【弁護士裁判情報】損害賠償請求事件・9月15日判決 530号
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東京地裁

損害賠償請求事件 令和3年ワ339××
原告 新保義隆弁護士 登録番号21768 第二東京 新保法律事務所
被告 第二東京弁護士会
業務停止1月を受けた原告が処分は不当であると日弁連へ審査請求で懲戒処分が取消になりました。
業務停止から処分取消になったのは初めてです、
この事件だと推測します
弁護士会への賠償命令破棄 高裁「懲戒に根拠」=東京  2022/04/15
 破産会社の財産隠しに協力したとして、第二東京弁護士会(二弁)から業務停止1月の懲戒処分を受け、3年後に日本弁護士連合会から処分の取り消しを認められた新保義隆弁護士(59)が二弁に約8380万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が14日、東京高裁であった。鹿子木康裁判長は約4280万円の賠償を命じた1審・東京地裁判決を取り消し、原告の請求を棄却した。

 昨年1月の1審判決は、二弁が2016年に出した処分について、懲戒の可否を検討する「綱紀委員会」が「懲戒事由に当たらない」と判断した行為まで考慮されたと指摘し、違法だと認定した。

 これに対し高裁は、これらの行為は「懲戒相当」とされた行為と関連しており、処分にあたって考慮することができると指摘。処分した二弁の当時の判断について「一定の根拠があったことは否定できず、著しく妥当性を欠くとは言えない」と述べた。

読売新聞都内版 2022年4月15日

弁護士会の懲戒処分違法 東京地裁、4200万円賠償命じる 2021年1月26日の報道

 

懲 戒 処 分 の 公 告 (裁決の公告・処分取消)

日弁連広報誌「自由と正義」2019年1月号に掲載された弁護士の懲戒処分「裁決の公告」処分取消公告、第二東京弁護士会、新保義隆弁護士の処分取消公告

業務停止1月が「処分取消」に変更されました。
弁護士の懲戒処分が日弁連の審査請求により取消になることが多くなりました。
しかし、取消しなった処分は、「戒告」「処分取消」になったものです。

懲戒処分の変更のケースでも退会命令が業務停止2年に変更、業務停止3月が業務停止2月になったもの、業務停止6月が戒告に変更されたものがありますが、今回の業務停止1月が戒告に変更ではなく処分取消になったケースはたいへん珍しいケースです。

第二東京弁護士会から処分を受けた被懲戒者が処分は不当であると日弁連に審査請求を出して、これが認められたものですが2016年4月25日に処分がなされ2019年4月8日に処分取消になりました。取消まで3年かかりました。二弁で懲戒処分されたものが日弁連で完全に覆されました。二弁の綱紀委員会、懲戒委員会はいったいどういう判断で業務停止1月を下したのか、と疑問はありますが所属弁護士会の懲戒の審議は、懲戒請求者から出された懲戒請求書と被調査人の答弁書で審議し判断をします。この時の判断はこれで間違いなかった。推測ですが被調査人(審査請求人)は所属弁護士会の懲戒審議にはしっかりとした書面、重要な証拠を提出せず、処分を受けてから、これは大変なことになったと日弁連懲戒委員会に懲戒の判断が決定される重要な証拠書類を提出したのではないかと思います。常に甘い審議をやってくれた二弁がまさか業務停止を選択するとは思ってもみなかったのかもしれません。3年経って処分取消になって業務停止中の損害はどうしてくれるのか、と審査請求人が二弁に対し損害賠償請求訴訟の提起も考えられますが、そこまではしないでしょう?二弁はその時に出された書面での判断しただけと弁明するからです。
懲戒請求者に対して損害賠償請求を申し立てることもほとんど無いでしょう。懲戒請求者は弁護士会に弁護士の非行容疑を通報しただけです。まったく根も葉もない弁護士を陥れるだけの目的の懲戒請求ではないからと思います。二弁が業務停止の処分を出すような懲戒請求書や証拠書面が明かな虚偽、偽造ということであれば別ですが、弁護士の懲戒制度とはこういう仕組みです。この懲戒は結了となりました。

懲 戒 処 分 の 公 告 2016年8月号

第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 処分を受けた弁護士
氏名 新保義隆  登録番号 21768
事務所 東京都千代田区内幸町1-1
新保法律事務所
2 処分の内容   業務停止1月(2019年4月12日 審査請求 処分取消)

3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、2007年以降A株式会社の取締役会の主導権を確保したA社の株主であるBらが代表者である米国のC社に対するA社の他の株主からの損害賠償請求を免れ、またA社のBらと対立する株主の権利を失権させるために、2008年6月にA社の自己破産申立て等をして破産手続開始決定を得ることを企画して事を進めていた経緯を認識した上で同年5月24日、A社との間でA社の使途不明金の支出先に対する不当利得返還請求訴訟事件について着手金を315万円とする委任契約書を作成し、同年6月2日A社の準自己破産申立事件について報酬を735万円とする委任契約書を作成し同年5月26日に上記両事件の弁護士報酬及び諸費用の預り金としてA社から先行して被懲戒者の銀行口座に2500万円を送金させる等して破産原因を存在が疑わしいA社について破産原因を演出して破産手続開始決定の取得を容易ならしめる行為に協力し、またBらの上記事情に乗じて、弁護士報酬として適正かつ妥当とはいえない過大な報酬を提示し受領した。
被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規定第14条及び第24条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分が効力を生じた年月日2016年4月25日 2016年8月1日  日本弁護士連合会