<裁判費詐取事件>弁護士会責任なし 請求を棄却 福岡地裁
毎日新聞10月27日(木)22時33分
福岡県弁護士会に所属していた高橋浩文・元弁護士(56)=詐欺罪などで懲役14年が確定、服役中=に裁判費用などの名目で多額の現金をだまし取られたのは、弁護士会が指導監督を怠ったためだとして、県内企業2社と男性1人が県弁護士会を相手取り総額約2億3000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、福岡地裁であった。倉沢守春裁判長は「弁護士会の指導監督が必要といえる具体的事情はなかった」として請求を棄却した。
倉沢裁判長は「弁護士の職務の独立性や守秘義務などがあり、弁護士会が指導監督できるのは明らかに違法な弁護活動などの場合に限られる」と指摘。その上で「預かり金が返還されないなど高橋元弁護士への苦情は弁護士会に多数寄せられていたが、当時の状況では預かり金の流用や詐欺を疑うことはできなかった」と述べた。
今回の事件を受けて福岡県弁護士会は会員弁護士に対し、預かり金の専用口座の届け出を義務づけた。法曹倫理に詳しい早稲田大大学院の石田京子准教授は「『弁護士自治』を掲げる以上、金銭の処理に問題ありと認められる場合には、積極的に口座開示を求めるなど、さらに内部規律を強めて再発防止に取り組むべきだ」と話している。【吉住遊】
弁護士自治を考える会
弁護士会には責任はないという判決だが、高橋浩文・元弁護士には多くの苦情が弁護士会に出ていたはず、世間に注意喚起もできたはずだが、福岡弁護士会のやったことは
先に高橋弁護士に自己破産をさせ弁護士会とは関係がないと逃げたこと、逮捕されたときは元弁護士でした。
事件ごとに預り金口座を設けると義務つけてはいるが、その後も弁護士の横領事件は後を絶たない。事件ごとの口座があったとしても通帳とハンコを金に困った弁護士が持っていれば同じことではないのでしょうか
弁護士会は仕事はくれというが会員が横領しても、それは盗った奴に言ってくれ弁護士会には責任も弁済義務もないという考え方です。
2014年9月 提訴時の報道
元弁護士詐欺で県弁護士会提訴「監督怠った」
元弁護士は2008~12年、原告を含む4社と6人から計4億6920万円を詐取したなどとして、12年に同地裁で懲役14年の判決を受けて服役中。同5月には自己破産が確定した。
原告側は、弁護士会は10年夏以降、元弁護士について、「預けた金を返してくれない」といった複数の苦情を受けながら詳しい調査をせず、12年3月になって懲戒手続きを始めた、と主張。「早期に調査、懲戒手続きを行えば被害を防げた」と訴えている。(読売新聞)
地元の西日本新聞朝刊
福岡県弁護士会に所属していた元弁護士の男性(53)=詐欺罪などで服役中=から現金をだまし取られた県内の会社2社と不動産業の男性が、被害に遭ったのは県弁護士会が指導監督を怠ったためだとして、県弁護士会に被害金など計約2億3千万円の賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、福岡地裁(高橋亮介裁判長)であった。原告側は「弁護士会は被害を未然に防げた」と主張、県弁護士会側は請求棄却を求めた。
元弁護士は刑事裁判で、原告を含む4社と6人から計約4億6900万円を詐取、横領したとして2012年10月、福岡地裁で懲役14年の判決を受けた。
この判決では、原告の2社から10年10月~11年12月にそれぞれ約1億6千万円と5600万円を、不動産業男性から12年1月に600万円をだまし取ったと認定された。民事裁判ではこれらの被害額を基に賠償請求した。
訴状によると、県弁護士会に「相手方からの示談金を支払ってくれない」と元弁護士についての苦情が寄せられたのは10年夏ごろ。当時の弁護士会幹部は、元弁護士と依頼者の面会に立ち会って1300万円を支払わせたが、支払いが遅れた理由などは調べず、後任の弁護士会執行部にも引き継がなかったとしている。
県弁護士会側は「弁護士会に会員の監督義務はあるが、今回、法的な違反はない。原告の独自の見解だ」と反論している。
=2014/09/05付 西日本新聞朝刊=