DV支援措置と保護命令の夫婦間紛争における利用状況 弁護士梅村真紀令和5年2月3日院内勉強会レジュメ

第 1 保護命令 

保護命令(裁判所HPより

配偶生活本拠共にする交際相手から身体に対する暴力ぐため被害立てにより裁判所加害に対し被害きまといならないこと命ずる命令。 

①申立親族接近禁止命令 

申立電話禁止命令 

退去命令 

12652(更新可能

根拠法 

配偶から暴力防止及び被害保護に関する法律(以下DV防止言う)(10~22

3 処分要否の判断者 →地方裁判所 

4 加害者扱いされた者の反論の機会 → あり 

第2 住民基本台帳事務における支援措置 (いわゆるDV支援措置) 

DV支援措置(総務HPより

DV被害保護するため住民基本台帳一部写し閲覧 (住民台帳11112)住民写し交付 (12122123) 及び戸籍写し交付 (20)について不当により利用されることを防止。 

期間1年間更新可能 

2 根拠法 

法律制度ない(行政通知基づく行政運用

住民戸籍発行事務における 不当な目的要件確認ため 取扱いとして総務省通知(住民基本台帳処理要領)基づき市区町村指示もの。 

かかる運用保護命令別に行う理由 

DV被害保護 

保護命令出るまで間に被害発生困るので 

* 平成251018日付 「DV被害支援措置における 加害考え方について参照 (資料1

3 要否の判断者 →市町村(住民票発行事務ため

* 支援必要性判断方法 

市町村独自必要判断できる警察配偶暴力相談センター意見聞い必要を判断することできる 

住民基本台帳事務における支援措置申出参照 

相談期間意見相談内容記載ない(資料2) なし 

加害者扱いされた者の反論の機会 

* 市町村危険判断困難あるため現状申出が撤回ない支援措置撤回困難 

第3保護命令とDV支援措置の対象暴力 

保護命令対象なる暴力定義 

DV防止10(狭義

配偶から身体に対する暴力又は生命に対する脅迫 (被害又は身体に対し加える告知する脅迫

(刑法暴行脅迫該当する暴力行為限定

暴力定義狭義する理由 

保護命令保安処分側面強い (過去行為に基づい対象行動制限課すため問題なる過去行為明確判断基準必要) 精神暴力認定難しい (警察等において犯罪該当ない保護命令相当いえる精神暴力認定できる?

<暴力

殺す殴るぞ → 該当 

バカ死ねいいのに長時間説教 該当 

対象暴力の範囲すぎる

改正動きあり (保護命令対象なる精神暴力基準特定認定可能いく必要

2 DV支援措置の対象となる暴力の定義 

① 警察庁生活安全局長通達 

保護命令同じ暴力定義採用 (DV防止6より

総務見解 

DV防止11(広義

身体に対する暴力又はこれ準ずる心身有害影響を及ぼす言動 (精神暴力含む暴力定義

総務DV支援措置において広義暴力定義採用いる根拠 不明 

第4 暴力定義の違いによる実務上の混乱 

保護命令(保護命令でさえ、却下事案が存在する) 

保護命令裁判所加害扱い反論の機会与えその最終判断する警察配偶者暴力相談センターまずは取り行われるその聞き取り内容確認も行われる (疎明必要)

(2)保護命令却下取下げの割合 (司法統計より

取下げ通常却下見込まれる事案において裁判所から取下行わ取下により終了する 

毎年申立総数20%前後却下取下げなっいる 

 

2DV支援措置 

(1)市町村支援措置する最終判断ある警察偶者暴力相談センター意見基づいて行う 

疎明不要  

加害扱いれるに対して反論機会与えられない 

(2)配偶暴力相談支援センター (男女共同参画) 意見? 内閣男女共同参画平成2510発行配偶暴力相談センター発行する証明発行手引参照(資料3) 証明発行に関する留意点 

支援センターなど相談機関暴力事実認定する機関ありませので発行する証明あくまで 相談受理証明いるもの過ぎ暴力あっこと証明するものありません。 

つまり支援センター相談者から相談受けことの証明あり暴力あった事実認定ものありません。 

保護命令が却下ないし取り消された場合、 DV支援措置はどうなるのか? 

内閣男女共同参画局平成2510発行配偶暴力相談支援セン ター発行する証明発行手引Q&A参照 (資料3

裁判所市町村連携ないため申出取り下げない 限り支援措置そのまま継続 (更新可能

保護命令却下別途支援措置継続可能 

保護命令さえ事実確認すれ20%却下(取下げ)がな れる状況あるのに反論機会与えないDV支援措置命令却下事案さえ利用可能なっいる。 

加害ないのに加害扱いている冤罪被害存在 

4DV支援措置不要な場合相談証明発行いる可能性 

支援措置 →住所秘匿する措置 

住所秘匿する必要ない 相談(暴力時期暴力内容) でも明書発行ない

経済DV別居いれ防げる精神DV等 

実例・・・ 10以上自殺未遂止めるため叩かた 

5 配偶暴力相談支援センター証明られる支援内容 (保護命令しかられない支援有無

→ 違い生じる児童扶養手当のみ(ほぼ同様保護られる

このよう状況保護命令あえて利用するいる? 保護命令利用状況 (近年2000下回っいる

第5 子がいる者が申出者となった場合のDV支援措置の効果 

支援措置利用により、 相手方を排除して監護実績を積むことができるため、離婚時の親権取得に有利 

支援措置利用 →子ども所在わからなくなる 

調停裁判手続き行う困難なる。 

最高裁事務連絡 

2行政機関による情報秘匿・加害者扱いされた者の徹底的排除 

DV支援措置行われる行政機関関係機関協力本人 子ども情報を秘匿する 

学校病院情報等 

→共同親権者あっDV支援措置における加害者扱いいれ子ども情報取得できない状況置かしまう 

支援措置における加害定義(資料1

行政運用により 共同親権例外扱い推奨いる現状 

3 DV支援措置悪用の具体的事例 

面会交流審判認められ学校行事参加妨害目的事案 

引渡し審判支援措置利用逃亡事案 

面会交流調停成立面会協議拒否ため支援措置利用事案 

強制執行免れるため支援措置悪用事案 

被害保護ため制度悪用被害生み出しいる現状 4 令和2年度における配偶暴力相談支援相談における相談件数 総数 80,579件 

同居いる未成年有る場合 39,393件 

(不明20,094 あるそれ除い半数子どもの当事者による相談

子どもいる事案におけるDV支援措置利用について(事後でも)慎重取り扱う必要ある 

第6 問題と対策 

1 被害保護初動申告内容信じ迅速行う必要あるその後その申告内容適切ものあっ確認なけ れば新た人権侵害生み出す危険がある。 

被害存在 →加害扱いれるものくる 

冤罪による親子断絶危険 

2 法律に基づかない行政の改善 

現状 

保護命令(法律基づく制度) < DV支援措置 (行政運用

法的根拠なくかつ法律より強度人権制限伴う行政運用 独り歩きいる 

DV支援措置責任負う明確ないためひとたび冤罪 被害受けその回復が困難状況至っいる。 

警察相談センター 意見言っのみ 

市町村 警察意見信じた 

省 →事務処理要領作っ最終判断判断 

支援措置と保護命令をリンクさせる必要性 

保護命令(法律基づく制度) > DV支援措置 (行政運用

DV支援措置保護命令による裁判所審査まで緊急処分べく、保護命令対象暴力DV支援措置対象暴力一致せるべき その例えば、 

支援措置継続要件として保護命令申立義務付ける 

市町村が保護命令立て手伝いする等 

支援措置により市町村負担増大いる。 

伴う別居は、その適否について司法判断 (少なくとも保護)必須としてそれない場合市役所親権対す情報秘匿義務負わないことしない市町村負担大きくなりすぎる。 

岡山里庄事案 (令和元年)(資料4

→町536(507訂正) 賠償支払い 

ここまで責任を負うべき事案だっ

保護命令とDV支援措置の比較