弁護士報酬審査基準 第一東京弁護士会法律相談マニュアル
⑤ 第9章 委任契約の清算
(委任契約の途中終了)
第44条 委任契約に基づく事件等の処理が、解任、辞任又は委任事務の継続不能により、中途で終了したときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、委任事務処理の程度に応じて、受領済みの弁護士報酬の全部若しくは一部を返還し又は弁護士報酬の全部若しくは一部を請求する。
2 前項において、委任契約の終了につき、弁護士のみ重大な責任があるときは、弁護士は受領済みの弁護士報酬の全部を返還しなければならない。ただし、弁護士が既に委任事務の重要な部分の処理を終了しているときは、弁護士は、依頼者と協議のうえ、その全部又は一部を返還しないことができる。
3 第1項において、委任契約の終了につき、弁護士に責任がないにもかかわらず、依頼者が弁護士の同意なく委任契約を終了させたとき、依頼者が故意または過失により委任事務処理を不能にしたとき、その他、依頼者に重大な責任があるときは、弁護士は、弁護士報酬の全部を請求することができる。ただし、弁護士が委任事務の重要な部分の処理を終了していないときは、ぞの全部については請求することができない。
(事件等処理の中止)
第45条 依頼者が着手金、手数料又は委任事務処理に要する実費等の支払いを遅滞したときは、弁護士は、事件等に着手せず又はその処理を中止することができる。
2 前項の場合には、弁護士は、あらかじめ依頼者にその旨を通知しなければならない。
(弁護士報酬の相殺等)
第46条 依頼者が弁護士報酬又は立替実費等を支払わないときは、弁護士は依頼者に対する金銭債務と相殺し又は事件等に関して保管中の書類その他のものを依頼者に引き渡さないでおくことができる。
2 前項の場合には、弁護士は速やかに依頼者にその旨を通知しなければならない。