弁護士資格のない事務職員らに法律業務 神奈川県弁護士会が懲戒手続き

 神奈川県弁護士会は9日、弁護士資格のない事務職員らに法律事務に当たらせ、弁護士職務基本規程に反したとして、鈴木健法律事務所(横浜市中区)の鈴木健弁護士(55)の懲戒手続きを開始したと発表した。鈴木弁護士は弁護士法違反(非弁護士との提携)の罪で起訴された元衆院議員の今野智博被告(49)の共同受任先で、県弁護士会は事案の重大性や被害拡大防止の観点から、懲戒処分の決定前に公表した。

 県弁護士会によると、鈴木弁護士は2月下旬ごろから、被害回復の難しい事案が多い投資詐欺事案について「お金を取り戻します」「被害金が返金されて解決」などと被害者が誤認するような内容を事務所のホームページ上に表示させていた。
 また、受任する際も弁護士が行う事情聴取や弁護士報酬などの説明の多くを同被告の事務職員に行わせた上、事件処理の労力や回収可能性に見合わないおそれのある高額な着手金を提示していた疑いがある。

8月10日付 カナロコhttps://www.kanaloco.jp/news/social/article-1101592.html

弁護士自治を考える会
以下の報道もありました
今野智博容疑者の「共同受任先」弁護士も名義貸し行為か 元衆院議員の関係する弁護士法違反事件
2024年7月2日 
 弁護士資格のない男女に自分の名義を使わせ、詐欺被害金返金手続きの法律事務をさせたとして、元自民党衆院議員で弁護士の今野智博容疑者(48)が弁護士法違反(非弁提携)容疑で警視庁に逮捕された事件で、今野容疑者の「共同受任先」の弁護士も、無資格者に名義を貸して法律事務をさせた疑いがあることが、捜査関係者らへの取材で分かった。

◆着手金を支払ったのに弁護士と直接やりとりする機会なし

 共同受任先は神奈川県弁護士会所属の鈴木健氏。警視庁捜査2課は、鈴木氏の行為も同法違反に当たるか慎重に調べている。
 鈴木氏に依頼した詐欺被害者らによると、鈴木氏は複数の広告サイトで「詐欺被害の返金は弁護士にお任せください」「早めに弁護士に相談すれば返金の可能性が高くなる」などとPRし、今野容疑者を「共同受任先」と紹介。だが、当初から事務職員を名乗る男性が対応し、着手金を払った後も鈴木弁護士と直接やりとりする機会は一度もなかったという。
 本紙はサイトに掲載された依頼受け付けフリーダイヤルと事務所に電話をかけたが、いずれもつながらず、事務所が入る横浜市中区のレンタルオフィスを訪ねても応答はなかった。県弁護士会は「問題は把握している。会として対応を検討している」と説明した。

◆裏切られた「ここなら大丈夫だろう」

鈴木健弁護士の相談窓口のLINEアカウントから依頼者に送られてきたメッセージ=依頼者提供(一部画像処理)

鈴木健弁護士の相談窓口のLINEアカウントから依頼者に送られてきたメッセージ=依頼者提供(一部画像処理)

 投資詐欺で200万円を失った千葉県の30代男性会社員は4月、わらにもすがる思いで鈴木健弁護士のフリーダイヤルに電話を入れた。インターネットで見つけたサイトには「共同受任先」として今野智博元衆院議員の名前。詐欺に遭って疑心暗鬼になっていた男性も「ここなら大丈夫だろう」と信じた。
 電話に出たのは事務員の「アオヤギ」を名乗る男。まずLINEのトークに誘導され、そこで被害状況を説明した。やりとりが再び電話に戻ると、アオヤギは「被害から時間がたっていないから、お金が戻る望みはある」と強調。さらにLINEで「弁護士ができること」として、だまされて金を振り込んだ口座の照会などを挙げた。
 電話とLINEでやりとりを重ねた後、着手金の24万2000円を支払った。鈴木弁護士と直接話す機会は、一向に訪れなかった。時々LINEで口座情報の照会をかけたなどと報告が入る程度で、それもやがて途絶えた。同じ頃、共同受任先の今野容疑者が警視庁に逮捕されたとニュースで聞き、驚愕(きょうがく)した。
 すぐ鈴木氏のフリーダイヤルや事務所の電話に連絡したが、誰も出ない。LINEでメッセージを送っても返信がない。「まさか弁護士が依頼者を裏切るなんて…」。予期せぬ二次被害に遭った男性は「もう何を信じたらいいか分からない」とつぶやいた。
以上 東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/article/337227