急げ「実子連れ去り」問題解決を!産経2022年10月21日

不覚にも最近初めてしったのだが、国内で親による「実子連れ去り」事件が多発しているという。

わが目疑う実子の「誘拐」

ご存じでない読者には、にわかに信じられないであろう。

妻がある日突然実子を連れ去り、行方の分からないまま何年も子どもに会えない夫が、関係者の話では今の日本に何千人もいるということを(後述の「支援措置」を受けた者は平成28年に横浜市で1515件。ただし夫による連れ去りは少ない)よく調べると背後にいわゆる人権派弁護士がおり、妻はその弁護士によって唆されかくまわれているらしい。実子を連れ去られた夫が警察に相談しても「民事不介入」ということで警察はあいてにせず、逆に夫が子どもを連れ戻そうとすれば警察によって阻止される。

最近相談を受けた大手企業勤務のN氏の場合、平成23年10月、左翼弁護士に洗脳された妻が女の子を連れて突然家出をしてしまい、その後11年間子どもと会っていない。娘さんは現在21歳になるが、漸く得られた情報では9年間引きこもったままだという。精神科医の話では「お父さんと会わせないことで、心理的虐待を受けた可能性が高い」とのことだ。

弁護士の「実子誘拐」ビジネス 

彼らいわゆる人権派左翼弁護士たちの後見的なやり方はこうだ(エドワーズ博美著「虚偽DVによる子供連れ去り被害の実態」(祖国と青年)池田良子著「実子誘拐ビジネスの闇」など) 

妻が夫婦喧嘩などで行政機関と連携する女性センター(支援センター)に相談に行くと、相談員たちがフェミニズム思想によって妻を指導ないし洗脳し、一方的に夫をDVの加害者に仕立ててしまう。そしてセンターは証明書を発行、妻がこれを持って自事体の窓口に行くと、担当者は夫の意見を全く聞かないまま「支援措置」を決定し、妻の住所は閲覧できなくなる。生活保護費も支給される。

子どもを連れて妻はDVシェルター(一時保護施設)に入るが、その間、子どもは学校にも行けず、ひたすら父親を怖い人と教えられる。その後、1か月程度で引っ越しをさせ子どもを転校させる。

やがて夫のもとに弁護士から離婚を求める訴状が届き法廷闘争が始まるが、子どもに会いに行くと警察を呼ばれるため、夫は我慢して調停や裁判を続ける、その間、面会交流を希望しても「子どもが会いたがらない」等の一方的理由をつけて面会は拒否される。こうして時がたつうちに家庭裁判所で「継続性の原則」(継続して子どもと生活を続けた親の方に親権を与える方が子にとって環境変化がなくなる妥当という考え方)が適用され、夫はますます不利になる。

そこで、仕方なく子どもに会わせるという条件で離婚しても、約束は反故にされ子どもには会えない。

人権派の左翼弁護士たちは組織的にこのような「誘拐ビジネス」を行ってきたが、離婚が成立すれば夫からの財産分与や子どもの養育費の一部等も報酬として受け取り、その収入は相当な額になるという、しかも彼らが目指す「家族の解体」も実現できるのだから実子誘拐は増える一方である。

このようなおぞましい現実を国はそのまま放置しておいてもよいのか。

警察介入と支援措置の是正を 

解決の第一歩は警察の介入と支援措置の見直しであろう。

従来は「民事不介入」ということで、警察は実子誘拐に関与しなかった。令和3年4月15日、参院法務委員会で上川陽子法相が「一方の親による子の連れ去りということにつきましては現行法の下でも(未成年者略取誘拐罪の)処罰の対象となり得る」と答弁したが、その後も連れ去り親を警察が捜査することはなかった。

しかし関係国会議員の尽力の結果、本年2月警察庁から都道府県警本部宛に「(連れ去り被害の届け出等への適切な対応に遺漏なきを期する必要がある」との事務連絡は発せられた。また「正当な理由のない限り未成年者略取罪にあたり、それを現場に徹底する」との見解も示された、これが実行されれば、連れ去り問題はかなり解決できよう。因みに米国では実子誘拐は重罪である。

もう一つは、「支援措置」制度の見直しである、現在は連れ去り親の意見だけ聴いて支援措置を決定するという安易なやり方がまかり通っているが、本当は警察の立ち合いのもと双方の意見を聴いた上で事実確認を行い支援措置の是非を決定すべきだ。

もちろん当事者が深刻なDVを受けている時は、緊急手段として仮の支援措置を行う必要がある。しかしその際も追跡調査の上、正式決定を行うべきだ。

日本は各国から「拉致国家」の烙印を押されており、EU(欧州連合)議会は2020年7月「実子誘拐禁止を日本政府に求める決議」を採択した。被害者である可哀そうな子どもたちや別居親を速やかに救済するため、今こそ国は本気で解決に乗り出すべきだ。

(ももちあきら) (注)肩書は掲載当時のもの

本文中のエドワーズ博美先生の投稿

「虚偽DVによる 子供連れ去り被害の実態」祖國と青年平成30年8月号  エドワーズ博美・著

『離婚弁護士にそそのかされて 』

本誌平成二十八年二月号で、各地の女性センターが 離婚を奨励する離婚斡旋所になっている現状と、妻が女性センターに行ったあとに娘を連れて行方不明になり、虚偽でありながらDVの刻印を押されたA氏を紹介した。 A氏はその後、娘と再会して家族を取り戻すことができたのだろうか。A氏のその後と彼が執念をかけて調べた配偶者による子どもの『連れ去り』の実態を紹介したい。

当時A氏は虚偽のDVで加害者のレッテルを貼られ、役所に行っても妻の転居先は住所非開示になっており、 ようやく捜し当てて娘に会いに行ったが妻に警察を呼ばれ、一年半ぶりに再開した娘とゆっくり父子の会話  をすることも妻と話し合いすることもできなかった。そのすぐあと、妻は離婚弁護士にそそのかされ再度転居し、嫌がる娘を無理やり転校させて再び行方不明になった。

 後でA氏が妻に聞いたところによると、娘は転校先の小学校に妻と二人で挨拶に行った翌日から不登校で、 小学校卒業後も一度も中学校に行くことなく義務教育を修了してしまったという。今は引きこもってほとんど部屋から出ることもなく、高校進学を断念してしまった。 

以前、娘が通っていた小学校の校長先生はA氏に娘はその学校では非常に真面目で一日も学校を休まず友達もできていた。不登校になったのは無理矢理転校させた母親に対する暗黙の抵抗ではないかともその校長先生は言っていたそうだ。優秀な一人の子どもの将来が、離婚弁護士とその弁護士の言葉にそそのかされた母親によって無残にも踏みにじられてしまった。

娘を案じながらも父親が調べた無慈悲な連れ去りの実態の一端をここに紹介したい。

『支援措置申出書』の問題点

一般の人には馴染みが薄いが支援措置申出書というという言い方をするものがある。正式には「住民基本台帳事務における支援措置申出書」と呼ばれる。冒頭の本誌記事でも紹介したが、女性がなんらかの理由で配偶者暴力支援センター等に行くと、支援センターでは相談を受けたという事実だけで証明書を発行し、妻がこの証明書をもって自治体の窓口へ行き支援措置申出書を提出すると、夫の意見も聞かず事実確認もせずに一方的に夫をD扱いにして妻の住所を非開示にしてしまう、というものだ。この支援措置申出書の問題点のいくつかを左記のように証言している。

✅ 加害者であるとされ配偶者に会って話をしていないので100%安全だと判断できないために支援措置を出してしまい、片方からしか話を聞かないためたとえ口論であっても「怖い」と言えば要支援という判断になる、

✅ 支援措置自体が支援を求める方の新たな被害を防ぐのが第一目的で加害の事実確認をするような制度ではない。それにもかかわらず支援措置申出書が出されると、 行政、警察、学校は「加害者」「被害者」という言い方をする。行政は緊急的処置だというが、その後も事実確認の調査がされることは一切ない。

✅ 役所に虚偽DVで「加害者にされたこと」に対する審査請求をしても、役所の職員すら支援センターでの相談内容を知ることも教えてもらうこともできないシステムになっている。それゆえ、行政に審査などできないのである。

✅ 支援措置を出すと、住所非開示、生活保護、公営住宅への優先入居等の手厚い対応を行政がしてくれ理由がなんであれ離婚したい女性にとっては非常に

有り難い制度といえる。一般的にはこのような制度があることは知られておらず、連れ去り弁護士が指南しているとしか思えない。妻もそうであったように弁護士の言うとおりにすると役所がこのような対応をするため自分は被害者だと思い込み弁護士を信用してしまう。

✅ 裁判所の保護命令は双方から話を聞き、医師の診断書などの事実に基づいて裁判官が判断し、二割近くが認められないで「却下」「取り消し」判断が出される。その反面、支援措置申出書の相談証明書を作成する民間NPOや相談所の相談員は無資格で、こうした無資格者が「要支援」の判断をし、それを受けた役所は事務的に支援措置を出している、こうしたことから、連れ去り弁護士や女権団体や支援団体等は裁判所の保護命令が出る可能性が低い場合に「便利なツール」として行政の支援措置を悪用する。

要するに、たとえそれが虚偽のDVの申立てであろうと「加害者」とされた側がそれに不服を申立てて撤回するためのシステムは一切構築されていない。そして支援措置を出されたという事実だけで、警察や学校、それに行政からDV加害者というレッテルを貼られてしまう。

A氏は和解離婚に応じれば子供との面会ができると思い数年後に正式離婚した。しかし何年も面会交流ができないことから面会交流調停を申し立てたところ「娘が精神障害であるから」という理由で面会を拒否された。その後なんら進展はない。

A氏のような「連れ去り被害者」にはいくら子どもに会いたくても、行政制度や悪徳弁護士たちの厚い壁が立ちはだかり、何年も我が子を抱きしめることもできずに悶々と日々を送る道しか残されていない。「もう7年近くも子供に会えてないんですよ」と言っていたA氏の悲痛な訴えが耳から離れない。またそれは裏を返せば何年も実の父親に会えていない子どもがいるということだ。

今年4月25日に名古屋地裁において、妻がこうした虚偽DVを主張しそれを調査せずに警察が事実と認めたのは名誉棄損であるとの夫の提訴に対する判決が言い渡された。判決で裁判長は「妻側の主張するDVは診断書などがなく誇張された可能性がある。」妻は子どもと夫の交流を絶つ意図で支援を申請したと認められ制度の目的外使用だ」と認定し、妻と県に対して賠償命令を出した。

支援措置の制度的な欠陥が司法により初めて認められた画期的な判決といえる。さらにA氏によるとこの妻の弁護士も有名な連れ去り弁護士で自由法曹団や日弁連の両性の平等委員会に属しているという。

しかしながら、こうした支援措置申出書が一体何件出されてA氏のような虚偽DVを訴えられた「連れ去り被害者」が一体何人いるのか、総務省、男女共同参画局さえ把握していない。ある関東の市議の調べでは支援措置の発令件数が平成28年の1年間だけで1515件にのぼるという市もあった。全国規模にすれば相当な数がいることが想像される。

最高裁判所資料によれば、全国の保護命令発令件数は平成26年の1年間で2528件に過ぎない。上述の市が政令指定都市とはいえ、一つの都市で全国の保護命令件数の6割もの支援措置が出されているのは異常である。支援措置が出されれば生活保護費も支給され膨大な国民の血税が投入されているのに、全国で何件の支援措置が出されているかすら把握できていないのは行政の怠慢である。

「連れ去り弁護士は家族破壊を目論む極左思想の持ち主」

連れ去り被害者」は1000人以上と面会したことのある支援団体の代表はほとんどの被害者がA氏と同様の経験をしている。こうしたことから下記のような「連れ去りパターン」が見えてくる。

◆些細なことで女権団体などに相談に行く

◆フェミニズム思想に洗脳される

◆配偶者が子どもを連れ去り虚偽DVを申し立てる

◆離婚を求める訴状が届く

◆法的な闘争開始

◆子どもに会いに行くと警察を呼ばれるので別居親は会いに行くのを我慢して調停や裁判を続ける

◆子どもが会いたがっていないなどの理由をつけられ面会交流ができない

◆何年も経過するうちに「継続性の原則」が適用されますます不利になる

◆子どもに会えるならと和解するが会えることはない

こうしたパターンから、連れ去り弁護士がマニュアルを作って連れ去りを指南している、との指摘もある。それでは連れ去り被害者の前に立ちはだかる連れ去り弁護士とは一体どんな人たちなのだろうか。A氏は彼の妻が餌食になった弁護士に関しても詳細に調査している。

A氏によると、この弁護士は「韓国人従軍慰安婦」「歴史教科書」「朝鮮人強制連行」問題などを担当したことがあり「九条の会」「官邸前見守り弁護団」「日の丸・君が代強制反対」等を主張する団体や日弁連の「両性の平等に関する委員会」にも所属している、両性の平等に関する委員会は婚外子差別廃止や選択制夫婦別姓等を実現するための民法改正に向けて活動している弁護士グループだ。まぎれもない左翼思想の人物である。

こうした極左思想の弁護士がA氏が居住する市の「男女共同参画審議会」や「DV施策推進会議」の委員も務めている、男女共同参画やDV法が表向きは女性のための活動のように装っているが、実際は家族破壊を目論む極左思想の人たちの隠れ蓑でしかないことがこうした人選にも表れている。

A氏は妻が家出して1週間後に弁護士から電話を受け取り「妻が離婚を決意している、話し合いはできない」と言われたという、妻が女性センターを訪れた直後にすでにセンター側は極左弁護士を紹介し、着々と離婚訴訟を計画していたのである。その挙句、子どもが犠牲になり、夫がDVの汚名を着せられ不公平な扱いを受けるなど端から眼中にないのである。男女共同参画しかり、日の丸・君が代反対しかり、これらはすべて目的のためなら手段など択ばない左翼の仕業である。連れ去り被害者は家族破壊に勤しむ左翼の被害者に他ならない。

「虚偽DVを申し立てた配偶者や悪徳弁護士に罰則を」

2001年にDV防止法が制定され、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」をスローガンに配偶者からの暴力、特に夫から妻に対する焦点があてられるようになった。

しかし、とA氏は指摘する。「中学生の自殺率は10万人あたり2,83人、15歳から19歳の女性の自殺による死亡率は10万人あたり5,5人、交通事故死亡率は10万台あたり5,45人である。それに比べ配偶者による殺人発生率は10万人あたり0,09人で平成26年の夫婦間の殺人は年間157件でそのうち4割以上は妻から夫に対するものである。こうした統計かかわらずなにうえ配偶者の暴力のみに焦点があてられ、それも夫から妻に特化した暴力がこうまで注目される必要があるだろうか」

さらにA氏が話したある交番の巡査は次のように言っていたという、「最近は何でもないことで何度も相談に来られて、非常に忙しくなっているが、命の危険があるようなケースは1000人に1人もいないのが警察が忙殺され本当にDV被害を被っている人を実態だ、女権団体や弁護士が警察に行くように教えているのだと考えられる。男女共同参画は中核派が推進している、我々警察は公安から情報が入ってくるので知っているが学校や行政は知らない。行政は縦割りなのでこういう情報は共有されない」

昨今のように些細な事をDV被害にする風潮のせいで警察が忙殺され本当にDV被害を被っている人を救済できないでいる。そして1人の正真なDV被害者に対して999人の冤罪被害者が大量生産され、多くの親子が生き別れにされている。DV加害者のレッテルを貼られた人の中には、精神に異常をきたした人や自殺した人も大勢いるという。手段を選ばない連れ去り弁護士による離婚ビジネスが新たな不幸を増産している。それは母子家庭になったことによる貧困であったり、片親から引き裂かれ将来を奪われた子どもであったり様々だ。まさに負の連鎖だ。

こうした負の連鎖を断ち切るためにも、DV法を見直し、DVの定義をもっと厳格にして、虚偽DVを申し立てた配偶者や悪質弁護士に対して厳しい罰則を科す必要がある。連れ去りは左翼弁護士による家族破壊工作であることを肝に銘ずる必要がある。

今、A氏は娘の自殺を真剣に心配している。虚偽DVで娘と生き別れになり、優秀だった娘は友達もいないで精神を病んできている。15歳から19歳の自殺による死亡率は10万人あたり5,5人である。家族が崩壊させられ孤独な人生を余儀なくされている彼の娘がその一人になったら、一体だれが責任をとってくれるというのか。

北朝鮮による拉致問題が世間の耳目を集めているが、「子どもの連れ去り」は国内における拉致問題であることも忘れてはならない。

以上 平成30年8月号 祖国と青年