児童養護施設内で起きた性的虐待事件を内部告発するために京都市児童相談所(児相)の相談記録を持ち出すなどしたことが不正な行為だとして、男性職員(49)が市から受けた懲戒処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決が19日、大阪高裁であった。山田陽三裁判長は、市に懲戒処分の取り消しを命じた一審京都地裁判決を支持し、市側の控訴を棄却した。
男性は児相に勤務していた2015年、児童養護施設に入所する少女の母親の相談が放置されているとして市の公益通報外部窓口に通報した。その前に事実確認のために少女に関する記録を閲覧したり、印刷して自宅に持ち帰ったりした行為で停職3日の懲戒処分を受け、処分取り消しを求めて提訴。昨年8月の一審判決で男性側が勝訴し、市側が控訴していた。
山田裁判長は判決理由で、一審判決と同じく、担当外の児童情報の閲覧は禁止されていなかったと認定。記録の持ち出しは懲戒事由に当たるとしながらも、内部通報に付随するものとの見方を示した上で、「証拠保全や自己防衛が目的で、強く非難すべきとは言えない」と述べ、市の懲戒処分は「裁量権の逸脱や乱用の違法がある」と結論付けた。
判決後、大阪市内で会見した男性は「不正を見つけた人が声を上げないと世の中がだめになる。判例をつくることで公益通報の制度も修正されていくと思う」と期待を込めた。
京都市の藤田洋史人事部長は「市の主張が認められなかったことについて誠に遺憾。今後、上告する方向で考えているが、判決内容を分析し、早急に対応したい」とのコメントを出した。
引用京都新聞https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/285404
京都市役所の公益通報制度を利用し通報した市職員が逆に懲戒処分を受けたそしてようやく二審でも市職員の懲戒処分が取消しになったという報道、公益通報の担当弁護士を信用して通報したが、雇い主に従順な京都弁護士会の担当弁護士が当局にタレ込んだというのがこの裁判の発端でした。ほんとうにご苦労様でした。弁護士を信じてはいけないという見本のような事件でした。
当時の担当弁護士
京都市役所外部の窓口(弁護士)
通報先・・・京都市通報相談員 後藤真孝弁護士 〒604-0835 京都市中京区御池通高倉西入ル高宮町200番地 千代田生命京都御池ビル9階 後藤総合法律事務所内 ・通報対象・・・内部通報 ・通報手段・・・電話,面談,郵便,電子メール,FAX ・電話番号・・・075-223-5550(法律事務所直通)(土,日,祝日を除く午前9時~午後5時)
備考・通報対象者の氏名は本市に知らされません。
通報した職員名が京都市に伝わる 懲戒処分も 毎日新聞 2016年3月9日
内部告発を受け付ける京都市の公益通報外部窓口に通報した男性職員の氏名が市側に伝えられていたことが市などへの取材で分かった。窓口を担当する弁護士が伝達したという。この職員は取材に「市に伝わるとは思っていなかった」と主張している。一方、市は「『氏名の伝達を職員も了承した』と弁護士から聞いている」として問題にしない方針だ。 40代の男性職員は児童養護施設長が児童福祉法違反容疑で逮捕された事件に関連し、逮捕前の昨年3月に公益通報外部窓口にメールで通報した。昨年12月には、被害女性の内部記録を無断で持ち出したとして停職3日の懲戒処分を受け、職員は市人事委員会に処分取り消しを求める不服申し立てをした。 職員は通報メールに「私が通報者と推認される覚悟はある」などと書いたが、取材には「あくまで覚悟を書いただけ。氏名を市に伝えるという確認は弁護士からはなかった」としている。
内部通報が行われたきっかけとなったのは京都市左京区の社会福祉法人「迦陵園(かりょうえん)」の施設長、松浦弘和容疑者が2015年9月に逮捕された事件 2014年8月5日、松浦容疑者が犯行(児童福祉法違反)に及ぶ 2015年3月、職員が公益通報外部窓口にメールで通報 2015年9月、京都府警が松浦容疑者を逮捕 2015年12月、「内部記録を持ち出した」として京都市が職員に懲戒処分を科す このやりとりがあった中で、職員が名前が知れていることを不審に思い、担当弁護士を疑ったことが内部告発者名漏洩事件の発端となりました。
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2019年8月9日 1審判決時の報道
児童相談所の内部資料を不正に持ち出したなどとして停職処分を受けた京都市職員の男性(48)が、公益通報で児相の対応の不備をただすための正当な行為だったとして市に処分取り消しを求めた訴訟の判決で、京都地裁は8日、取り消しを命じた。藤田昌宏裁判長は判決理由で「職業倫理に基づく行為で懲戒処分は重きに失する」と述べた。 判決などによると、児相に勤務していた男性は2014年10月ごろ、担当外の児童に関する資料を閲覧し、市内の児童養護施設の施設長が少女に性的虐待をした疑いがあるとの相談が寄せられていたことを把握。相談から1カ月半がたっており、児相が放置した可能性があるとして、15年3月と10月に市の公益通報窓口の弁護士に内部通報し、証拠として資料を持ち出した。施設長は児童福祉法違反容疑で逮捕され有罪判決が確定したが、男性は担当外の資料の閲覧や持ち出しを理由に停職3日の懲戒処分を受けた。 判決は担当外の資料の閲覧について「禁止されていたとは認められない」などとして懲戒事由に当たらないと判断。資料の持ち出しは「重要な証拠を手元に置く目的があり、強く非難すべき点はない」として、懲戒処分は著しく妥当性を欠くと結論付けた。 男性は判決後の記者会見で「声を上げた人間がこんな報復をされて黙っていたら社会のためにならない」と述べた。市は「控訴する方向で早急に対応したい」とコメントした。引用毎日新聞https://mainichi.jp/articles/20190808/k00/00m/040/374000c
担当弁護士に懲戒請求の申立てがありましたが京都弁護士会は棄却しました。
それどころか、この弁護士は公益通報担当を年度末の3月31日に辞任し、4月1日から京都弁護士会副会長になりました。京都弁護士会も、飼い主のためよくやったということでしょう。自分は正しいことをしたというなら辞めなくてもいいのはないでしょうか。後藤弁護士は京都市市役所に対して今回の責任を取って辞任とは言ってません。交代する理由は弁護士業務が忙しくなったためという理由です。2016年4月1日から後藤真孝弁護士は京都弁護士会副会長に就任しています。
(京都弁護士会ホームページより)2016年〔4月1日)
理事者だより
副会長 後藤 真孝(ごとう まさたか)
2016年度の副会長に就任しました後藤真孝です。
4月1日から1年間副会長を務めさせていただきます。
弁護士は、弁護士法上、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とするとされています。この使命を全うし、弁護士が、頼もしい権利の護り手であるとともに、信頼しうる正義の担い手たるには、個々の弁護士の意欲と活力が必要です。
しかしながら、弁護士業界は、司法改革の推進とともに以前と様変わりしており、必ずしも個々の弁護士が意欲と活力を十分に発揮できる環境にあるとはいえない現状です。
このような状況のもと、弁護士会は、個々の会員がそれぞれ弁護士の使命を実現しやすい環境を整えるべく、積極的に活動する必要があります。
弁護士・弁護士会が、その使命と責務を十分に自覚し、今後も皆様に信頼いただける存在であり続けるため、微力ながら、弁護士会の発展に尽力をいたす所存でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(2016年4月1日記)
京都弁護士会ホームページより
京都弁護士会では、公益通報相談専用電話を開設しました。
専用電話番号
受付時間 月~金 午前9時~正午、午後1時~4時
相談料 5,400円(消費税込)
※なお、ご相談をお伺いした結果、公益通報相談とは認められないケースは、一般の法律相談窓口をご紹介する場合があります。
公益通報とは何ですか。
企業や組織の内部の、公益にかかわる違法行為や不当・不正な行為を、内部にいる人が、企業や組織のトップ、行政機関、マスコミや消費者団体などの外部へ通報すること。
弁護士は守秘義務が法律で定められているため、通報者の相談内容を漏らすことはありません。
実際にあった公益通報の例としては、どんなものがありますか。旧運輸省に三菱自動車工業の社員と思われる人から通報されたリコール隠し東京女子医大病院内部の人と思われる方から大学理事長に宛てられた、病院で行われた心臓手術ミスを隠すため、カルテ改ざんが行われたという通報文書雪印食品の指示により輸入肉の産地偽装作業をしていた倉庫会社の社長が、兵庫県警に通報した、同社がBSE保管対策事業を悪用して、在庫輸入肉を国産肉と偽装して国に買い上げさせる詐欺を働いていたこと
弁護士以外の人に相談してもいいのですか。法律は、企業内部への通報を原則としており、外部に通報すれば、公益通報者保護法の要件を満たさない限り保護されません(必ずしも他の法律で守られないわけではありません)。その結果、解雇などの不利益処分を受ける可能性があります。そして、通報するかどうかを検討するための相談自体も、外部への通報と位置づけられるため、同様の危険があります。しかし、弁護士への相談は、外部通報には該当しません。通報を行おうと考えておられる方が危険なく相談できるのは、弁護士だけです。
(2016年4月1日取得)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E7%9B%8A%E9%80%9A%E5%A0%B1%E8%80%85%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E6%B3%95
氏名 早川 明伸 登録番号 33021 第二東京弁護士会
事務所 東京都千代田区内幸町1
中島経営法律事務所
2 懲戒の種別 戒 告
3 処分の理由の要旨
被懲戒者はA社の内部通報者制度における外部通報窓口の担当弁護士であったところ、2006年4月5日懲戒請求者から内部通報についての荷電を受けた、A社の内部通報者制度においては弁護士からA社への連絡は通報者氏名を匿名で行う扱いとなっていたが、被懲戒者は実名を通知した方が不正と訴える熱い思いが、会社に伝わると思い、実名を通知するよう水を向けたところ懲戒請求者はもみ消されたるするのは困るとして実名を伝えることを承知したそのため被懲戒者はA社に対し懲戒請求者の実名を通知した、しかしながら被懲戒者は懲戒請求者から承諾を得るに際し懲戒請求者に対し実名を通知するのが例外であること実名を通知することによりどのような不利益が生ずるか等について説明しておらず、、また懲戒請求者による承諾は被懲戒者の呼びかけに応じたものであって自発的なものとは言えず、被懲戒者はかかる承諾が懲戒請求者の自発的かつ確定的な承諾であることを確認する手続きを取らなかった。被懲戒者のかかる行為は正当な理由があるものとは言えず外部通報保持義務に違反しており弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力の生じた日2009年3月4日