令和6年ワ25878号 6部甲
原告 池内恵 代理人 河瀬季、高橋康允、武中裕貴、山極光也(モノリス)

被告 飯山陽 代理人 安田修、野中信敬 (大島総合)
被告 島田洋一 代理人 小林公明

● 令和6年9月21日(20日付)提訴
★令和7年12月12日の期日は取消 令和8年3月18日判決

1 令和6年1月29日
https://twitter.com/ProfShimada/status/1751740298513043554
外務省は、多少なりとも反省の意を示すなら、中東問題で常に間違ってきた東大・池内某ら「銭ボケ御用教員」への資金拠出も停止すべきだ。
■日本政府も、資金拠出を一時停止 ハマス攻撃 国連職員関与疑惑

2 令和6年2月1日
https://twitter.com/IiyamaAkari /status/175294170213576803
なるほど、東大教授・池内恵氏は匿名垢と共謀して飯山陽の「いかりちゃんねる」の広告剥がし、BANを目指す活動をし、さらに立法府にも圧力をかけ法整備までするわけか。東大教授というのは、気に入らない人間を黙らせ、社会から抹殺する力を持っているということか。大した権力者よの。

請求の趣旨
1 被告島田洋一は、原告に対し、金144万1000円及びこれに対する令和6年1月29日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。
2 被告飯山陽は、原告に対し、金144万1000円及びこれに対する令和6年2月1日から支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。
3 訴訟費用は被告らの負担とする。
 との判決並びに仮執行宣言を求める。

請求の原因
第1 当事者
1 原告 
  原告は、イスラム政治思想を専門とする国際政治学者であり、東京大学先端科学技術研究センター(先端研)において教授を務める自然人である。また、原告はSNSであるXにおいて表示名を「Satoshi Ikeuchi 池内恵」、ユーザー名を「@chutoislam」とするアカウントを管理・運営している。
2 被告ら
 (1)  島田洋一(以下「被告島田」という。) 
 被告島田は、国際政治学者であり、福井県立大学学術教養センター名誉教授を名乗っている言論人である。

 (2) 〇〇〇陽(以下、活動名から便宜上「被告飯山」という。)
 被告飯山は、イスラム思想研究者であり、現在は、動画配信サイトYouTubeや、「X」において、「飯山陽」の名で発信を行っている言論人である。なお、被告飯山の本名は〇〇〇陽であるが、旧姓を用いて言論活動を行っている。

第2 権利侵害
1 投稿内容について
  被告島田は、令和6年1月29日、別紙投稿記事目録1の投稿を行った。また、被告飯山は、令和6年2月1日、別紙投稿記事目録2の投稿を行った(以下、被告島田の投稿を「本件投稿1」、被告飯山の投稿を「本件投稿2」といい、あわせて、「本件各投稿」という。)。
  原告は、各アカウントの利用者を特定するために、訴外X Corp.に対して発信者情報開示命令申立を行った。
  その結果、各アカウントの投稿の権利侵害の明白性が認められ、被告島田については令和6年6月19日に東京地方裁判所民事第9部において、発信者情報開示命令の決定が発令された。
さらに、被告飯山については、令和6年7月24日に東京地方裁判所民事第9部において、発信者情報開示命令の決定が発令された。
2 同定可能性
  別紙「権利侵害の説明」のとおりである。
3 本件各投稿の名内容が名誉権侵害又は名誉感情侵害に該当すること
  別紙「権利侵害の説明」のとおりである。

第3 故意過失
  本件各投稿の権利侵害性は文面から明白であり、被告らには故意か認められる。

第4 損害 
1 慰謝料
  原告は、被告らから、X上において、被告らが管理するアカウントから人格権侵害の内容が多数含まれた投稿を受け、これにより多大な精神的苦痛を負った。
  被告島田及び被告飯山は、インターネット上及び雑誌上において、原告に対する攻撃的な言論を同調して複数回にわたって行っており(被告島田及び被告飯山が雑誌において原告を攻撃する名内容の対談を行っているものとして、甲7が一例である。)、本件投稿もその一環としてなされたものである。。
  被告島田の投稿は2290回もリポストによって拡散され、総計で11.8万回表示されており、被告飯山の投稿は3144+97=3241回もリポストによって拡散され、総計で21.5万回表示されているから、被害としても甚大である。
 これらの被告らの投稿によって受けた精神的損害を換算すれば、それぞれ金100万円は下らない。

2 調査費用
  Xにおける匿名の投稿者を特定するためには、訴外Xに対する発信者情報開示黎明手続き経る必要があるところ、法律問題に詳しいわけではない通常の一般人が、このような手続の内容を認識しているとは考え難い。したがって、原告が専門的知識を有する弁護士に対して本件各投稿の投稿者を特定するには至極当然であり、かつ、また、やむを得ないものであったということができる(このような理屈のもと、発信者情報開示にかかる調査費用の全額を発信者に負わせた事例として、東京高裁平成27年5月27日、東京高裁令和3年5月26日参照)。
 原告は被告らを特定するに当たり、原告訴訟代理人と、以下の条件でXに対する発信者情報開示命令を申し立てる契約を締結している。
 着手金;33万円及び対象投稿が2以上の場合、投稿数から1を除いた数に金1万1000円を乗じた金員の合計額
 報酬金:33万円及び対象投稿が2以上の場合、投稿数から1を除いた数に金1万1000円を乗じた金員の合計額
 【計算式】
 (34万1000円+34万1000円)÷2(人)=34万1000円
 よって、不法行為と相当因果関係の範囲内として認められるべき調査費用として、被告島田及び被告飯山それぞれに対し、34万1000円ずつを請求する。

3 弁護士費用
  原告が訴訟提起の為に要した弁護士費用のうち、相当因果関係の範囲内と考えられる慰謝料の1割に相当する弁護士費用として、被告島田との関係で10万円を、被告飯山との関係で10万円を、それぞれ請求する。

第5 結論
よって、原告は、民法第709条に基づき、
 被告島田に対して金144万1000円及びこれに対する本件投稿1の投稿日である令和6年1月29日から支払い済みまで年3分の割合による遅延損害金の支払を、
 被告飯山に対して金144万1000円及びこれに対する本件投稿1の投稿日である令和6年2月1日から支払い済みまで年3分の割合による遅延損害金の支払を、それぞれ求める。

権利侵害の説明
1 投稿1(被告島田投稿)
  (1) 同定可能性
 本件投稿1は、その投稿内容において、「東大・池内某ら」というように、原告の姓名を完全に明示しているわけではないものの、一般の閲覧者をして、この「東大・池内某」という文言が原告を示唆しているものであろうことは疑いの余地はないから、同定可能性は認められる。
 (2) 名誉権侵害
   ア 事実の摘示
 被告島田による「外務省は、多少なりとも反省の意を示すなら、中東問題で常に間違ってきた東大・池内某ら「銭ボケ御用教員への資金拠出も停止すべきだ。」という記載は、特に中東問題で常に間違ってきた東大・池内某ら」という部分において、原告がこれまで中東問題ですべてのことを間違えてきた、という事実を摘示している。それゆえ本件投稿1は、一般閲覧者をして、原告がまるで毎回中東問題において誤った判断をしてきた、という印象を与えるものであり、原告の社会的評価を低下させるものである。
  イ 意見論評としての主張(予備的主張)
なお、仮に、本件投稿1が事実の摘示ではなく意見論評であると判断されるとしても、「中東問題で常に間違ってきた東大・池内某ら「銭ボケ御用教員」」という表現は、原告の専門分野である中東において常に間違った発言を行っていることを前提事実として意見を述べるものであるから、専門分野について誤情報を流すという趣旨である以上、原告の社会的評価が低下することは変わらない。

 (3) 名誉感情侵害
 本件投稿1の「銭ボケ御用教員」という記載は原告が、外務省の拠出金をあてにした、国家機関の息のかかったイエスマンである、と侮辱する表現である。これは、看過し難い、明確かつ程度の著しく侵害行為がされているといえるから、社会通念上の受忍限度を超えるもので名誉感情を侵害する。

2  投稿2(被告飯山投稿)
  (1) 同定可能性
   本件投稿2は、その投稿内容において、「東大教授・池内恵氏」という原告のフルネームを記載しているから、本件投稿2は、原告を対象とした投稿内容であることは疑う余地がなく、同定可能性は認められる。
 (2) 名誉権侵害
  ア 事実の摘示
  被告飯山の「なるほど、東大教授・池内恵氏は匿名垢と共謀して飯山陽の「いかりちゃんねる」の広告剥がし、BANを目指す活動をし、さらに立法府にも圧力をかけ法整備までするわけか。東大教授というのは、気に入らない人間を黙らせ、社会から抹殺する力を持っているということか。大した権力者よの。」という記載は、特に、「東大教授というのは、気に入らない人間を黙らせ、社会から抹殺する力を持っているということか。大した権力者よの。」という箇所において、原告が自らにとって好ましくない人物を、社会的に排除する力を有している、という事実を摘示している。
 イ 意見論評としての主張(予備的主張)
 なお、仮に、本件投稿2が事実の摘示ではなく意見論評であると判断指されるとしても、【YouTubeプラットフォームやその他公的機関に圧力をかけることによって飯山陽の表現の自由を奪った】ことを前提事実とする者である以上、原告の釈迦的評価が低下することは変わらない。
 ウ 小括
   本件投稿2は、一般閲覧者をして、原告が東京大学教授という社会的地位に立脚して、自己によって都合の悪い人間を社会的に排除しているという印象を与えるから、原告の社会的評価を低下させるものである。

第2 結語
  以上より、原告の請求は速やかに認められるべきである。