江藤貴紀氏(音無ほむらエコーニュース)が、丸の内ソレイユ法律事務所に対する損害賠償請求事件を杉山程彦弁護士(神奈川)に委任したが、神奈川弁護士会より業務停止1月の懲戒処分を受けた。
ほむらさんが再委任を拒否し着手金の返還を求めた。ほむらさんがXでこの事をポストしたことが名誉毀損と返還すべき債務をないと杉山程彦弁護士が神奈川県弁護士会に紛議調停を申立てたが調停不成立、そして杉山程彦弁護士がほむらさんを訴えた。

杉山程彦弁護士が横浜地裁横須賀支部に名誉毀損による損害賠償と債務不存在を求め提訴、その判決文

横須賀支部令和6年ワ215 令和7年ネ1402 12民事部 
原告・控訴人 杉山程彦
被告・被控訴人 江藤貴紀

●令和6年7月24日(23日付)訴状 ●令和6年7月31日(30日付)訂正
●令和6年8月6日(2日付)訂正  ●令和6年8月19日(16日付) 準1 

8月15日に和解合意書を送付したが17日に和解撤回書を送付予定である。
〇令和6年9月30日 答弁書 16行
●令和6年10月2日(4日付) 準1(2の誤りか)
★ 10月4日 口頭弁論1
●令和6年11月22日 準備3 ★ 11月22日 口頭弁論2
★ 令和7年1月10日 口頭弁論3 

★ 令和7年2月28日 地裁判決
★ 令和7年6月13日11時10分 高裁第一回

地裁判決(横浜地方裁判所横須賀支部)

主 文1 原告の被告に対する別紙債務目録記載の債務が15万円を超えて存在しない事を確認する。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は原告の負担とする。

第1 請求
1 被告は原告に対し、110万円及びこれに対する令和6年8月15日からら支払い済みまで年3%の寄り合いによる金員を支払え。
2 原告の被告に対する別紙債務目録記載の債務(着手金280,000円、弁護士探索費用50,000円)の不存在の確認を求める。
第2 事案の概要
1 本件は、弁護士である原告が、別件民事訴訟につき原告を代理人に委任した被告が、本件訴訟提起前及び後において、原告に対しメールを送信したり、インターネットサイトに原告について投稿したことが原告に対する恐喝行為、侮辱・名誉毀損行為、信用棄損による業務妨害行為であると主張し、不法行為に基づく賠償金150万円の一部請求として110万円及びこれに対する訴状送達日(8月14日)の翌日から支払い済みまで年3%の割合による損害賠償金の支払いを求めるとともに、被告が原告に請求した別件民事訴訟の委任契約解除に伴う着手金返還請求権及び損害賠償請求権の不存在を求める事案である。
2 前提事実
(1) 原告は、弁護士であり、被告は、別件民事訴訟(令和5年ワ第26332号、相手方中里妃沙子ら)について、原告に訴訟行為を委任した者である。
(2) 原告は、令和6年3月29日に神奈川県弁護士会により1か月の業務停止処分を受けた。
(3) 原告は、神奈川県弁護士会に対し、被告を相手方とする紛議調停を申立てたが、原告が取り下げたことにより、令和6年7月23日に終了した。
3 争点及び当事者の主張
(1) 原告の被告に対する別紙債務目録記載の債務の存否及びその額
(原告の主張)
被告は、原告が提示した和解案に同意した上で、その要求するままweb上の投稿を削除したにもかかわらず、15万円の支払いがない。
(被告の主張)
被告の別件民事訴訟の委任契約に基づく着手金返還と損害賠償請求は、原告の懲戒処分の業務停止とは無関係であり、被告の請求を正当化する事由はなにもなく、原告は被告に着手金を返還する義務を負わない。
原告は被告に対し、甲19号証の和解合意書を普通郵便で発送し、その後和解を撤回する旨の内容証明郵便を発送したが、撤回する旨の内容証明郵便の方が先に被告に被告宅に配達されたので、和解の意思表示の前に撤回の意思表示が届いたことで和解は無効となる。
また、和解書面が原告の元に届く前に、原告が撤回した事から、そもそも和解は成立していない。
(2) 被告の不法行為の成否及び原告の損害額
(原告の主張)
本件訴訟提起前に、被告がメールで支払い義務のない33万円の支払いを命令し、懲戒請求をほのめかしていることが恐喝行為であり、原告は精神損害を被った。また、被告がインターネットサイトに投稿したことが原告への侮辱・名誉毀損、信用棄損による業務法外行為であり、それにより精神損害及び業務妨害による損害を被った。
本件訴訟提起前に、被告がインターネットサイトで原告を嘲笑したり、原告が内容証明郵便で撤回したにも関わらず、甲19号証の和解合意書を送り付け、何度もメールで督促している行為は被告の不法行為となる。
被告の不法行為により、原告は合計1,500,000円の損害を被ったが、そのうち110万円を一部請求する。その内訳は、本家訴訟前のメールによる恐喝行為による精神損害30万円、インターネットサイト投稿による精神損害30万円、信用低下による損害10万円、本件訴訟提起後の恐喝行為の精神損害10万円、名誉毀損の精神損害20万円、実損害金10万円である。
(被告の主張)
答弁書の記載及び弁論の全趣旨から、被告は原告主張を争うものと認められる。

第3 当裁判所の判断
1 認定事実

その内容は、次のとおりである。
1 乙(原告)は甲(被告)に対して、解決金として金15万円を被告指定の下記の口座に令和6年8月30日までに送金する。
2 被告原告双方は、お互いに相手方について言及したインターネットSNSサイトの投稿を令和6年8月30日までに削除する。
3 被告原告双方は、お互いに本件に関し口外しない。
4 被告原告双方は、お互いに相手方について不特定多数に言及することを避ける。
5 被告が第2項で定められる投稿の削除を確認後、原告は速やかに本件訴訟を取り下げる。
6 本件和解の証として、本和解合意書を2通作成し、双方一部ずつ保管する。
7 上記の他、被告原告間に一切の債権債務はない。」

また、(8月16日)被告は、本件サイトに、わたしに対してブロックでお返事 懲戒で業務停止で仕事できなくなった挙句、クライアントに110万オーバーの損害賠償請求送り付けた挙句これは草 

親子ネットと親密な人、柴山昌彦さんといいろくな人いないわね?!そりゃモラルが腐っていたら、共同親権法案もまともにならないよ」と投稿した。
8月17日、原告は、同日付け「和解撤回通知」と堕する書面(以下「本件撤回通知」という。)を内容証明郵便により被告に送付した。
本件摘果通知書には、「通知人弁護士杉山程彦は、被通知人江藤貴紀に対し、令和6年8月15日付で和解合意書を送付しましたが、和解をすることにつき撤回いたします。」と記載されていた。
上記内容証明郵便は、8月18日に被告の住所地に配達されたが、不在のため郵便局に持ち帰り、その後同月25日までの保管期限が切れたため、同月29日に原告に返送された。
被告は、本件合意書の1項「記」の下に、被告名義の金融機関口座名、口座番号を記載し、被告の「住所」欄に押印して自身の住所を記載し、「氏名」欄に署名、押印をして、原告に返送し、原告もこれを受領した。
被告が本件合意書を返送した封筒には、8月23日の消印が押されている。

2 争点(1)(原告の被告に対する別紙債務目録記載の債務の存否及び額)
(1) 前記認定事実によると、別件民事訴訟について原告に委任していた被告が、原告が懲戒処分後に再委任承諾書等を被告に送付しようとしたことを受けて、原告に対し、再委任はしないこと、原告の責任により委任契約が終了したことによる着手金返還と、損害賠償を請求すること、別件民事訴訟の訴訟資料を求めることなどをメールで伝えていた。また、被告は、本件サイト上で、原告の名前を明示して、弁護士法違反で刑事告発する意向であることや、原告に財産罪が成立する余地があるなどの投稿をした。

また、原告が本件訴訟を提起した後、令和6年8月8日に、原告は被告に、原告から被告に対し解決金15万円を支払うこと及び原告被告双方がインターネット上の投稿和削除することを含めた内容の和解案を提案し、メールで送信した。同月14日に、被告が上記和解案の提案に応じる旨のメールを原告に返信した後、原告は、本件合意書に自身の署名押印をした上で、被告に普通郵便で送付し被告に到達した事で、原告の和解申込の意思表示が到達した。
そして、被告は、遅くとも、同月23日までに本件合意書に原告から支払われる解除金の送金用口座を記載し、自身の署名押印をして原告に返送した事で、本件合意書の内容を承諾する意思を表示し、これがその後原告に到達したことで、原告と被告との間で、本件合意書の内容の合意が成立したものと認められる。
なお、原告は、同月17日に、翻意して、本件撤回通知書を作成し、被告に送付を試みているが、被告が受領していないことから、被告の了知可能な状態に置かれたものとはいえず、原告の和解撤回の意思表示は被告に到達しておらず、上記のワ和解の効力を覆すものではない。

(2) この点、原告は、和解の意思表示の前に撤回の意思表示が届いたことで和解は無効となる又は和解書面が原告の元に届く前に、原告が撤回したことから、そもそも和解は成立していないと主張するが、上記(1)のとおり、原告の和解撤回の意思表示は、被告に到達していないことから、原告の主張は前提を誤るものであり採用できない。
なお、前記認定のとおりの本件に至る経緯、原告と被告との間の交渉状況からすると、被告は、原告から和解案を提示され、被告がこれに応じる意向をメールで示した上、更に原告の署名押印がされた本件合意書にも書面押印して返送したことで、原告と被告との間の紛争について解決したものと解していたと判断するのが相当であり、被告が、原告から更なる郵便物が送付されることを予見できような状況ではなかった。その他に、被告が、源九が和解を撤回する意思表示をすることができる状況であったと認められるような特段の事情は見当たらない。
また、本件撤回通知書は被告の住所地に配達されたが、不在であったため郵便局に持ち戻されているが、被告がさしたる労力、困難を伴うことなく受領することができる客観的状況にあったと認めるに足りる証拠もない。
そうすると、本件撤回通知が、令和6年8月18日に被告の住所地に配達され、その後、同月25日に保管期限が切れ、同月29日に原告に返送されていることをみても、いずれの時点においても、被告が正当な理由なく原告の本件撤回通知書の到達を妨げた(民法97条2項)とみる余地はなく、原告の和解撤回の意思表示は被告に到達していない。
(3) 以上によると、原告と被告との間では、被告が本件合意書を返送し、原告に到達した時点で、同内容の合意が成立したものとみとめられることから、原告と被告との間では、別件民事訴訟の委任契約に関する着手金返還債務及び損害賠償請求について、本件合意書で合意した通りの債権債務が発生しているものといえ、原告は被告に対し、解決金15万円の支払い義務を負う。
よって、原告の別紙債務目録記載の債務は、15万円を超えて存在しないものと認められ、原告の債務不存在確認の請求は、この限度で理由がある。

3 争点(2)(被告の不法行為の成否及び原告の損害額)
(1) 上記2のとおり、原告と被告との間では、本件合意書のとおりの和解が成立し、同合意書7項において、「上記の他、被告原告間に一切の債権債務がない。」旨の確認条項が存在することから、仮に被告に不法行為が成立するとしても、本件合意書による和解成立前の行為については、被告の損害賠償債務は消滅している。

そして原告は令和6年8月15日に本件合意書を被告に送付しているが、合理的期間内に被告が承諾して署名押印して返送する場合は、原告は、その期間内について債権債務がないものと確認する意思を表示したものと解されるところ、被告は数日以内に本件合意書を返送していることから、少なくとも被告が返送した封筒の消印の日付(同月23日)以前については、原告及び被告は、本件合意書の7項により債権債務がない事を確認していると認められる。

(2) 次に和解成立後の被告の行為についてみると、被告は、8月30日、31日、9月20日、21日に原告にメールを送信しているが、その内容は、本件合意書に従い解決金の入金を求めたり、本件訴訟について被告の考えを述べるに過ぎない。なお、9月21日のメールには、被告が原告を刑事告訴する可能性がある旨の記載があるが、原告の本件訴訟の対応に応じて、被告が想定し得る手段を述べているに過ぎない。
よって、いずれも、財物交付させるために害悪を告知して畏怖させるものでもなく、原告の社会的評価を低下させる事実を流布するものでもなく、原告の名誉感情を侵害するものでもなく、原告の弁護士としての信用を低下させるものでもないことから、原告に対する恐喝行為、名誉毀損、侮辱行為、業務妨害行為には当たらない。
なお、原告の本件合意書により和解する意思表示が、原告が本件合意書を送付した8月15日以前の紛争に関するものに限られると解した場合でも、メール及び投稿の内容をみると、「懲戒で業務停止で仕事できなくなった」、「これは草」、「ろくな人いないわね」、「モラルが腐ってたら」などの文言を含むが、これらは具体的な事実を摘示するものではなく被告の意見・論評であり、原告に対する恐喝行為に該当するものでもなく、一般の読者の普通の注意と読み方を基準とすると直ちに原告の社会的評価を低下させるものともいえない。また、本件敬意に鑑みると、社会通念上許される限度を超える侮辱行為に当たるものともいえない。また、原告の弁護士としての営業活動に支障を生じさせたものと認めるに足りる証拠はないことから、上記判断に影響しない。
よって、原告の不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。

第4 結論
したがってね原告の別紙債務目録記載の債務は主文掲記の金額の限度で存在しているから、その限度で認容するが、その余の請求はいずれも理由がないことからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担に付き民訴法ただし書きを適用して主文の通り判決はする。
横浜地方裁判所横須賀支部 裁判官 宮澤睦子

懲 戒 処 分 の 公 告 2024年10月号

神奈川県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

          記

1 処分を受けた弁護士氏名 杉山程彦 登録番号 37300

事務所 神奈川県横須賀市若松町3-4山田ビル プレミア法律事務所 

2 懲戒の種別 業務停止1月

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は、2019年9月5日、Aの手続代理人として、Aの妻であるBを相手方として申し立てた婚姻費用減額調停事件において証拠として、誤って自らが手続代理人として関与した第三者を当事者とする調停証書を提出した。

(2)被懲戒者は、Bが懲戒請求者C弁護士を訴訟代理人として提起したAを被告とする離婚等請求事件について2019年9月5日Aの訴訟代理人に就任したところ、不当な訴訟遅延の目的を有し、裁判の公正を妨げるべき事情には当たらないにもかかわらず、裁判官の訴訟指揮等に関することを理由として、裁判官の忌避申立て及びその却下決定に対する即時抗告を3回行い、裁判所との間の日程調整に協力せず、かえってAの代理人を辞任することによりその調整を阻害し、その後、Aの代理人に就任したものの、期日の指定に協力せず、また裁判官が期日を終了させる前に一方的に退廷し、裁判官がその場で次回期日を指定することを阻害し、2022年7月25日になるまで、Bの主張に対する認否及び反論並びにそのための立証活動を意図的に怠るなどして、上記事件の審理を遅延させた。

(3)被懲戒者はAから受任したBが監護するDについての面会交流審判事件等について、2020年6月9日に開かれた審判期日において、Aと共に、大声を出して騒ぎ立て裁判官が期日の打ち切りを宣言すると、実力行使により裁判官並びにB及びその手続代理人であった懲戒請求者C弁護士が退廷することを妨害した。

また、被懲戒者はその審判廷内で、これからDに会いに行く旨大声で叫び、これをB及び懲戒請求者C弁護士が断ったにもかかわらず、Aと共にDと面会するためにBの自宅前公道に赴き、Bの自宅に向かって大声で呼び掛ける等の行為を約30分間にわたって行った。

(4)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第18条に上記(2)の行為は同規程第76条に上記(3)の行為は同規程第1条及び第74条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2024年3月29日 2024年10月1日 日本弁護士連合会