振り込め詐欺の口座被害者、救済法が裏目に 別口座も凍結 生活に支障「就職できぬ」「年金入らない」…

産経新聞8月21日(月)18時40分

画像:振り込め詐欺の口座被害者、救済法が裏目に 別口座も凍結 生活に支障「就職できぬ」「年金入らない」…

 振り込め詐欺などの犯罪に口座を悪用された人が、被害に遭っていない別の金融機関の口座まで凍結され、日常生活などに支障をきたすケースが相次いでいることが20日、分かった。犯罪と無関係の口座を一時凍結するのは平成20年に施行された「振り込め詐欺救済法」に基づく措置で、対象になるとほかの金融機関も含めて新たな口座を作るのが困難になる。被害者支援団体には「口座がないので就職できない」といった相談も寄せられている。(加藤園子)
 

運用改善申し入れ
 「取引で使っている口座が突然止められた。警察に言ってもらちがあかない」
 盛岡市の男性会社員(44)は約10年前に車上荒らしに遭い、キャッシュカードを盗まれた。カードの口座が「犯罪に悪用された」として、同じ名義で別に開設していた取引口座も利用できなくなった。凍結対象として金融機関に通知したという関西の警察署に相談したが、解除に応じてもらえないままだ。
 弁護士や司法書士で作る「大阪クレサラ・貧困被害をなくす会」には近年、口座凍結に関する相談が相次いでいる。昨年10月に凍結の運用改善を求める申し入れ書を全国銀行協会(全銀協)、警察庁、金融庁に提出したが、その後も全国から50件以上の相談が集まった。このため今年7月、無関係な口座は凍結解除に応じるなどの対策を取るよう、改めて申し入れを実施した。
 振り込め詐欺救済法は犯罪に利用された口座を早期に凍結し、預貯金を事件の被害者に返還する目的で整備された。警察当局は犯罪に使われた口座の名義人をリスト化して金融機関に通知。金融機関が口座を凍結し、預金保険機構がホームページに口座情報を掲載する。リスト掲載者が新たに口座を開設しようとしても金融機関は拒否できる、という仕組みだ。
 一方、同会への相談の中には、カードの盗難や紛失で犯罪組織に口座が渡ったことから、「組織の口座」と見なされてしまった例も。対象者が過去にヤミ金を利用した際、業者に脅されたり、「利息をまける」と持ちかけられたりして、通帳などを渡していたケースもあった。
 「就職できない」
 同会には、「凍結リスト」に掲載されたことで日常生活に使う口座も含めて止められ、「年金が入ってこない」「給料が引き出せない」といった声が寄せられているという。給与振込口座が作れず、就職できないという相談もあった。
 利用者は金融機関に異議申し立てをすることもできるが、凍結口座を指定した警察署に出向き、凍結口座以外の複数口座の履歴を示すなどしながら、犯罪とは無関係であることを証明しなければならない。同会代表幹事の植田勝博弁護士は「労力も費用も法律的な知識も必要で、凍結解除は一般の人にとってハードルの高すぎる手続き」と指摘する。
 預金保険機構によると、いったん凍結された後に解除された口座は平成24〜28年度には350件に上る。全銀協によると「解除の基準については各金融機関に任せている」という。
 植田弁護士は「被害救済に効果がある法律だが、迅速に口座を止められる点が裏目にも出ている。凍結解除の要件を整える必要がある」と訴えている。
 
引用 サンケイ
 

 

弁護士自治を考える会
口座を凍結する方法はこの方法が有効ですが
弁護士が悪用する場合がありますので注意が必要です

 懲戒処分の公表
本会は下記会員に対して弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたので、お知らせします。
           
被懲戒者      島 昭宏
登録番号      42765
登録上の事務所 東京都中央区築地3丁目9番
        アーライツ法律事務所
懲戒の種類   業務停止2月
効力の生じた日 2017年7月10日
【懲戒理由の要旨】
被懲戒者は、依頼者Aの所有アパートの賃料を徴収した管理人Bが賃料をAに持参しなかった事案において、2014年7月AからBに対する徴収賃料支払請求を受任したが、同年7月31日、「犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律」に基づき、金融機関に要請して、Bが賃料の振込口としていた口座を凍結させたものである。
 
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士の品位を失うべき非行に該当する。
     2017年7月10日 東京弁護士会会長  渕上玲子