懲戒処分取り消しの職員をけん責処分に、京都市 内部告発で児相資料持ち出し 専門家「見せしめ」と警鐘

配信

京都市の児童養護施設で起きた性的虐待事件を内部告発するため、市児童相談所の相談記録を持ち出して懲戒処分を受け、その後最高裁で処分が取り消された男性職員(49)に対し、市が厳重文書訓戒のけん責処分を出したことが13日、市への取材で分かった。最高裁で処分が取り消されたにもかかわらず、あくまで処分を出すことに固執した形だが、専門家は「公益通報を萎縮しかねない」と警鐘を鳴らす。けん責処分は同日付。  一審京都地裁と二審大阪高裁の両判決によると、男性は児相に勤務していた2015年、左京区の児童養護施設に入所する少女が施設長から性的虐待を受けた事件で、母親からの相談が放置されているとして、少女に関する記録を閲覧。印刷して自宅に持ち帰り、市の公益通報外部窓口に通報した。  市は同年12月、機密性の高い記録の閲覧や持ち出し行為が懲戒事由に当たるとして3日間の停職処分にした。だが、一、二審判決はともに記録の持ち出しには公益通報や証拠保全などの目的があると認定し、懲戒処分は「裁量権の逸脱や乱用の違法がある」とした。最高裁は今年1月、市の上告を退け、市に処分の取り消しを命じた二審大阪高裁判決が確定した。  市によると、確定判決後も再度処分を出すかどうか改めて検討した。その結果、記録の持ち出しとシュレッダーで廃棄した二つの行為については高裁判決が懲戒事由に該当すると示したため、「処分しないわけにはいかない」と判断。ただ、これらは公益通報に付随する行為で外部への情報の流出がなかったことなどから、懲戒処分より軽いけん責処分とした、という。  市コンプライアンス推進室は「けん責処分は個人情報の不適切な管理に対する戒めであり、公益通報者への報復ではない」と強調する。一方、男性は「他のけん責処分に当たる行為と比べて重すぎる処分で、納得できない。停職3日という間違った処分をしたことへの謝罪もない」と訴える。  公益通報制度に詳しい浅岡美恵弁護士は「記録の持ち出しは公益通報に不可欠な行為で、それを根拠に処分しようとするのは公益通報への萎縮効果をもたらしかねない。最高裁まで争って取り消された案件でこのような措置をすることは『見せしめ』と受け取られても仕方がない」と指摘する。

京都新聞 https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/547139

弁護士自治を考える会
この事件は、京都市の児童養護施設で起きた性的虐待事件を内部告発したことから始まります。京都市の公益通報担当の京都弁護士会の弁護士が京都市に情報を漏らしたのです。弁護士を信用するからこういうことになるのです、この事件が発覚して担当弁護士は年度末3月31日で公益通報の担当を辞任しました。京都市役所は弁護士の仕事が忙しくなったという理由ですが、たった1日で辞めるわけがありません。その年の京都弁護士会副会長に就任しています。論功行賞というやつです。公益通報の弁護士を信じて通報してはいけません。弁護士の報酬は役所から出ているのです。
もし通報するなら必ず複数の人間でするか、先に新聞記者等に情報提供を行ってからすべきです。
性的虐待の内部告発、記録持ち出しで処分は違法 2審も京都市側が敗訴

童養護施設内で起きた性的虐待事件を内部告発するために京都市児童相談所(児相)の相談記録を持ち出すなどしたことが不正な行為だとして、男性職員(49)が市から受けた懲戒処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁であった。山田陽三裁判長は、市に懲戒処分の取り消しを命じた一審京都地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却した。

 男性は児相に勤務していた2015年、児童養護施設に入所する少女の母親の相談が放置されているとして市の公益通報外部窓口に通報した。その前に事実確認のために少女に関する記録を閲覧したり、印刷して自宅に持ち帰ったりした行為で停職3日の懲戒処分を受け、処分取り消しを求めて提訴。昨年8月の一審判決で男性側が勝訴し、市側が控訴していた。
 山田裁判長は判決理由で、一審判決と同じく、担当外の児童情報の閲覧は禁止されていなかったと認定。記録の持ち出しは懲戒事由に当たるとしながらも、内部通報に付随するものとの見方を示した上で、「証拠保全や自己防衛が目的で、強く非難すべきとは言えない」と述べ、市の懲戒処分は「裁量権の逸脱や乱用の違法がある」と結論付けた。
 判決後、大阪市内で会見した男性は「不正を見つけた人が声を上げないと世の中がだめになる。判例をつくることで公益通報の制度も修正されていくと思う」と期待を込めた。 京都市の藤田洋史人事部長は「市の主張が認められなかったことについて誠に遺憾。今後、上告する方向で考えているが、判決内容を分析し、早急に対応したい」とのコメントを出した。

引用京都新聞https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/285404

京都市役所外部の窓口(弁護士)通報先・・・京都市通報相談員 後藤真孝弁護士 

〒604-0835  京都市中京区御池通高倉西入ル高宮町200番地 千代田生命京都御池ビル9階 

後藤総合法律事務所内

・通報対象・・・内部通報

・通報手段・・・電話,面談,郵便,電子メール,FAX

・電話番号・・・075-223-5550(法律事務所直通)(土,日,祝日を除く午前9時~午後5時)

備考・通報対象者の氏名は本市に知らされません。

 

 

通報した職員名が京都市に伝わる 懲戒処分も 毎日新聞 2016年3月9日 

内部告発を受け付ける京都市の公益通報外部窓口に通報した男性職員の氏名が市側に伝えられていたことが市などへの取材で分かった。窓口を担当する弁護士が伝達したという。この職員は取材に「市に伝わるとは思っていなかった」と主張している。一方、市は「『氏名の伝達を職員も了承した』と弁護士から聞いている」として問題にしない方針だ。  

40代の男性職員は児童養護施設長が児童福祉法違反容疑で逮捕された事件に関連し、逮捕前の昨年3月に公益通報外部窓口にメールで通報した。昨年12月には、被害女性の内部記録を無断で持ち出したとして停職3日の懲戒処分を受け、職員は市人事委員会に処分取り消しを求める不服申し立てをした。 職員は通報メールに「私が通報者と推認される覚悟はある」などと書いたが、取材には「あくまで覚悟を書いただけ。氏名を市に伝えるという確認は弁護士からはなかった」としている。

内部通報が行われたきっかけとなったのは京都市左京区の社会福祉法人「迦陵園(かりょうえん)」の施設長、松浦弘和容疑者が2015年9月に逮捕された事件

2014年8月5日、松浦容疑者が犯行(児童福祉法違反)に及ぶ

2015年3月、職員が公益通報外部窓口にメールで通報

2015年9月、京都府警が松浦容疑者を逮捕

2015年12月、「内部記録を持ち出した」として京都市が職員に懲戒処分を科す このやりとりがあった中で、職員が名前が知れていることを不審に思い、担当弁護士を疑ったことが内部告発者名漏洩事件の発端となりました。

 

 

2019年8月9日 1審判決時の報道

公益通報した京都市職員への停職処分取り消し命じる判決 京都地裁

児童相談所の内部資料を不正に持ち出したなどとして停職処分を受けた京都市職員の男性(48)が、公益通報で児相の対応の不備をただすための正当な行為だったとして市に処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地裁は8日、取り消しを命じた。藤田昌宏裁判長は判決理由で「職業倫理に基づく行為で懲戒処分は重きに失する」と述べた。 判決などによると、児相に勤務していた男性は2014年10月ごろ、担当外の児童に関する資料を閲覧し、市内の児童養護施設の施設長が少女に性的虐待をした疑いがあるとの相談が寄せられていたことを把握。相談から1カ月半がたっており、児相が放置した可能性があるとして、15年3月と10月に市の公益通報窓口の弁護士に内部通報し、証拠として資料を持ち出した。施設長は児童福祉法違反容疑で逮捕され有罪判決が確定したが、男性は担当外の資料の閲覧や持ち出しを理由に停職3日の懲戒処分を受けた。 判決は担当外の資料の閲覧について「禁止されていたとは認められない」などとして懲戒事由に当たらないと判断。資料の持ち出しは「重要な証拠を手元に置く目的があり、強く非難すべき点はない」として、懲戒処分は著しく妥当性を欠くと結論付けた。 男性は判決後の記者会見で「声を上げた人間がこんな報復をされて黙っていたら社会のためにならない」と述べた。市は「控訴する方向で早急に対応したい」とコメントした。引用毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20190808/k00/00m/040/374000c

 

(京都弁護士会ホームページより)2016年〔4月1日)

理事者だより
副会長 後藤 真孝(ごとう まさたか)

2016年度の副会長に就任しました後藤真孝です。
4月1日から1年間副会長を務めさせていただきます。
弁護士は、弁護士法上、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とするとされています。この使命を全うし、弁護士が、頼もしい権利の護り手であるとともに、信頼しうる正義の担い手たるには、個々の弁護士の意欲と活力が必要です。
しかしながら、弁護士業界は、司法改革の推進とともに以前と様変わりしており、必ずしも個々の弁護士が意欲と活力を十分に発揮できる環境にあるとはいえない現状です。
このような状況のもと、弁護士会は、個々の会員がそれぞれ弁護士の使命を実現しやすい環境を整えるべく、積極的に活動する必要があります。
弁護士・弁護士会が、その使命と責務を十分に自覚し、今後も皆様に信頼いただける存在であり続けるため、微力ながら、弁護士会の発展に尽力をいたす所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 

こんな不祥事があったのに京都弁護士会では公益通報専用電話を開設!?

(2016年4月1日記)
京都弁護士会ホームページより

公益通報相談のご案内
京都弁護士会では、公益通報相談専用電話を開設しました。

専用電話番号

受付時間      月~金 午前9時~正午、午後1時~4時
相談料       5,400円(消費税込)

※なお、ご相談をお伺いした結果、公益通報相談とは認められないケースは、一般の法律相談窓口をご紹介する場合があります。

公益通報とは何ですか。
企業や組織の内部の、公益にかかわる違法行為や不当・不正な行為を、内部にいる人が、企業や組織のトップ、行政機関、マスコミや消費者団体などの外部へ通報すること。

弁護士への相談では、通報者の秘密は守ってもらえるのですか。
弁護士は守秘義務が法律で定められているため、通報者の相談内容を漏らすことはありません。