ざくっというと
コスプレモデルの募集を装って未成年の女性などをAV動画に出演させ、DVDを販売する会社の顧問弁護士の菅谷幸彦弁護士、嫌がる女性に性交動画に出演を止めさせることなどせずAV製作販売会社側の立場の顧問弁護士に対し懲戒請求が出された、菅谷幸彦弁護士は『法律を知らなかった』(職業安定法)と弁明、それなら仕方がないな~戒告しかないわと、甘い処分を出した第二東京弁護士会の議決書
先にサンケイ新聞の報道をご覧ください。
少女らにアダルトビデオ(AV)への出演を強要したなどとして有罪判決を受けた元DVD販売サイト運営者の男に対し、違法行為を止めるよう助言しなかったのは弁護士の品位を失う非行にあたるとして、第二東京弁護士会が、男の顧問弁護士だった菅谷幸彦弁護士を戒告の懲戒処分にしたことが26日、分かった。処分は20日付。
同弁護士会の懲戒委員会や綱紀委員会の議決によると、元サイト運営者の男は平成26~28年、インターネット上でコスプレモデルの募集を装って少女らを集め、東京や大阪のスタジオでAV出演に勧誘。当時18歳だった少女を脅し、承諾書に「わいせつ行為は私の意思です」と書かせたなどとして強要や職業安定法違反などの罪に問われ、30年3月に大阪高裁で懲役2年6月、罰金30万円の実刑判決を受けた。
男は23年、女子中学生の上半身裸の写真を撮ったとして、児童買春・ポルノ禁止法違反(児童ポルノ製造)容疑で警視庁に逮捕され、24年3月に懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けた。この事件で男の私選弁護人だった菅谷弁護士は同月、月3万円で男と顧問契約を締結。男の服役まで顧問弁護士を務めた。
男はAV出演に難色を示す少女らに対し、「こっちには弁護士がいるので断ったら大変なことになる。(撮影前にかかった)美容院代を返せ」などと迫っていたことが大阪府警の捜査で判明した。懲戒委は菅谷弁護士について、「漫然とそのような事業主の顧問弁護士となったことが根本的な問題だ」と指摘した。
菅谷弁護士は「(男の行為が)職業安定法上の有害業務に該当するかどうか思いを致すことが現実的に困難だった」と弁明したが、懲戒委は「(同法の)有害業務の概念について知らなかったことは弁解の余地がない」と非難。一方で「法的知見を提供し、違法行為を助長した証拠はない」として、戒告とした。
菅谷弁護士は産経新聞の取材に対し「法令を知らなかったことはミス。男の顧問に就いたのは結果としては適切ではなかったと言わざるを得ない」とした。
懲戒処分は重い順に(1)除名(2)退会命令(3)業務停止(4)戒告-がある。各弁護士会の決定に不服がある場合は、日本弁護士連合会(日弁連)に申し立てることができる。
引用産経
https://www.sankei.com/affairs/news/200126/afr2001260014-n1.html
菅谷幸彦 24173 第二東京弁護士会
菅谷・来司法律事務所
東京都港区赤坂2-2-21 永田町法曹ビル406号
北海道警察HPよりhttps://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/info/seian/huuzoku-av/huuzoku-av.html
対象弁護士にはAが(AV運営者の男、議決書には氏名記載、以下Aという)、職業安定法第63条第2号に違反する違法行為である『公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集』を行っていたことについて外形的な認識があったと認められる、
もっとも対象弁護士は、上記第4(対象弁護士の弁明の要旨)の記載のとおり、Aが平成29年に同法違反等の被疑事実で逮捕勾留されるまで、職業安定法第63条にいう「有害業務」の概念を知らず、Aが行っていた募集行為が同条項に違反することを知らなかった旨述べている。
そして対象弁護士がAが同年に同法違反の被疑容疑で逮捕勾留されるより前に、Aが行っていた募集行為が職業安定法第63条第2号に違反する犯罪行為であることを知っていたと認めるに足りる証拠はない。したがって、対象弁護士にはAの職業安定法第63条第2号に違反する行為について違法性の認識は認められない。
以上の対象弁護士の認識を前提とすると、本件では対象弁護士が顧問先であるAが職業安定法第63条第2号にいう「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行っ」ているという外形的な認識はありながら、それが同条項に違反する違法行為であるという認識はありながら、それが同条項に違反する違法行為であるという認識を欠いていたため、Aに対し当該行為を止めるよう助言等をしなかったことが問題になると考えられる。
この点、対象弁護士に違法性の認識がないからといって直ちに免責されるわけではなく、必要な法令の調査を行うなどした上で、顧問先の行為に対する是正勧告を行う等弁護士として尽くすべき責任が生じるということもあり得るというべきである。
これを本件についてみると、対象弁護士の関与は単発の法律相談ではなく、顧問弁護士として継続的に顧問先に関与するものであったところ、顧問先であるAが行っていた成人男性向けDVDの製作、販売の事業は児童の権利や社会公共の健全な風俗などの保護法益との衝突があり得るため、刑法はもとより、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律など特別法に基づく刑罰による規制が厳しくなされている分野であって、本件で問題となる職業安定法による規制も、そのような規制の一つであるといえる。
特にAは成人向けDVDの製作に際して、被写体となる女性の募集行為をも自ら行っていたというのであるから、同じ成人男性向けDVDを扱う事業の中でも、Aが行っていた事業については、例えば単に製品としての成人男性向けDVDを販売する事業に比して、上記規制違反の有無等について、より慎重な検討が必要であったともいえる。
そして職業安定法第63条第2号の違反の罪は、1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金と規定され、相当厳しい有期懲役刑を含む犯罪である以上、同条項に違反して摘発・処罰された例は、過去皆無であったなどということはなく、少なくない摘発・処罰等も存在していたことも認められ、特にAは同法違反等の罪により有罪となり、またAの犯行により複数の被害が発生していることも認められる。
以上のような対象弁護士が認識していたAの行為の内容や状況等からすれば、当委員会としては、本件において対象弁護士には、上記事業を営むAの顧問弁護士としては職業安定法による規制について必要な調査を行うべきであったにも拘わらずこれを行わず、Aに対して違法行為を行うことを止めるよう助言等しなかった点について、弁護士法第56条第1項の「品位を失うべき非行」に該当する事実が認められる。
対象弁護士において、Aの行為が職業安定法上の「有害業務」に該当するかどうかに思いを致すことは現実的に困難であった。「有害業務」概念は極めて広汎であり、有害業務に該当するか否かを事前に明確に判断することは困難である。
過去の懲戒事例として某広域指定暴力団の顧問弁護士を40年間してきた弁護士が戒告になった事例がある。暴力団は「暴力あるいは暴力的脅迫によって自己の私的な目的を達しようとする反社会集団」と定義されており、そのような組織の顧問弁護士を長年に渡り勤めた事案が懲戒されていることと比べると、以上のように、犯罪該当性を事前に明確に判断することが困難な本件は懲戒事由が認められるとまでいえない。
なお、職業安定法の有害業務の概念について知らなかったことについては弁護士職務基本規程第37条に抵触するものであり弁解の余地がない。
(注・当会)
弁護士職務基本規定 第37条(法令等の調査)
弁護士は、事件の処理に当たり、必要な法令の調査を怠ってはならない。
2 弁護士は事件の処理に当たり必要かつ可能な事実関係の調査を行うように努める
1 違法行為の助長について
綱紀委員会が認定するとおり、対象弁護士が平成24年3月以降Aの顧問弁護士であった時期にAは前記第2記載の違法行為を行っているが、対象弁護士がAの違法行為について、具体的に法的知見を提供してその違法行為を助長したことを窮わせる証拠はなく、そのような事実は認められない。
2 対象弁護士がAが違法行為を行っていることを知りながら、そのような活動を控えるよう助言することがなかったことについて
Aの外形的行為についての認識
対象弁護士がAが違法行為を行っていることを知っていたといえるかについてであるが、対象弁護士は平成24年3月には本件顧問契約を締結した当初から、Aが未成年者を含む女性が性交や性交類似行為をしている様子を撮影した成人男性向けDVDを製作、販売していること、同DVDに出演する女性を自ら募集し、スカウトしていたことを認識していたのであるから、Aが職業安定法第63条第2項に該当する違法行為である「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行っ」ていたという外形的行為については認識していたということになる。
なお対象弁護士がAの前記第2記載の違法行為のうち、強要罪等職業安定法違反以外の行為を認識していたことを認めるに足りる証拠はない。
違法性の認識
対象弁護士はAが平成29年職業安定法違反等の容疑事実で逮捕勾留されるまで職業安定法第63条第2項の規定自体を知らなかった旨、述べており、Aが行っていた募集行為が同条項に該当する違法行為であることを知っていたと認めるに足りる証拠はない。
したがって、対象弁護士にはAの行為が違法であるとの認識がなかったとものというほかない。
懲戒事由該当性
以上の対象弁護士の認識を前提とすると、本件で問題になるのは、対象弁護士が顧問先であるAが職業安定法第63条第2項にいう「公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者の募集を行っ」ているという外形的な行為の認識はありながら、それが同条項に違反する違法行為であるという認識を欠いていたため、Aに対し当該行為を止めるよう助言等をしなかったことが、弁護士法第56条第1項の「品位を失うべき非行」に当たるかということになる。
対象弁護士はAの顧問弁護士として、最低限その事業の内容・特色を理解していなければならなかったものである。そしてAが行っていた未成年者を含む女性が性交や性交類似行為をしている様子を撮影した成人男性向けDVDの製作、販売の事業はその意に反して出演を強要されるという危険があるゆえ、児童の権利や社会公共の健全な風俗などの保護法益との衝突もあり得るため、刑法のみならず、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰に児童の保護等に関する法律など特別法に基ずく刑罰による規制がなされている分野であり、職業安定法による規制もその一つということができる。
対象弁護士はAの行為が職業安定法上の「有害業務」に該当するかに思いを致すことは現実的に困難であった。職業安定法が定める「有害業務」の概念が極めて広汎であり、有害業務に該当するか否かを事前に明確に判断することは困難である等と弁明するが、そもそも対象弁護士あ、職業安定法第63条第2号の規定自体を知らなかったのであるから、Aの行為が「有害業務」に該当するかどうかという問題以前の問題であり職業安定法第63条第2項の規定を知らなかったということは何ら弁明とはならないものである。
そして、対象弁護士がAの顧問弁護士となった当時、成人男性向けDVDの出演者として性交渉等をさせる業務が「有害業務」に該当することは確立していたものであり(現に平成29年のAの刑事事件において、A及び対象弁護士はこの点をまったく争っていない)、対象弁護士が成人男性向けDVDの製作、販売を業とするAの顧問弁護士となった時点で、前認定のようなその業務の特色を意識しさえすれば、職業安定法の「有害業務」の規定を把握することはさほど困難なことではなかったものである。
しかも対象弁護士は顧問契約を締結した当初から、A自身が成人男性向けDVDに出演させていることを認識していたのであるから(なお当委員会の審査期日において対象弁護士は顧問契約を締結した当初からAがコスプレモデル募集サイトを利用して、性交渉場面を含むDVDに出演する女性を募集していたと自認するに至っている)そのような募集行為から生じ得る問題について、より一層注意して必要とされる法令の調査を行うべきだったものということができる。
以上のような対象弁護士が認識していたAの顧問弁護士として、職業安定法による規制について必要な調査を行うべきであったにも拘わらずこれを行わず、Aに対して違法行為を止めるよう助言等しなかったことは、弁護士職基本規程第37条第1項に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するものといわざるをえない
Aが行っていた未成年者を含む女性を募集して、同女らに性交や性交類似行為をさせ、その様子を撮影して成人男性向けDVDとして製作、販売する事業というのは未成年者、女性の人権を侵害する危険性を孕むものであるが、対象弁護士は漫然とそのような事業主の顧問弁護士となったことが本件における根本的問題ということができる。
対象弁護士は職業安定法の規定を知らなかったことだけでなく、結果的にAが被害者に対し顧問弁護士がいるということを強要の一つの材料として使っていたとすれば、そのことについても被害者に申し訳なかったとの反省の弁を述べ、顧問弁護士であったということ自体に問題があったことを認めている。
しかしそのような情状を考慮したうえでも、なお本件の対象弁護士の行為は弁護士としての品位を失うべき非行に該当すると評価されるものであり
よって主文のとおり議決する。
なお本件に関しては、次のような少数意見があることを付記しておく。
対象弁護士はAが成人男性向けDVDに出演させる目的で、コスプレモデルを募集するかのように見せかけたウエブサイトを開設して若い女性を反復継続して募集し、応募してきた女性に当該DVDに出演させてこれを製作、販売していたことを認識していながら、Aと平成24年3月29日に締結した女性との間で強要されたというトラブルになった際に、顧問弁護士としてその処理に当たるつもりでいたのであり、実際にもその処理に従事している。
したがって、対象弁護士がたとえ職業安定法第63条第2号の規定の存在を知らないことにより、明確な違法の意識がなかったとしても、Aが女性をしてわいせつ乃至いかがわしいDVDの製作に従事させる目的で募集していたことは明らかである。しかもAと当該DVDに出演した女性との間でトラブルが発生した際には、その解決に尽力していたのであるから、対象弁護士が、顧問弁護士として法的知見を提供していた否かにかかわらず、Aの行っていた違法行為に少なくとも加担し、これを助長していたと認められる。
そうだとすると、対象弁護士の上記行為は、当会及び弁護士一般の社会的信用を著しく棄損するものであり、多数意見の戒告処分は相当ではなく、対象弁護士には業務停止1月以上の処分をするのが相当である。
令和元年12月23日 第二東京弁護士会懲戒委員会
委員長 鈴木 統
議決書には懲戒委員12名の署名押印がありますが、今回の二弁の懲戒委員会の中に女性は1人もいません。懲戒委員に女性が就任していれば処分が変わっていたかもしれません。
女性の性被害の救済を扱う団体やNPO法人はいくつかあるようです。性被害女性団体には、弁護士も多く理事等に就任しています。AV製作・販売会社役員らに対し厳しい事を言っています。AV製作の役員に「鬼畜」と攻撃をした女性弁護士もいました。であればAV製作販売会社側の顧問弁護士に対しても、弁護士として受ける業務ではないのではないかといえば、被害の拡大を防ぐ効果があると思いますが、被害女性団体の弁護士はAV製作・販売側の顧問弁護士に対して何もいいません。同業弁護士に対しては何も言わない掟でもあるのでしょうか。
そして第二東京弁護士会懲戒委員会です。戒告の処分で良いのでしょうか?
弁護士が法律を知らないという弁明をするだけで問題だと感じますが、
少女、女性の人権よりも会員の儲けを優先する。弁護士にとってありがたい存在です。二弁に登録希望の弁護士が多いわけです。
職業安定法 第63条 |
次の各号のいずれかに該当する者は、これを1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金に処する。 一 暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者 二 公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者 |