請求書には懲戒事由として「違法である朝鮮人学校補助金支給要求声明に賛同,容認し,その活動を推進することは,日弁連のみならず傘下弁護士会および弁護士の確信的犯罪行為である。」(懲戒事由1), 「直接の対象国である在日朝鮮人で構成される在日コリアン弁護士会との連携も看過できるものではない。」(懲戒事由2)が記載されたところ,これに先立ち,神奈川県弁護士会の会長は本件声明を発出した。そうすると、本件各懲戒請求は,原告が, 在日コリアン弁護士会に所属することを前提として,本件声明に賛同してその活動を推進したことを懲戒事由とする請求であると解される。 

しかし,懲戒事由は対象弁護士とその対象となる行為で特定されるべき ところ,懲戒由1は原告による本件声明への賛同や関連する活動の推進体的事実及び内容等を指摘しない抽象的な載であり,戒事由2誰を主体とする連携であるのか及連携内容が明らかでない抽象的記載であるから,記載内容自体からして懲戒事由に該当しないものである加えて,前記認定とおり,原告は,件声明の対象となった神奈川県知事の補助金の交付決定留,予算非計上に関して,自らの立場を明らかにしたことがなく,本件声明の作成過に関与しなかったものであり,本件 全証拠よって,原告が本件各懲戒請求に掲げられた本件声明の発出に 関して何らかの行動をとったことをうかがわせる事情を認めることはできない 

そうすると,原告に弁護士法56条1項の規定する弁護士としての品位を失うべき非行という懲戒事由があったということはできず,本件各懲戒事由を懲戒事由とする本件各懲戒請求は,事実上又は法律上の根拠を欠く というのが相当である。

判示のとおり,本件各懲戒由がその記載内容の抽性等から懲戒由に該当しないということができるものであるから,被告ら及選定者ら,通常人であれば普通の注意を払うことによって行うであろう調査や検討をえば容易に本件各懲戒請求が事実上又は法律上の根拠を欠くことを知り得たということができるそれにもかかわらず,本件全証拠によっても,被告ら及び選定者らが何らかの調査や討を行ったと認めることはできない

そして,弁護士法58条1項に基づく懲戒請求が事実上は法律上の根 ,を欠く場合におい請求,そのことを知りながら又は通常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに,あえて懲戒請求するな,戒請求が弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くと認められるときには,違法な懲戒請求として不法行為を構成(高裁平成19年判決)

したがって,本件各懲戒請求は事実上又は法律上の根拠を欠くものであ,通常人であれば普通の注意をうことによりそのことを知り得たのに, 被告ら及び選定者ら,調査や検討を行うことなくあえて懲戒を請求したもので違法な懲戒請求として不法行為を構成する

(2) 当事者の主張について

ア 原告の主張について 

告は,被告・・ら及び選者らが差別的意図をもって本件各懲戒請求をったものであり,告ら及び選定者らが本件各懲戒請求に事実上又は法律の根拠がないことを知っていたと主張する。 

この点,前記認定のとおり,本件各懲戒請求の端緒となった本件ブログ, には,在日や反日勢力を駆逐することを目的とたブログ」であるとの 記事に加えて,在日弁護士に懲戒請求を準備する旨の記事が存在し,本件 各懲戒請求は神奈川県弁護士会の役員のほかに原告と同様に朝鮮半島由来すると捉え得る姓の弁護士が対象者として挙げられており,判示このとおり,件各懲戒請求書記載の各懲戒事由が抽象的であることからすれ,本件各懲戒請求が人種差別を目的とするとうかがわせる事実がある。 

しかし,被告・・らは人種差別目的での懲戒請求ではない旨主張し証拠 (乙21,76の1~5)によれば被告ら及び選定者らの一部がた陳述書におい自らの政治的意見表明のために懲戒請求を行ったとの記載があることが認められ,前記認定のおり,被告ら及び選定者らの中に本件ブログを読まずに本件各懲戒請求を行った者がおり,証拠上本件ブログの読者であった者がどの程度本件ブログを読んだか,その目的に賛同 したかが明らかではなこと,前記認定の本件各懲戒請求書作成の経過に照らし本件各懲戒事由をどの程度検討したかも明らかではないと等かられば,本件ブログの存在及びその記載内容から本件各懲戒請求が人種差別目的であると認めることはできない。そのほか,本件各懲戒請求が人種 差別目的で行われたものであこと認めるに足る証拠はない。 したがって,原告の前記主張を採用することはできない

ィ・被告・・の主張について

 被告・・は,本件声明が弁護士会会長名で公式に発出されていると本件声明は弁護士会の構成員弁護士の総意であると一般に理解されるから 本件各懲戒請求には根拠があり,また,選定者らには高度な調査務は課されていないと主張するかし,本件声明への賛否及び関連する活動に関与するか否か,弁護士各人の自由意思にゆだねられるものあって,弁護士会の会員であっ属する弁護士会の会長による声明拘束されるものではな,声明が 1長名で出されたことのみから,れを会員の総意とみることができなことは明らかであまた,前判示のおり,本件各懲戒事由はその記載容の抽から懲戒事由に当たないということができるものであり,

2. 本件各懲戒請求に事実上又は法律上の根拠がないことは容易に明しうるものであって高度な調査が必要であっということはできない。 したがって,被告・・の前記主張を採用することはできない。

ウ 被告・・らの主張について 

被告・・は,本件は第三者による一見して懲戒事由に当たらないことが明らかな懲戒請求であるから,本件は最高裁平成19年判決と事案が異なり,件各懲戒請求には違法性がないと主張す。 

しかし,本件は最高裁平成19年判決と同様に懲戒請求を行ったこと自に関する訴訟であって,見して懲戒事由に当たらないことが明らかな 戒請求は弁護士懲戒制度の旨目的に照らし相当性を欠くということができ,告らの摘の事実は損害の有無及び額において考慮すべきのであるから,摘にかかる本件各懲戒事由の内容及び性質によって本件各懲戒請求の違法性が否定されるということはできないらに,件各戒請求は一部の者の呼びかけに応じて多数の従者が一斉に懲戒請求書作成し,びかけた者を通じ弁護士会に送付したもの,前記のとおり, 本件各懲戒求に法律上又は事実上根拠がないことは明らかであって,の懲戒請求の態様に照らしても違法性を欠くということはできないまた, 被告らが一定の政治的見解を表明する意図を有していたとしても,手段としてなされた本件各懲戒請求の違法性が直ちに阻却されることはないしたがって,被告・・らの上記主張を採用することはできない。

 (3) 小括

以上によれ件各懲戒請求は事実上又は法律上の根拠を欠くものであ,常人であれば普通の注意を払うことによりそのことを知り得たのに被告ら及び選定者ら,調査や検討を行うことなくあえて戒を請求したということができるから,各懲戒請求は,弁護士懲戒制度の趣旨目的に照らし相当性を欠くものであり,違法な懲戒請求として不法行為を構成する

5 争点3(損害の有無及び額)について 

(1) 前判示のとおり,被告ら及び選定らにる本件各懲戒請求は,不法行為を構成するものであるそし,前記認定のとおり,本件各懲戒請求書の懲戒事由には本件各記載があるとこ,件各懲戒請求は懲戒由1におい確信的犯罪行為いう表現を用い,その他に「外患罪で告発などという表現を用いたものであっ,原告を犯罪者として扱うものであるまた,判示のとおり件各懲戒事由は抽象的な記載にとどまり,が本件声明に賛同し,動を推進するなどしたことを基礎づける具体的な事実の記載はなく,前記認定のとおり,原告は本件声明の作成過に関与して おらず,件各懲戒請求書は神奈川県弁護士会の役員のほかに,原告と同様に朝鮮半島に由来すると捉え得る姓の弁護士が対象者として挙げられたこと,大量のものが時期をじくしてなされたことをすれば,本件各懲戒請求は,原告において人種差別目的での懲戒請求であると受け止められる体裁であるということができ。 

そうすると,原告は,本件各懲戒請求を人種差別的な言動であると受け止,これによって精神的苦痛を被ったと認められるただ,本件各懲戒請求は,前記認定のとおり,一の懲戒事由による合計958件の懲戒請求のの1件ずつの請求であり,告は成30年4月3日頃及び同年7月3 21日頃の2回にわたり,まとめて,大量の懲戒請求を受けたこと知ったものである,1件ごとに生じた精神的苦痛が大きいということはできない。

(2) 原告は,原告の名誉や信用が害され名誉感情が毀損さ,業務上の支障が生じたことによっても精神的苦痛を被ったと主張すしか,判示とおり,本件各懲戒事由の記載の記載容自体から本件各懲戒請求に事実上又は法律上の根拠がないということができるものであ,本件各懲戒請求によって生じる懲戒の危険性は乏しく,このような本件各懲戒請求によって,原告の名誉,信用が毀損されたとはいい難い上 原告の新たな顧客の獲得に対する影響があったということはできないその他に,原告の名誉,信用が毀損され,原告が新たな顧客獲得の機会を喪失し 認めるに足る確な証拠はないまた,の主張する録の管理及び利益相反の確による負担について,前記認定のとおり,原告は本件戒請求の調査に当たった神奈川県弁護士会綱紀委員会第一,第二部会から, 弁明その他陳述を求められることはなく,同各部会,調査開始の通知の翌日付けで,件各懲戒請求につき懲戒委員会に事案の審査を求めないとを .相当とする議決を行ったのであり,原告が本件各懲戒請求に対して多大な労 力を要したとはにわかに考え難く,これを認めるに足る証拠はないそうすると,原告の主張る各事由が原告の慰謝料額に影するほど大きな精神的 痛を与えたということはできない。 

したって,原告の上記主張を採用することはできない

(3) 以上のとおり,原告が本件各懲戒請求を人種差別的な言動であると受,これによって精神的苦痛を被っと認めらるものの, 1件当たりの精神的苦痛を過大視することはできないこと,本件各懲戒請求が原告の主張する名,信用毀損した程度,護士業務への影響の程度乏しいこと,の他本件に顕れた一切の諸事情を考慮すると,本件各懲戒請求によって原告が被った精神的損害を慰謝するための金額はそれぞれ5000円というのが相当である。そして,本件事案の内容及び上記慰謝料額に照らすと,本件と相当因果関係のある弁護士費用は500円というのが相当である。

6 争点4 (損害の填補の成否ないし他の懲戒請求者による和解の影響の有無) について

 (1) 被告・・は本件各懲戒請求を含む多数の本件各懲戒事由と同一内容の戒事由に基づく懲戒請求につい,戒請求者相互間及び本件ブログ運営者の間で共同不法行為が成立することを前提として,原告の有する損害賠償請求,同不法行為者のうち原告と和解をした懲戒求者らにる弁済でした旨主張する被告・・主張も同旨であると解される

 (2) 確か,前記認定のとおり,本件ブログには213 神奈川県弁護士会学校補助金支給問題との記載,これへの対応を求める記事があり, 本件各懲戒請求書の日付欄の側にはNo.213の印字があるこからすれば本件各懲戒請求と同一の書式による懲戒請求,件ブログと関連す

しかし和解をした懲戒請求らとの関係をみると,まず前記認定のとお,被告ら及び選定者らは,本件ブログを自ら読み,,本件ブログを自ら読まずに本件ブログを読んだ者からの依頼を受けて本件各懲戒請求を行っており,件各懲戒請求に至る経緯は懲戒請求者ごとに異なるそして本件全証拠によっても,記和解を締結した懲戒請求者その他の懲戒請求者らが本件ブログの呼びかけに応じて懲戒請求に至ったか否かは判然とせ,懲戒請求に至る経緯は明らかではないから本件被告ら及び選定者らとその他の懲戒請求との間で共同不法行為が成立するとはいい難い前判示のと,原告は本件各懲戒請求によって個別に精神的苦痛を被っということがで,本件,このことを前提として,告が被告ら及び選定者らに対しそれぞれの懲戒請求につき損害の填補を求めた事案である

,拠(丙40,79,85)によれば,原告が本件各懲戒事由によ懲戒請求を行った者に対して通知書を送付して慰謝料5万円を請求した,件各懲戒事由により懲戒請求を行った者の一部が原告の請求に応じて原告対する懲戒請求に係る損害賠償債務とし10万6800円の支払義務を認る旨の和解を締結したことが認められ。 

しか,証拠によれば,上記和解が本件各懲戒事由による懲戒請求のほ,異なる懲戒事由による懲戒請求をも対象とし,かつ,異なる懲戒事由による懲戒請求のみを受けた原告訴訟代理人に対する損害賠償債務も同様に10万6800円となっていることが認められるから,原告への本件各懲戒事由によ懲戒請求のみに対する和解金がいくらであるかを認めるに足り。そして,他の証拠によっても,本件各懲戒事由による懲戒請求を行った者が,原告に対して実際に支払った金銭の額を認めるに足る証拠はない

そうすると,本件各懲戒請求が,本件ブログを端緒として,同時期に,件ブログ提供する書式を用いて同一の懲戒事由によって行われた原告に対する合計958件の懲戒請求の一部であり,原告は被告ら及び定者らかの1件との懲戒請求を受けた場合に比べて多大な精神的苦痛を被ったものであるが,原告の不法行為に基づく損害賠償請求権が他の懲戒請求をした者の弁済によって,の損害が填補され,消滅したということはできない

(3) したがって,被告・・ら及び選定者らの前記主張を採するとはできない

第5 結論

 上によれば,告の請求は,告・・ら及び選定者らに対し,不法行為に基づ,それぞれ慰謝料5000円及び弁護士費用500円の合計5500円並びにこれに対する平成29年12月13日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理があるからその限度で認容,その余は理がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 

福岡地方裁判所第3民事部 

長裁判官  松葉佐隆之

裁判官 伊藤聡志

裁判官 光武敬志

以上 判決書より

この判決内容に対し、報道の見出しは・・・

「女性弁護士に不当な懲戒請求、請求者8人に賠償命令 福岡地裁」

「弁護士懲戒請求8人に賠償命令」

・・・   etcでした。

訴訟当事者 “被告” の人数すら、カウントできない今の報道です。

デジタル化が進み、両手超えた数は数えられない人材が増えたのでしょうか。

それとも判決書の読み方が不知なのか、もしくは別紙や目録の意味すら知らない記者のレポートか・・・

共通に間違えている被告(請求者)の人数は8人。

同じニュース元で事実を確認することなく、そのまま紙面掲載、有料ネット配信している実態すら思い浮かびます。仕入れニュースであろうと、自社が利益を得るということは責務もあることお忘れなく。

この見出しは失笑一端、本筋詳細は、このあと続きます。

 

弁護士自治を考える会・弁護士脅迫調査委員会