読売新聞1月26日付朝刊
離婚仲裁・相手側に荷担・男性弁護士に賠償命令・東京地裁
離婚問題の仲裁を頼んだ弁護士が、約束を破って自分に不利な行動を取ったとして、東京都内の50歳代男性が、第二東京弁護士会所属の男性弁護士に慰謝料300万円を求めた訴訟で、東京地裁は25日、50万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
吉村 真幸 ( さねゆき ) 裁判長は「仲裁役として信頼を寄せた男性を裏切る行為で、弁護士の誠実義務に違反する」と述べた。 判決によると、弁護士は過去に男性の妻の訴訟代理人を務めたことがあり、男性とは家族ぐるみの付き合いだった。2012年に男性と妻の間にトラブルが起きた際、弁護士は妻だけのために行動しないと約束した上で、仲裁役として男性から事情を聞いた。ところが、弁護士は翌13年、相談のないまま男性に不利な内容の文書を男性の勤務先に送るなどした。 男性から懲戒請求を受けた弁護士は昨年7月、同弁護士会から戒告の処分を受けた
引用 読売
弁護士自治を考える会
あなたはどっちの味方なの?
わざと事件放置をして依頼人の方が不利な結果をもたらす。相手方と通じていたという懲戒処分としてはかなりありますが、裁判までしたというのは珍しいと思います。
懲戒処分は双方代理・利益相反行為は戒告しかありません。やったもん勝ちということですから、今回の判決は今後に生かされると思います。
懲 戒 処 分 の 公 告
第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名 松本彰夫
登録番号 33008
事務所 東京都渋谷区南平台町16
松本法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由
(1)被懲戒者は懲戒請求者とその妻Aから強度の信頼に基づき、懲戒請求者とAとの夫婦関係の調整活動に当たっていたにもかかわらず、2013年2月15日Aの代理人として、区役所に対し、懲戒請求者とAの子Bに関する保育費の負担を軽減するため、懲戒請求者は別の女性と不貞関係にある等のAの言い分を客観的な事実と断定する趣旨の文章が記載された文書を送付した。
(2)被懲戒者は、懲戒請求者がその勤務先であるC株式会社から借り受けてA及びBが居住していた社宅の明け渡し猶予の要望を受け入れたならば懲戒請求者に利用損害金等の経済的負担が発生するにもかかわらず、上記調整活動にあたっていた2013年3月28日、懲戒請求者の事前了解を得ることもなく、Aの代理人としてC社に対し上記社宅の明け渡し期限の猶予を求める旨の内容証明郵便を送付した。
(3)被懲戒者は上記調整活動に当たっていたにもかかわらず、2013年5月10日、Aの代理人として懲戒請求者の交際相手と目される女性に対し、不倫を理由とする損害賠償を求める内容証明郵便を送付した。
(4)被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日 2016年7月19日
2016年12月1日 日本弁護士連合会