弁護士自治制度 「綱紀調査の実態」 連載 3回目
特 段 の 事情
宮崎県弁護士会綱紀委員会の議決書の奇異な判断
「綱紀調査の実態」連載、3回目の配信になります。前回、弁護士会で「どのようなことが起きていたのか、また存在するのか」に対し、会員数全国一の東京弁護士会を一例としてお伝えしました。今回は、会員数も比較的少ない弁護士会 宮崎県弁護士会を取り上げ、お伝えいたします。
現在の弁護士自治による懲戒請求制度上、会がどのような規模であれ環境であれ、弁護士会の綱紀調査は、同等の水準 で 公正に進行 しなくてはなりません。
宮崎県弁護士会は,会員数130名弱という小規模な弁護士会です。宮崎県弁護士会については,直近において記事を連続的に配信しております。
書庫 「宮崎県弁護士会」
(綱紀委員長に対する懲戒請求は 「却下」 で無く、 「棄却」 でした。)
宮崎県弁護士会綱紀委員長 懲戒しない議決書
昨日、娯楽的なTV番組でしたが、「食品偽装」が取り上げられていました。スーパーなどで販売する食肉パック(生)など、この製造日表示について食品衛生法など法では「製造日は最終加工の日」があるだけらしく、このTV番組では悪用の実例として、系列店展開するスーパー「ある店長の行為」で進行しました。ブロック肉をパックとして売れば、「パック詰めした日」。ところが、このブロック肉が売れ残り、この肉をあらためて細かくカットしてパックすると「その日が新たな製造日」、さらに、またそのカット肉が残れば「焼肉ダレ」を混ぜたパックで臭い対策し「新たな製造日」などと・・実際に販売行為があったようです。違法では?と思いますが、これら消費者に対し誤解招き、食の安全にも疑問符、且つ信頼裏切る行為であっても、法的に 「特段に禁じられていない」 そうです。
この番組内容では、スーパー各店舗を見回る食品Gメンがこの事実を見つけ出し、「法に触れなくても、お客様の信頼を裏切る行為は甚大なモラル違反。業務の多大な信頼損失行為」として、企業の規範意識からこの「店長は処分」されたそうです。
戻ります。弁護士業界は如何でしょう。Gメンならずとも「綱紀」掲げる組織です。宮崎県弁護士会綱紀委員会の議決書には奇異な判断が記されてます。
「綱紀委員会は議決後であっても、懲戒請求者から提出された主張等を
検討することは 特段と禁じられていない 」
・・では、そもそも綱紀委員長の回答書面で記された・・
「期日が迫っておりますので、FAXでも結構です」
は、「迫って」を表して、なんの 「期日」 なのでしょうか、そして「主張を検討する」ならば、その検討の 「正当な目的」 は、なんでしょう?
懲戒請求者が判断する異議申出に、予め備えることは有りえないでしょう。
今後の綱紀のため意見を集める意図ならば 「期日」 は不要ですし、「迫っております」も不可思議。
尤も、綱紀委員長の回答(平成27年3月18日)後、「期日」が回答日からわずか1週間も無い平成27年3月23日は、如何様にも論が破綻しています。
それとも「グレーゾーン」があるのでしょうか?
「特段禁じられていない」 範囲!?。
なお、宮崎県弁護士会は今まで、懲戒請求申出の受理から綱紀委員長自らが行っていたことが明らかになっています。
本来、弁護士会長が受理して、「(概略)綱紀委員会に調査を命じた」通知を懲戒請求者に送るのではないでしょうか?
他の各弁護士会は、弁護士会が受理し綱紀委員長に「命じる」のではないですか?それすら意識ない宮崎県弁護士会です。そもそも日弁連の指導不足と思いますが・・
それに・・弁護士懲戒請求の受理は、弁護士法第六十四条の七項一号に「通知」が規定されていませんか。「弁護士会が通知する」旨と。
弁護士法
(懲戒の手続に関する通知)
第六十四条の七 弁護士会は、その懲戒の手続に関し、次の各号に掲げる場合には、速やかに、対象弁護士等、懲戒請求者、懲戒の手続に付された弁護士法人の他の所属弁護士会及び日本弁護士連合会に、当該各号に定める事項を書面により通知しなければならない。
綱紀委員会に事案の調査をさせたとき又は懲戒委員会に事案の審査を求めたとき その旨及び事案の内容 あぁ、これも 「特段」 に禁じられてませんか。罰則は設けられていませんね・・確か。だから許される行為、つまりは「正当な範囲の行為」ですか。
前述のように民間は「自戒」「自浄作用」を考えますが、弁護士組織では自治ですから「自ら治す」は以ての外、自ら治める為には、一般社会の規範意識やモラルが消え失せるんでしょうか。
ん?あれ??
つまりこれって・・綱紀委員長が単独で決裁している 動かぬ証 じゃないですか?
懲戒請求申出の受理は早々対応されています。さらに懲戒請求者の質問も、綱紀委員長名で即座に回答できる・・なんて。
議決書では「当委員会の機関の判断であるから・・」としました。
綱紀委員会、そんな臨機応変にちょくちょく開催して、即座に対応できるのでしょうか。綱紀委員会には、裁判官や検察官もいるはずでは・・。
結局 「ギョイッ!!」 なる慣習で、綱紀委員長の単独行為を容認しているのが、宮崎県弁護士会ではないでしょうか。だから、たった1ヵ月半で議決に至るも可能。 確かに特段と禁じてませんね。
そもそも、単独決裁はダメ!なる罰則規定も無い。
もしくは「明日朝一番で議決するぞ!来れなきゃ欠席でいいぞ」云々?!予め意向に従う補欠委員を出席予定させておけば。議決は何日前までに召集する旨、規定罰則も無く・・仮にあっても自治なら見えない訳で、他規定の抵触に鑑みる必要も無い。
「特段と禁じられてない」
特段と禁じられてない、特段の事情、と示すなど、あらゆる解釈で回避できるような法規定は「ザル法」でしかなく、この法規定をそのまま「自治制度」に利用し放置する実態は、既に弁護士自治懲戒請求制度は 「死に体」 でしかない。
今回取り上げた宮崎県弁護士会、前回の東京弁護士会については、まだまだ至った経過・背景・人物・相関関係が山のようにありますので、次回以降の連載記事へ。前回は全国一会員数多い東京弁護士会、今回は小規模な会員数の宮崎県弁護士会を取り上げました。まだまだ、懲戒請求制度不可解な「綱紀調査の実態」は存在します。連載号外として他弁護士会「綱紀調査の実態」についても後日、配信してまいります。次回は、東京弁護士会と宮崎県弁護士会共に、本件記事の起因なる懲戒事案に関し綱紀調査における背景の事実等にも触れ、記事を配信して参ります。
「記者: 札幌SS,東京TT」