【懲戒委員会議決後の手続】懲戒処分言渡し及び送達
(弁護士懲戒手続きの研究と実務 日本弁護士連合会調査室編)
1総論 懲戒委員会が弁護士を懲戒に付する旨議決した時は、弁護士会はこれに拘束され、速やかにその弁護士を懲戒しなければならない。そして弁護士会が、対象弁護士を懲戒するときは、対象弁護士等に懲戒処分の内容及びその理由を書面により通知しなければならない。(法64条の6第1項)懲戒書を作成し懲戒を受ける弁護士等に対し、懲戒書を読み上げて言い渡しをしたうえ懲戒書の正本を送達するか、又は言渡しをしないで懲戒書の正本を送達して行うこととなろう (190頁)
戒告の場合は懲戒書が郵送され受け取った時に処分がなされたことになります。
業務停止の言渡しは、弁護士会に対象弁護士を呼び出し懲戒書を読み上げ、業務停止期間中の心得えを渡し、弁護士バッジを預かるというのが一般的です。
言渡し及び送達
懲戒の言渡しをするとの規定のある弁護士会の場合は、懲戒を受ける弁護士等に対しあらかじめ言渡し期日の通知をしておけば言渡し期日に懲戒を受ける弁護士等が出頭しなくても、懲戒の言渡しを行い得る。
ただし、この場合懲戒を受ける弁護士等には現実にその内容が知らされていないのであるから、懲戒の効力発生時期としては懲戒書の送達がなされた時と解すべきである。
懲戒を受ける弁護士等に、懲戒書の正本を送達する方法は、言渡し期日に出頭したときは言渡し後、その場で交付すれば足り、不出頭のときあるいは言渡しを要しない弁護士会の場合は配達証明取扱いの書留郵便によりその住所宛てに送達することとなろう。
懲戒を受ける弁護士等の所在が不明で不送達となることもありうるが、このような場合に備え会館内への掲示、官報への掲載等の方法による公示送達を行うことができる旨を会則・会規中に規定しておけば不都合を生じないですむ。
なお、対象弁護士が代理人を選任している場合、言渡し及び懲戒書の送達は本人、代理人のいずれかに対して行うこともできると解されるが、懲戒処分の性質上、本人に対して行うことが望ましい。ただ、本人が所在不明等必要がある場合には、代理人に対して行えば足り、公示送達の必要がない。
昭和43年1月20日の理事会において「懲戒処分は、当該会員にこれを告知した時、直に効力を発生する」以後告知時説による取扱いをして今日にいたっている。199頁