弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。「日弁連広報誌・自由と正義」2017年1月号に公告として掲載された弁護士の懲戒処分の公告、熊本県弁護士会・大村豊弁護士の懲戒処分の要旨

2017年1月に戒告処分があり2回目の処分となりました。
【1回目処分の理由】
事件受任時に委任契約書を交わさず、着手金等の説明がなかった。
とあります。今回は守秘義務違反及び怠慢な事件処理と一言では片付けることはできませんので処分要旨をご覧ください
懲 戒 処 分 の 公 告
熊本県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので懲戒処分の公告及び公表に関する規程第3条第1号により公告する。
1 処分を受けた弁護士
氏 名        大 村 豊
登録番号       17867
事務所        熊本市中央区京町14
           大村法律事務所
2 処分の内容    業務停止1月
3 処分の理由
(1)被懲戒者は、Aが提起した懲戒請求者に対するAと株式会社Bとの間の土地の売買契約が虚偽表示で無効あり、転得者の懲戒請求者は善意の第三者ではないとして上記土地の所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴訟につき懲戒請求者から受任し上記売買契約は有効であり、仮に虚偽表示であったとしても懲戒請求者は善意の第三者であるとして争い、第一審で敗訴した後、懲戒請求者から懲戒請求者の債権の回収を図るため情報提供を前提としたC株式会社との交渉を受任したところ、懲戒請求者との間で情報提供の目的方法、対価等の具体的条件を協議することなく2014年2月12日にC社に対し無条件で上記訴訟に関する第一審判決書の訴訟資料を送付した。
(2)被懲戒者は上記送付後もC社との間で懲戒請求者に支払う情報提供料について具体的な交渉をしなかった。
(3)被懲戒者は上記訴訟が上告審に係属していたにもかかわらず、C社から懲戒請求者らに対する上記売買契約は詐害目的であるとして上記土地に係る懲戒請求者の所有権移転登記の抹消登記手続を求める訴訟、及びこれを本案として懲戒請求者を債務者とする上記土地の処分禁止の仮処分の申立てにつき受任した。
(4)被懲戒者はC社が2014年6月13日に提起した上記(3)の訴訟及び同年7月4日に申し立てた上記仮処分の申立てにおいて、これらが認められると懲戒請求者は上記土地に関し何ら権利を有しないことになり、法的にC社に一定の利益を請求することができなくなるにもかかわらず、上記売買契約が詐害行為であり、懲戒請求者は詐害行為につき悪意である旨を主張した。
(5)被懲戒者の上記(1)行為は弁護士職務基本規定第23条に上記(2)及び(4)の行為は同規程21条、第22条第1項及び第36条に上記(3)の行為は同法第25条第1号及び同規程第27条第1号の趣旨に違犯しいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日   2018年10月2日
2019年1月1日   日本弁護士連合会
 
弁護士職務基本規程 
(正当な利益の実現)
第二十一条 弁護士は、良心に従い、依頼者の権利及び正当な利益を実現するように 努める。
(依頼者の意思の尊重)
第二十二条 弁護士は、委任の趣旨に関する依頼者の意思を尊重して職務を行うも のとする。
2 弁護士は、依頼者が疾病その他の事情のためその意思を十分に表明できないときは、適切な方法を講じて依頼者の意思の 確認に努める。
(秘密の保持)
第二十三条 弁護士は、正当な理由なく、依頼者について職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は利用してはならない。
第二十五条 弁護士は、特別の事情がない限り、依頼者と金銭の貸借をし、又は自己の債務について依頼者に保証を依頼し、 若しくは依頼者の債務について保証をしてはならない。
(職務を行い得ない事件)
第二十七条 弁護士は、次の各号のいずれかに該当する事件については、その職務を行ってはならない。ただし、第三号に 掲げる事件については、受任している事件の依頼者が同意した場合は、この限りでない。
一 相手方の協議を受けて賛助し、又はその依頼を承諾した事件
1回目戒告 
懲 戒 処 分 の 公 告 2017年1月号
1    処分を受けた弁護士  大村豊   17867
2 処分の内容    戒 告
3 処分の理由
被懲戒者は、懲戒請求者から損害賠償請求訴訟事件を受任したが、例外的に委任契約書の作成を要しない場合でないにもかかわらず、委任契約書を作成しなかった。被懲戒者は、上記事件の控訴受任時にも、合理的な理由なく委任契約書を作成せず、懲戒請求者に対し、着手金、文書代及び日当について適切な説明を行わなかった。
被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第29条第1項及び第30条に違反し上記(3)の行為は同規定第38条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日 2016年9月26日 2017年1月1日   日本弁護士連合会