3/27(金)
死刑判決を不服として植松聖被告(30)の弁護人が控訴しました。
植松被告は2016年、神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で入所者19人を殺害した罪などに問われ、今月16日に横浜地裁で死刑判決を言い渡されました。横浜地裁によりますと、27日に植松被告の弁護人が死刑判決を不服として控訴したということです。植松被告は13日、ANNの接見取材に対して「どんな判決が出ても控訴しない」「弁護士が控訴しても取り下げる」と話していました。
引用時事https://www.jiji.com/jc/article?k=2020032701052&g=soc
弁護士の非行専門ブログです。世間の注目を集めた悲惨な事件でしたが、当会は事件の内容又判決内容についてコメント致しません。被告人には控訴する権利もあります、控訴したことに何も言うことはありません。
しかし、被告人の弁護人が被告人の意思に反して勝手に控訴することは許されないのではないかと思います。被告人の意思、罪に向き合い刑を受けることよりも、弁護士の「死刑反対」という目的の控訴でしょう。
被告人の意思に反して弁護士が勝手にやったことであれば、弁護士としての非行にあたります。当然弁護人も知ってのうえでの控訴でしょう。懲戒の申立てがあったとしても厳しい処分は出ないでしょう。
控訴審の弁護人に対する委任契約書が出るかどうかです。控訴趣意書は被告人の意思に反してどう述べるのか、
こういう事案がありました。オウム真理教の教祖の弁護人の懲戒処分です。
1 懲戒を受けた弁護士
氏名 松 井 武 登録番号 23111 第二東京弁護士会
事務所 東京都港区赤坂2
港合同法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止1月⇒戒告に変更
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は他の弁護士と共同で殺人等被告事件につき第1審で死刑判決を受けた被告人の控訴審における私選弁護人となった。高等裁判所は上記被告事件の控訴趣意書の提出期限を2005年8月31日と指定したが被懲戒者らは上記期限までに控訴趣意書を提出せずその後も高等裁判所から何度か書面や電話で控訴趣意書を提出するよう強く求められたがこれに応じなかったそのため高等裁判所は2006年3月27日控訴棄却の決定をしその後被告人に対する第1審の死刑判決が確定した。被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行に該当する。4 処分の効力の生じた日 2009年7月30日2010年1月1日 日本弁護士連合会
民事では依頼者に無断で提訴はよくある事案です。
依頼者に無断で和解や提訴 千葉県弁護士会が業務停止処分
県弁護士会は14日、過払い金請求事件で、定められた依頼者への報告などを行わずに無断で法的手続きを繰り返したなどとして、同会所属の吉村亮子弁護士(39)を業務停止3カ月の懲戒処分にしたと発表した。処分は11日付。同会によると、吉村弁護士は平成23年10月ごろ、県内の女性から貸金業者に対する過払い金請求事件を受任したが、女性との面談や事件の処理方針、諸費用の説明などをせず、業者との和解手続きなども無断で進めたとしている。不信感を抱いた女性が富里市の消費生活センターに相談。同会の別の弁護士が24年6月に吉村弁護士から事件を引き継ぎ、問題が表面化した。その後の同会の調査で、吉村弁護士が、この女性の事件を含め債務整理案件計13件で依頼者への説明などをせず、うち11件で無断で貸金業者を提訴していたことが判明。中には、和解条件の説明や裁判の結果報告もしなかったケースもあったという。同会は、弁護士職務規程などで定められた依頼者への説明や報告などをしなかったため、「弁護士の品位を失うべき非行に該当する」として懲戒処分を決めた。また、一連の行為が事務所として組織的に行われたとして、吉村弁護士が代表を務め千葉市中央区にあったひいらぎ綜合法律事務所についても、法人として今月7日付で戒告処分とした。
以上サンケイ
http://www.sankei.com/region/news/161215/rgn1612150047-n1.html
県弁護士会に所属し由布市に事務所を構える秦文生弁護士が民事裁判の損害賠償金を依頼人に渡していなかったなどとして、県弁護士会から先月28日付けで業務停止8か月の懲戒処分。秦弁護士はこれまでも依頼人に無断で裁判を和解したり和解金を支払わなかったなどとして3度業務停止処分を受けていて、これで4度目の業務停止処分。県弁護士会によると連絡にも応じない状態が続いている。
1 懲戒を受けた弁護士 氏名 太田 寛 登録番号 18765 愛知県弁護士会
事務所 半田市岩滑中町4 太田寛法律事務所
2 処分の内容 業務停止2月
3 処分の理由
(1)被懲戒者は懲戒請求者Aから2011年に離婚請求被告事件を依頼され、受任したが、懲戒請求者Aとの打ち合わせの約束を度々反古にし、第1審の裁判開始の当初から2013年3月21日の判決の言渡しまでの間、懲戒請求者Aから連絡しても連絡がつかず、訴訟の進捗状況について必要な報告をせず、本人尋問期日に備えた打ち合せをせず、尋問期日において原告に対する反対尋問をすることもなく、その後和解の打ち合せや期日の報告をしなかった。また被懲戒者は懲戒請求者Aに対し、上記事件の第一審の判決がでたのに報告をせず、対応を協議することもなく、懲戒請求者Aから預かっている印鑑を無断で使用して委任状を作成し、それを利用した上、控訴審での進捗状況を報告しなかった。被懲戒者は上記事件の処理中、懲戒請求者Aから被懲戒者の事件処理能力や業務遂行の意欲に疑問が呈され依頼関係の打ち切りを求める発言がなされたが、受任を継続したい旨の回答をし、辞任その他の適切な措置をしなかった。4 処分の効力を生じた年月日 2016年10月6日 2017年2月1日 日本弁護士連合会
懲戒処分の公告 2018年2月号
1 処分を受けた弁護士氏名 小林 正博 登録番号20581 事務所 長崎市賑町5-21
﨑陽合同法律事務所2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、2006年10月頃、懲戒請求者から自己破産申立事件及び過払金返還請求事件を受任したが、委任契約書を作成しなかった。被懲戒者は懲戒請求者が所有しておりAが競落した土地について2013年5月8日、被懲戒者及び同年1月から被懲戒者が所属する法律事務所に勤務するB弁護士を懲戒請求者の代理人として懲戒請求者を原告、Aを被告とした囲続地通行権存在確認訴訟を提起したが、懲戒請求者から委任状を取り付けることをせず、上記自己破産申立事件及び過払金返還請求事件のために受領していた上記委任状に受任者として明記されていなかったB弁護士名を懲戒請求者に説明せず、了解を取ることなく、無断で上記委任状に追記し、裁判所へ提出した。
被懲戒者は懲戒請求者に対し上記過払金返還請求事件及び上記訴訟の着手金、報酬、日当及び旅費等の実費の明細について説明しなかった。被懲戒者は2013年6月から2014年12月までの間に少なくとも9回の期日が開かれた上記訴訟について、懲戒請求者に対し訴状、答弁書、準備書面等を一切送付せず、また和解協議の際に懲戒請求者の意向を確認したほかには、第一審判決が出るまで訴訟の争点、審理の状況等を懲戒請求者に対し一切報告をせず、一度も協議しないまま、独断で訴訟を遂行した。
4 処分が効力を生じた日 2017年10月25日2018年2月1日 日本弁護士連合会
弁護士職務基本規程
(受任の際の説明等)
第二十九条 弁護士は、事件を受任するに当たり、依頼者から得た情報に基づき、事 件の見通し、処理の方法並びに弁護士報酬及び費用について、適切な説明をしなけ ればならない。
2 弁護士は、事件について、依頼者に有利な結果となることを請け合い、又は保証してはならない。
3 弁護士は、依頼者の期待する結果が得られる見込みがないにもかかわらず、その見込みがあるように装って事件を受任 してはならない。
(委任契約書の作成)
第三十条 弁護士は、事件を受任するに当たり、弁護士報酬に関する事項を含む委任契約書を作成しなければならない。ただし、委任契約書を作成することに困難な事由があるときは、その事由が止んだ後、これを作成する。
2 前項の規定にかかわらず、受任する事件が、法律相談、簡易な書面の作成又は顧問契約その他継続的な契約に基づくもの であるときその他合理的な理由があるときは、委任契約書の作成を要しない。