少年事件の記録、保存か廃棄か 家裁の判断基準あいまい 永久保存は全国で15件のみ

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1997年に起きた神戸連続児童殺傷事件など、重大少年事件の記録が廃棄されていた問題で、永久保存を定めた最高裁の内規に基づき、全国の家裁で記録を保管している少年事件が計15件あることが25日、最高裁への取材で分かった。保存の対象例として、最高裁通達(92年)は「全国的に社会の耳目を集めた事件」などを挙げるが、佐賀家裁が西鉄バスジャック事件(2000年)を保管する一方、重大事件でありながら神戸家裁は神戸連続児童殺傷事件を廃棄するなど、判断基準の曖昧さが改めて浮き彫りになった。 少年Aへの歴史的判断を裏付ける文書「廃棄の理由不明」  神戸新聞の取材に対し、最高裁は10月上旬、18年度以降の各家裁などからの報告文書のみを確認できたとして、事実上の永久保存となる少年事件記録(捜査書類や審判記録などが含まれる法律記録)は計7件としていた。しかし、全国各地で重大事件の記録廃棄が判明する中、事態を重視し、17年度以前に認定された事件についても集約したとみられる。  全国の家裁で最も多い10件の少年事件記録を永久保存している東京家裁。神戸新聞の取材に、永久保存を決めた時期や事件の罪名は明かしたが、そこから一貫した基準は読み取れない。  95年=7件▽97年=1件▽21年=2件。98年~20年の23年間は1件もない。時期が偏っている理由や背景について、担当者は「分からない」と繰り返した。  罪名も多岐にわたる。ぐ犯=3件▽殺人=2件▽強盗殺人=2件-など、少年がまだ罪を犯していない段階の「ぐ犯」の多さも目に付く。最高裁通達の保存対象例には「少年非行等に関する調査研究の重要な参考資料になる事件」との文言もあるが、各事件の保存の理由や経緯は不明だ。  他の家裁への取材では、永久保存した理由を「当該地方における特殊な意義を有する事件」などと挙げるケースもあったが、「中央からの通達があって、大まかな定めに沿って判断した」といった曖昧な回答も目立った。  一方、神戸連続児童殺傷事件や愛知県豊川市夫婦殺傷事件(00年)、長崎小6女児殺害事件(04年)など発生当時大きなニュースとなったが記録が廃棄された少年事件についても、理由や経緯は「不明」との回答が並んだ。事件記録が既に存在しないことは確かだが、廃棄した理由や経緯を示す文書はなく、永久保存しなかった理由も調べようがない-という理屈だ。  神戸家裁は連続児童殺傷事件の記録廃棄について「運用は適切でなかった」とする一方、経緯や原因の調査はしないとしている。  全国の裁判所では19年、憲法判断が争われた歴史的な民事裁判記録が多数廃棄されていたことが判明。各家裁は20年から、永久保存の要件をより具体的に記した運用要領を定めている
引用 https://article.auone.jp/detail/1/2/5/267_5_r_20221025_1666702142638068
弁護士自治を考える会

神戸連続児童殺傷事件の全てではないがある程度の資料は日弁連に保管されています。

井垣元裁判官を業務停止=神戸連続殺傷の決定文提供―大阪弁護士会
時事通信 12/13(火)
 1997年の神戸連続児童殺傷事件で、中学3年だった加害男性を医療少年院送致とした神戸家裁の決定全文を月刊誌に提供した井垣康弘弁護士(76)について、大阪弁護士会は13日、業務停止3カ月の懲戒処分にした。井垣弁護士は決定をした裁判官。
大阪弁護士会によると、決定全文は月刊文芸春秋2015年5月号に掲載され、男性の成育歴や犯行前後の心情などが明らかになった。井垣弁護士は同年8月号に担当裁判官として知り得た事実を含む記事を執筆した。
これについて、同弁護士会は「守秘義務や少年法の趣旨に反する。関係者に多大な苦痛を与えかねず、法曹としての倫理に反する」と判断した。  井垣弁護士は処分に対し「男性の更生と世間の認識を改めさせるために全文の公表は避けられないと思い続けていた。全く納得できない」とコメントした
まるで大阪弁護士会が懲戒の申立てを行ったような記事ですが、実際、この懲戒は市民が懲戒請求者となったものです。この懲戒請求は2回出されています。文芸春秋に掲載された1回目にすぐに懲戒の申立てが出されて、その後に井垣弁護士が再度文春に投稿したので2回目の懲戒請求がなされています。2つの懲戒請求を一つとして議決されています。 井垣弁護士は懲戒請求の弁明書において、事件の内容の公開は社会にとって有意義であり必要なものであると述べておられます。
2回目の懲戒請求書(抜粋)懲 戒請求書(抜粋)2回目

平成27105日大阪弁護士会 御中

対象会員
事務所 〒560-0024 大阪府豊中市末広町
氏名 井垣康弘
懲戒の事由
対象会員は、自らが執筆した「元少年A『絶歌』に書かなかった真実」と題する記事を掲載した雑誌「文芸春秋」20158月号の出版に執筆という形で関与した。執筆について、神戸家裁はさる平成27714日付で対象弁護士に対し「同記事の中では当庁で審理した少年保護事件に関する具体的な記述がされているところ、このような記事を執筆し公にすることは、裁判官が退職後も負っている守秘義務に反する行為である上、少年法222項により非公開とされている少年審判に対する信頼を著しく損なうものであり、また、事件関係者に多大な苦痛を与えかねないものである。貴殿には、雑誌「文芸春秋」20155月号の記事に関し、410日付けで抗議し、更に守秘義務に反する行為をしないよう申入れをしたにもかかわらず、今般の記事を公にしたものであり、誠に遺憾である。よって、書面をもって抗議するとともに、今後、更に守秘義務に反する行為をすることのないよう適切な対応をとられるよう求める。」と申し入れている通りである。
懲 戒 処 分 の 公 告 2017年4月号
阪弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏 名          井垣康弘 登録番号  32533
事務所          大阪府豊中市末広町  井垣康弘法律事務所
2 処分の内容      業務停止3月
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、殺傷事件について、非行を行った少年Aの保護事件を担当した裁判官であったところ、退官して弁護士登録をした後、発行部数が多数に上る著名な月間誌に掲載されることを意図して、Aの成育歴等、既に家庭裁判所が開示していた少年審判の決定要旨より詳しい認定事実の記載された決定要旨より詳しい認定事実の記載された決定の全文を提供し、上記決定の全文は2015年4月に出版された上記月刊誌に掲載された。
(2)被懲戒者は、Aが執筆した書籍が2015年6月に公刊されたことを受けて、非公開の審判廷におけるAの供述や態度等、上記事件の担当裁判官として初めて知り得た事実が少なからず記載された記事を執筆し、上記記事は同年7月に出版された上記月間誌に掲載された。
(3)被懲戒者の上記行為は、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた年月日  2016年12月13日 2017月4月1日  日本弁護士連合会
懲戒請求の一式書面は所属の大阪弁護士会から日弁連審査課に送られます。また被懲戒者は処分は不当であると審査請求を行いました。この書類も日弁連に保管されています。推測ですが井垣弁護士は裁判所を退官した後に、事件書類をご自宅に持ち帰って整理し週刊文春に持ち込んだのではないでしょうか、また懲戒請求の答弁書には事件の書類も証拠として出されているはずです。懲戒請求者には送付しないよう「上申書」という形を取ったりしたかもしれません。
いずれにしても、日弁連に一定の書類は保管されています。井垣弁護士は今年お亡くなりになりましたのでご遺族に裁判資料が残っていないかとお聞きになってもお答えになるかどうか、(裁判資料を自宅に持ち帰ることは禁止されています)週刊文春は取材先の守秘義務があり答えないでしょう。
神戸連続殺傷事件関係書類は日弁連審査課に保管されています。審査課は5年で保管義務は終了とは言わないと思いますが