弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2024年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・徳島弁護士会・早渕正憲弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・交通事故事件の杜撰な事件処理
報道がありました。
徳島弁護士会は2024年3月27日に会見を開き、本人の意思を確認することなく損害賠償手続きを進めたとして、会員の早渕正憲弁護士を業務停止1か月の懲戒処分にすると発表しました。
(徳島弁護士会の会見) 「心よりお詫びを申し上げます」
徳島弁護士会によりますと、早渕弁護士は2015年に発生した交通事故の被害者の父親から損害賠償請求手続きを委任され、代理人と称して手続きを進めました。 しかしこの間、被害者本人と面談するなどしてその意思を確認することをせず、弁護士費用の説明や契約書の作成を怠ったということです。 また、損害賠償として受け取った4000万円のうち、860万円を20234月まで引き渡さなかったということです。 このため徳島弁護士会は、早渕弁護士を3月27日付で業務停止1か月の懲戒処分としました。 早渕弁護士は1997年度には徳島弁護士会の会長を務めていました。四国放送https://news.yahoo.co.jp/articles/a7706756601f16792812ec2ccd9c9c9fe0ae60f1#:~:text=
早渕正憲弁護士は処分公表後 弁護士登録を取り消しました
徳島弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 早淵正憲
登録番号 16467
事務所 徳島市中洲町3-43-1
早渕法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止1月
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、2017年8月から10月ごろ、懲戒請求者から相談を受け、同人の息子Aが被害に遭った交通事故に基づく損害賠償請求手続について委任を受けるにあたり、Aとの面談その他の方法によりAの意思を直接確認せず、Aの代理人と称して、上記手続に関する法律事務を行った、
(2)被懲戒者は、上記(1)の手続の委任を受けるに当たり、A及び懲戒請求者に対し、委任事務処理に要する弁護士報酬及び費用について説明せず、また、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなかった、
(3)被懲戒者は、上記(1)の手続について、自賠責保険会社に対して被害者請求を行い、同年7月11日頃、自賠責保険会社から損害額4000万円が被懲戒者名義の口座に振り込まれたものの、Aから被懲戒者に対する委任は、遅くとも2017年10月10日の時点でAの意思能力を欠いた状態にあったため無効なものであるから、被懲戒者にはAの代理人として上記損害賠償額を受領する権限はなく、速やかにこれをAに引き渡すべき義務があったにもかかわらず、上記4000万円のうち3136万円をA名義の口座に送金しただけで、残金864万円は弁護士報酬名目で差し引き、これをAに引き渡さなかった。
(4)被懲戒者は、上記(1)の手続に関し、Aのために交通事故に関する関係書類を事実上保管し、その後、交通事故の加害者BがAに対して申し立てた民事調停においてAの特別代理人に選任された懲戒請求者から委任を受けてAの代理人に選任されたことに伴い、上記関係書類も被懲戒者がAから適法に預かり保管している関係になったところ、上記調停が不成立で終了し、2021年9月15日、懲戒請求者から紛議調停の申立てを受け上記関係書類の返還を求められたにもかかわらず、これをAに返還しなかった。
(5)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第22条第1項及び第2項に、上記(2)の行為は同規程第29条第1項及び第30条債1項並びに第2項に、上記(4)の行為は弁護士職務基本規程第45条に違反し、上記各行為はいずれも、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2024年3月27日 2024年8月1日 日本弁護士連合会