弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2025年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・愛知県弁護士会・平野曜二弁護士の懲戒処分の要旨
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処分理由・離婚事件の不適切な事件処理
初の処分で業務停止1月、盛たくさんの非行、処分要旨が長い!
報道がありました
弁護を引き受けた依頼人からの預かり金を一定期間、返還しなかったなどとして愛知県弁護士会は70代の弁護士を業務停止1か月の懲戒処分としました。
懲戒処分を受けたのは愛知県弁護士会に所属し、名古屋市に事務所を置く平野曜二弁護士(73)です。
弁護士会によりますと平野弁護士は7年前に依頼人から元夫名義の預金債権の仮差し押さえなどの申し立てを受任しましたが、契約が終わったあとも預かり金330万円を一定期間、返還しなかったということです。
また、依頼人が作成した文書の内容について侮辱するようなことを言うなど不適切な行為があったということです。依頼人からのたび重なる請求を受けて預かり金は返還されたということですが、県弁護士会は一連の行為が弁護士法に違反するとして平野弁護士を業務停止1か月の懲戒処分としました。
記者会見をした愛知県弁護士会の伊藤倫文会長は「司法制度の一翼を担う弁護士の多岐にわたる違反行為は市民の信頼を損なうもので心よりおわび申し上げる」と陳謝しました。
NHKhttps://www3.nhk.or.jp/lnews/nagoya/20250321/3000040378.html#:~:text
中日新聞の報道 3月21日
愛知県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 平野曜二 登録番号 17829
事務所 名古屋市中区丸の内3-5-35 弁護士ビル504 平野曜二法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止1月
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、2018年7月頃、懲戒請求者から、夫婦関係調整調停申立事件、預金債権の仮差押申立事件を受任したが、これらの事件の受任にあたり委任契約書を作成せず、同月11月に懲戒請求者から委任されて提起した離婚訴訟についても委任契約書を作成しなかった。
また、被懲戒者は、懲戒請求者から事件を受任するに当たり、弁護士費用に関する明確な説明を行わず、懲戒請求者が被懲戒者を解任する旨通知した、2019年6月18日以降、支払った弁護士報酬の説明を再三求めたにもかかわらず、領収書の但し書きに記載しているとおりである等と回答するのみで、懲戒請求者に改めて説明することを理由なく拒否続けた。
(2)被懲戒者は、2019年2月、懲戒請求者が作成した文書の余白に二度にわたり「バカ」と自らの依頼者を罵り屈辱する記載をして返信して「あなたには文才がない」と懲戒請求者を揶揄するような表現をわざわざ記載した文書を懲戒請求者に返信した。
また、被懲戒者は、同年8月18日、懲戒請求者より解任を告げられ、弁護士費用である着手金に該当する分の明細を明確にした上で返還してほしいと求められたのに対し、委任契約上返還すべき着手金があるかどうか検討し、その説明をする必要があったにもかかわらず、その説明をすることなく、懲戒請求者を被告とした民事訴訟を起こす旨を記載した文書を懲戒請求者にファクシミリで送信し、同月28日、「お金に汚い性格」「本当にエゲツナイ人」と懲戒請求者を罵り、屈辱した表現を記載した文書を懲戒請求者にファクシミリで送信した。
(3)被懲戒者は、上記(1)の借差押申立事件について、裁判所の決定に基づき、2018年8月9日に320万円、同月10日に10万円の計330万円の供託金をそれぞれ第三者供託の方式で建て替えて供託し、同月31日に懲戒請求者が上記供託金相当額320万円を被懲戒者に支払ったところ、供託金取戻請求権は第三者供託をした被懲戒者に帰属し、懲戒請求者において供託金を取り戻し、これを懲戒請求者に対して返還する義務を負い、自らその義務を負うことを知り、それを履行することが可能であったにもかかわらず、上記(1)の離婚訴訟の顛末の報告、被懲戒者への謝罪を条件とすることに固執し、懲戒請求者がA弁護士らに委任して提起した上記供託金相当額等の支払を求める損害賠償請求訴訟の2021年12月10日の期日まで、不当に履行を拒否し続けた。
(4)被懲戒者は上記(3)の供託金取戻請求権の債権譲渡の方法への協力を依頼した懲戒請求者に対し2020年3月23日、これを拒否し、法律上の根拠を含めて懲戒請求者及び同人が依頼した弁護士から直接文書にて誠実に返事をもらいたい旨を要求し、同月26日、これを受けたA弁護士から懲戒請求者の代理人であることが明示された供託金の取戻手続に関する説明文書を送付されて回答を得たにもかかわらず、同年4月1日、あえてA弁護士を介さず、懲戒請求者を非難し、被懲戒者へのお詫びが前提である等の交渉の条件を付した内容証明郵便による文書を、直接、懲戒請求者に送付し、懲戒請求者が上記(3)の損害賠償請求訴訟を提起した後の2021年10月になってもなお、A弁護士らの対応を正当な理由なく非難する内容の文書を直接、懲戒請求者送付した。
(5)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第29条及び第30条に、上記(2)の行為は同規程第6条に、上記(3)の行為は同規程第5条、第6条及び第45条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2025年3月18日 2025年8月1日 日本弁護士連合会