弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2009年12月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・溝辺克己弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・相続事件放置

 

懲 戒 処 分 の 公 告

  第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 溝辺克己

登録番号 16230 

事務所 東京都千代田区神田鍛冶町3 溝辺法律事務所

2 懲戒の種別  戒 告

3 処分の理由の要旨

被懲戒者はAから限定承認にかかる手続きの依頼を受け、2002年5月ころ、債権者14名への配当原資として金300万円を預かったところが被懲戒者は2004年Aから紛議調停が申したてられるまで一切配当を行わず2005年3月2日に紛議調停において被懲戒者が300万円をもって各債権者に対して配当を行い限定承認手続きを終了させる旨定める調停が成立した後も、同年5月31日に至ってようやく固定資産税を納付したのみで、その余の支払いをせず2006年10月に1件、2007年4月に1件の支払いをしたのみであったそのためAは紛議調停委員会に苦情を申し出、同委員会の委員長が被懲戒者に対し同年5月10日までにすべての配当を終了して報告するよう求めたが、被懲戒者は同日に2件の配当をしたものの、残り9件の配当をしなかった。被懲戒者はこの残りのうと、4件については通知を出しただけでそれ以上の調査をしておらず5件については通知をした形跡もないさらに被相続人の負債と言えるかどうか明確でないのに支払ってしまったものも1件ある被懲戒者の上記行為は正当な事由もなく紛議調停の調停事項を履行しなかったものであり所属弁護士会の紛議調停委員会規則に違反するとともに督促を受けたにも拘わらず何ら適切な対応をとることなく、依頼された事件の処理を放置した行為は依頼者と弁護士との信頼関係を破壊するのみならず弁護士全般の信用を害する行為として弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するが被懲戒者が本件について深く反省し懲戒処分を受け入れる旨述べていること、本件紛争について最終的に和解を成立させ和解金を支払っていること等有利な事情を考慮し戒告を選択する

4 処分の効力の生じた日  2009年7月27日   2009年12月1日   日本弁護士連合会