弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2024年11月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・第一東京弁護士会・玉里友香弁護士の懲戒処分の要旨

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処分取消公告

弁護士が所属弁護士会から懲戒処分を受け不当であると思料した場合、日弁連懲戒委員会に審査請求を出すことができます。棄却された場合は次に東京高裁に処分取消訴訟を提起することができます。毎年約100件の懲戒処分がなされ審査請求で処分変更、処分取消になるのは1件か2件です。さらに処分取消訴訟で処分取消になった例は初のことです。

業務停止2月⇒業務停止1月⇒処分取消は初です。当初の処分要旨から見てください。

懲 戒 処 分 の 公 告 2020年11月号

第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。       

              記

1 処分を受けた弁護士氏名 玉里友香 登録番号 39962

事務所 東京都中央区銀座8-14-11 ワイエヌ銀座ビル10階FLS-A  レアーナ法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止2月 (2021年8月20日 処分変更 業務停止1月) 

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、株式会社Aの代表取締役B及び取締役Cが解任され、Dが代表取締役であるとの認識の下に、A社の代理人として、その債権者に対し2014年1月29日にDが代表者である旨記載した支払猶予を求める内容の通知書を送付しておきながら同年3月5日にDから話を聞いたときにはDら新経営陣の都合からB及びCが取締役に留任しておりDが代表取締役を辞任したと主張することにしたことを認識しながら、特に事実関係を問いただすことも異を唱えることもせず、同月7日、B及びCに対して、A社の代表取締役又は取締役としの職務一切を放棄しているなどとする上記通知書と矛盾する内容の各通知書を送付し、またA社の債権者に対し、同年4月3日、A社に対する債権の支払に関して代表取締役であるBの代理人に対して問い合せをするように依頼する旨の通知書を送付した。

(2)被懲戒者はEを原告、株式会社Fらを被告とする建物明渡請求訴訟事件の訴訟上の和解が成立した後、2015年10月15日頃、上記和解内容に不満があるとするF社から上記和解の無効等の相談を受け受任したが、F社の代理人として上記和解の無効を主張する請求異議の訴えにおいて提出した同年12月18日付え訴状訂正申立書に相応の根拠がないにもかかわらず、上記和解成立当時Eの代理人であった懲戒請求者G弁g氏とF社の代理人であったH弁護士が『内通しており、馴れ合い的な関係にあった』などと記載し、懲戒請求者G弁護士の名誉を一著しく棄損した。

(3)被懲戒者は2016年2月5日、上記(2)の事件に係る建物に関する賃料減額等について正当な理由がないにもかかわらず、Eの代理人である懲戒請求者G弁護士の承諾を得ないでE及びEの関係者らと面談し直接交渉を行った。

(4)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第31条に違反し、上記(2)の行為は同規程第6条及び第70条に、上記(3)の行為は同規程第52条に違反しいずれも弁護士法法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2020年3月26日 2020年11月1日 日本弁護士連合会

裁 決 の 公 告 2021年10月号
第一東京弁護士会が2020年3月26日付けで告知した同会所属弁護士 玉里友香 会員(登録番号39962)に対する懲戒処分(業務停止2月)について、同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり本会は、2021年8月16日 弁護士法第59条の規定により懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり採決したので懲戒処分の公告公表規程第3条第3号の規定により公告する。
                   記
1 採決の内容 
(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止2月)を変更する、
(2)審査請求人の業務を1月間停止する。
2 採決の理由の要旨
(1)第一東京弁護士会は(以下「原弁護士会」という。)は以下の二つの事案が併合して審理された審査請求人に係る本件懲戒請求事件につき、審査請求人を業務停止2月の処分に付した。
(2)第一事案は、審査請求人が、株式会社A(以下「A社」という)の新経営陣である代表取締役Bから旧経営陣であるC及びDを代表取締役及び取締役から解任予定であるとの説明を受け①2014年1月29日付けで、A社(代表取締役会長B)の代理人と記載して、Cらの解任を前提に、債権者に対し、取締役交代に伴い監査等を行うため支払いを猶予されたい旨の書面を送付しながら、②その後、BからA社の株主総会ではCらは解任されず、Bが代表取締役を辞任したとの説明を受け、同年3月7日付けで、A社(前代表取締役B)の代理人と記載して、Cらに対し、代表取締役及び取締役としての職務を果たすようにとの書面を送付し③さらに、同年4月3日付家で、A社(代表者の記載はない)の代理人として、債権者に対し、代表取締役CがA社の財務諸表を持ち出したなどと記載した書面を送付したとの行為につき、審査請求人はCらが株主総会で解任されており、Bの説明が実態と異なることを認識しながら、上記②及び③の書面を送付したとして弁護士職務基本規定第31条違反とされた事案である。
(3)第二事案は審査請求人が既に成立した裁判上の和解に関与した原告・被告の弁護士につき、合理的な根拠もないのに「内通しており、慣れ合い的な関係にあった」と訴状訂正申立書に記載した行為が弁護士職務基本規定第6条及び第70条に違反し、また相手方弁護士から直接交渉になるのではないかと指摘を受けていたにもかかわらず、調停の相手方と面談した行為につき同規程第52条違反とされた事実である。
(4)審査請求人の本件審査請求の理由は、要するに、原弁護士会の前記認定と判断には誤りがあり、その取消しを求めるというにある。
日本弁護士連合会懲戒委員会が審査した結果、第一事案における審査請求人の行為は、誠実かつ公正に職務を行うべき弁護士としてあり得ない行動であるが、原弁護士会の判断とは異なり、審査請求人がCらを解任していないBの説明が実態と相違することを認識していたとまでは認定することはできないと判断した、したがって、第一事案における審査請求人の行為は稚拙であるものの悪意をもって行ったとまでは認められないこと、審査請求人は真摯に反省していると認められること等を勘案すると業務停止2月は重きに失し、これを業務停止1月に変更することが相当である。
(5)なお、第一事案については審査請求人の認識の有無にかかわらず、審査請求人の行為は、会社内紛の一方当事者の言に安易に従ってしたものであり、弁護士としての基本的な心構えに欠けた極めて非常識な行為であったこと、第二事案についても弁護士にとって屈辱的な批判を安易に行うという点で、極めて非常識な行為であることを勘案すれば、審査請求を棄却すべきであるとする意見が相当数あったことを付言する。
3 採決が効力を生じた年月日 2021年8月20日 2021年10月1日 日本弁護士連合会
裁 決 の 公 告 (処分取消)2024年11月号

東京弁護士2020326告知した所属弁護士 玉里 友香 会員(登録番号 39962) に対する懲戒処分 (業務停止2) につ 同人から行政不服審査規定による請求があり本会2021816弁護 59規定により懲戒委員議決基づい前記懲戒処分 (業務停止2) 業務 停止1に変更する裁決行っところ(20告知) 同人から裁決取消し訴え起さ20231115東京高等裁判所前記裁決取り消す判決なさ判決同月30確定本会2024821弁護士59規定により審査請求かかる前記懲戒処分 (業務停止2) つい 審査懲戒委員議決基づい以下とおり裁決ので懲戒処分公告及びに関する規程33規定により公告す。 

1 裁決の内容 

       記 

(1) 審査請求人に対する懲戒処分 (業務停止2月) を取り消す。 

(2) 審査請求人を懲戒しない。

2 裁決の理由の要旨 

(1) 本件審査請求弁護士から業務停止2懲戒処分(以下本件懲戒という)受け本会に対し審査ところ本会から本件懲戒処分業務停止1変更する裁決 (以下裁決という)受けため東京高等 裁判所本件裁決取消し求める訴え (以下本件裁決取消請求訴訟という) 提起裁判所本件裁決取り判決 (以下本件判決という)なし本件判決が確定ものある

(2)本件判決において東京高等裁判所裁決において弁護士職務基本規程(以下 規程という) に違反する認定査請求人行為うち以下行為のみ以下規程それぞれ違反すると認めその余の行為については規程に違反すると認めなかった。

① 審査請求人が、株式会社Aの代表者と認識していたBの意向を確認することなく、同社の代理人として同人に対し職務を果たすよう求める通知をしたこと(以下「第1事実」という。)は規程第31条に違反する。

② 審査請求人が遡上において、別件訴訟事件の原告の代理人である懲戒請求者C弁護士と被告の代理人弁護士が「内通しており、馴れ合い的な関係にあった」旨記載したこと(以下「第2事実」という。)は規程第6条及び第70条に違反する。

(3)本会懲戒委員会が、本件判決の趣旨に従い改めて審査した結果、東京高等裁判所が認定した上記①及び②の規定違反があるものと認めた。

(4)以上の事実認定に基づき、審査請求人に対する懲戒処分の要否、これが必要である場合にはその程度について改めて検討するに、本件採決の業務停止1月の処分は本件採決が認定した全ての規程違反があるところを前提としてなされたものであるところ、その一部分についてのみ規程違反を認める以上、本件採決の処分を維持することは相当でない。

そこで、本会懲戒委員会が認定した規程違反につき改めてその内容を検討するに、第1事実は、審査請求人が、会社内の紛争の一方当事者であり代表権があると認識していたBの意見を聞くこともなく、その他方当事者であるDの依頼に安易に応じ、結果的にDに加担したというものであり、第2事実は、審査請求人が、対立当事者たる弁護士同士が「内通しており、馴れ合い的な関係にあった」という弁護士にとって屈辱的な批判を、合理的な根拠もなく安易に行ったというものである。

(5)以上からすれば、第1事実及び第2事実の各規程違反は、いずれも軽微なものとは言えず、戒告の処分は免れないとも考えられ、そのような意見も相当数あったが、他方で審査請求人は規程違反とされた自らの各行為につき真摯に反省をしていること、審査請求人はこれまで懲戒処分を受けたことが一度もないことに加え、審査請求人は本件懲戒処分によって実際に業務を2月間停止したこと、審査請求によって本会から懲戒処分を業務停止1月に変更する旨の本件採決がなされたこと、本件採決取消請求訴訟によって本件採決が取り消されたこと等、本件懲戒処分後の一連の経緯照らすと改めて懲戒処分を行うことには躊躇を覚えざるを得ず、かかる本件における事案の特殊性も考慮すると、本件懲戒処分を取り消し、審査請求人を懲戒しないこととするのが相当である。

3 採決が効力を生じた日 2024年8月28日 2024年11月1日 日本弁護士連合会