全国各地における弁護士会員多数に対する懲戒請求についての会長談話
近時、当連合会や弁護士会が一定の意見表明を行ったことについて、全国の21弁護士会に対して、800名を超える者から、その所属弁護士全員を懲戒することを求める旨記載した書面が特定の団体を通じて送付されてきている。これらは、懲戒請求の形をとりながらも、その内容は弁護士会活動に対して反対の意見を表明し、これを批判するものであり、個々の弁護士の非行を問題とするものではない。弁護士懲戒制度は、個々の弁護士の非行につきこれを糾すものであるから、これらを弁護士に対する懲戒請求として取り上げることは相当ではない。
私は、本年12月21、22日開催の当連合会理事会において、各弁護士会の会長である当連合会理事にこの旨をお伝えした。各弁護士会においてしかるべく対処されることを期待する。
弁護士懲戒制度は、基本的人権を擁護し社会正義を実現することを使命とする弁護士の信頼性を維持するための重要な制度である。すなわち、弁護士は、その使命に基づき、時として国家機関を相手方として訴えを提起するなどの職務を行わなければならないこともある。このため、弁護士の正当な活動を確保し、市民の基本的人権を守るべく、弁護士会には高度の自治が認められているのであって、当連合会及び弁護士会による弁護士の懲戒権はその根幹をなすものである。
当連合会は、この懲戒権を適正に行使・運用しなければならない責務が存することを改めて確認するとともに、市民の方々には、弁護士懲戒制度の趣旨について更なるご理解をいただくようお願いする。
2017年(平成29年)12月25日
日本弁護士連合会  会長 中本 和洋
日弁連ホームページより
弁護士自治を考える会
大量の懲戒請求を出され日弁連会長談話が談話を発表しました。
この談話は日弁連会長として「やってはいけないこと」です。
全国の弁護士会に懲戒請求が多数出されています。
詳細は知りませんが、北朝鮮の学校に対する補助金について、弁護士会が補助金打ち切りは不当であるとの声明を出したことに、ある団体が、弁護士としての品位を失う非行であると懲戒請求を申し立てた。
懲戒申立の内容が懲戒相当にあたるかどうかは当会として問題にしているのではありません。
日弁連会長としての談話が不適切です。
 
① 懲戒請求申立ては「何人も」が前提です。どういう人間かどういう団体であるかは関係ありません。特定団体とはどのような団体でしょうか、どのような団体であろうと弁護士に非行があれば懲戒請求を申立てが可能です。
 
個々の弁護士の非行につきこれを糾すものであるから、これらを弁護士に対する懲戒請求として取り上げることは相当ではない
 
日弁連会長が単位弁護士会に申立てがあった懲戒請求について取り上げることが相当ではない。早い話が棄却、あるいは門前払いせよ、と決めつける根拠はどこにあるのでしょうか、
 
懲戒の審議は単位弁護士会の綱紀委員会だけに委ねられています。
既に事件番号も付された事案に相当ではないと、日弁連会長が懲戒に介入することは絶対に許されません。
 
私は、本年12月21、22日開催の当連合会理事会において、各弁護士会の会長である当連合会理事にこの旨をお伝えした。各弁護士会においてしかるべく対処されることを期待する。
 
上記の文言は確実に懲戒審議に介入をしています。
各弁護士会長にどういう指示をされたのでしょうか
 
綱紀委員会と懲戒委員会は弁護士会の組織上は別になります。
それは弁護士会長の権威や圧力を防ぐためです。
綱紀委員会の審査の会議に弁護士会長は出席もできません。
 
綱紀委員会、懲戒委員会は弁護士会長、日弁連の介入、圧力に屈しないようにしなければなりません。
大量の懲戒が出された場合は審議を併合することも可能です。
その判断は綱紀委員会に委ねられています。
 
過去光市母子殺害事件で弁護団の弁護方法について約8000件の懲戒が出されましたが当時の日弁連会長は談話は出していません。
弁護士会長も談話や声明は出していません
 
 
今回、初めて日弁連会長が綱紀委員会に対して圧力をかけました。
懲戒の審議をするのは弁護士会から独立した綱紀委員会、懲戒委員会です、議決されたものに弁護士会長は何も言えません。
意見を申し立てる、会長としての意見を添えることも許されません。弁護士会長の名で処分を公表するだけです。
 
日弁連会長として一番行っていけない行為は綱紀委員会、懲戒委員会に不当な介入をすることです。
 
それで、弁護士には、特別な「弁護士自治」が認められているのではないですか、
弁護士のトップがこの程度の認識では、懲戒制度が十分に機能していない理由が理解できます。
会長のお言葉を受けた理事の単位弁護士会長は地元に戻って綱紀委員会にどのような指示をしたのでしょうか?