弁護士の懲戒処分を公開しています。
日弁連広報誌「自由と正義」2018年3月号に掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・裁決の公告 処分変更の理由・東京弁護士会・内山成樹弁護士の処分変更・業務停止1年から業務停止9月に変更されました。

2017年7月10日に処分を受けて日弁連に審査請求を出して1月19日に変更されるまで約半年・異例の速さです。業務停止中に処分変更されることは珍しいことです。

【懲戒処分を受け審査請求で処分が変更されるまでの期間】
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脱原発全国弁護団
 
「前進」に掲載されたご活躍


元の処分の要旨・報道

内山成樹弁護士(東京)業務停止1年

 

東京弁護士会は10日、同会所属の内山成樹(しげき)弁護士(70)を業務停止1年の懲戒処分とした。
発表では、内山弁護士は千葉家裁から20134月に娘2人を別居中の妻に引き渡すよう命じられたのを拒み、1日あたり20万円~40万円の間接強制金の支払を命じられた依頼者の男性に、資産の譲渡を提案。142月に預貯金約5000万円の譲渡を提案、1412月に預貯金約5000万円や不動産の譲渡を受け、裁判所の強制執行を防げたとしている。内山弁護士は同会の調査に2人の養育費を確保するためだった』と述べたが、譲渡された資産から弁護士報酬として約3800万円を受け取っていたという
以上 読売新聞
 
  

 

懲 戒 処 分 の 公 告

 

東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する

 

1 懲戒を受けた弁護士 氏 名  内山成樹 登録番号17126
事務所 東京都港区新橋3 田村町法律事務所     
2 処分の内容 業務停止1   
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、懲戒請求者が申し立てた子Aらの引渡しを求める間接強制申立事件等において懲戒請求者の夫の代理人であったが、Bが上記事件につき間接強制決定がなされた2014331日以降もAらを引き渡すことを拒否し続け、上記決定に基づく間接強制金の支払義務を負っていたところ、同年10月頃、Bに対し懲戒請求者に対する強制執行を困難ならしめる目的で、Bが所有する資産を信託譲渡するスキームを提案し、同年1220日、自宅土地建物、預貯金5000万円等のBの資産のほぼ全ていついて、受益者を被懲戒者及びAらとしてBから信託譲渡を受けた。
被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日 2017710
2017101日 日本弁護士連合会
 

 

 

裁決の公告(処分変更)
東京弁護士会が2017年7月10日に告知した同会所属弁護士 内山成樹会員(登録番号17126)に対する懲戒処分(業務停止1年)について同人から行政不服審査法の規程による審査請求があり本会は2018年1月16日弁護士法第59条の規程により、懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり裁決したので懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規程により公告する。
 
             記
1 採決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止1年)を変更する。
(2)審査請求人の業務を9月間停止する。

 

2 採決の理由の要旨

 

(1)審査請求人にかかる本件懲戒請求事件につき東京弁護士会は(以下「原弁護士会」という)は、の認定した事実及び判断は、同弁護士会懲戒委員会の議決書(以下「原議決書」という)の記載のとおりであり、原弁護士会は前記認定と判断につき、審査請求人を業務停止1年の処分に付した。
(2)原議決書に記載のように、詐害性の強い本件信託譲渡を審査請求人がAに提案して主導的に実行したこと、審査請求人は子の養育費等の確保が主たる目的であったと弁明するが子の養育費の確保等は監護権者である懲戒請求者の責務であるから、審査請求人の弁明は正当理由になり得ないこと、また、信託預金5000万円の使途内訳も子のために使用されたもの500万円、弁護士報酬1700万円であったこと等の事実が認められるので日本弁護士連合会懲戒委員会は原弁護士会の認定には誤りがないものと判断する。
(3)しかし懲戒請求者を原告、審査請求人を被告とする本件信託譲渡に係る詐害信託取消請求訴訟において、一部和解が成立し、審査請求人は懲戒請求者に対し1200万円の支払い義務を負担したこと、さらに審査請求人は同訴訟の一審判決を直ちに任意に全部履行して懲戒請求者の利益を保全したこと、それに伴い懲戒請求者から審査請求人の懲戒を望まない旨の上申書が日本弁護士連合会懲戒委員会宛てに提出されたこと、その上に審査請求人は自己の非違行為を深く反省し、日本弁護士連合会懲戒委員会において過ちを繰り返さない等の斟酌すべき有利な事情が認められる。
(4)以上の事実を総合考慮すれば、審査請求人を業務停止1年とした原弁護士会の処分は重きに失し、業務停止9月の処分が相当と判断する。
3 裁決が効力を生じた年月日 2018年1月19日
2018年3月1日 日本弁護士連合会