【2025年懲戒処分回顧】離婚事件を取り扱う弁護士・離婚事件に関する処分が増えた!
2025年は離婚事件、財産分与に関する処分、また離婚事件を取り扱う弁護士の処分もありました。
①自由と正義12月号  離婚 当事者の不動産に抵当権設定 資金融資 

処分を受けた弁護士氏名鈴木秀幸  登録番号 14543 鈴木秀幸法律事務所 懲戒の種別 戒告

 処分の理由の要旨 (1)被懲戒者はAから2018年4月、離婚協議事件等を受任したが、委任契約書を作成せず、2019年11月11日にAがBから申し立てられた夫婦関係調整調停申立事件について受任したが、委任契約書を作成しなかった。

(2)被懲戒者は上記(1)の事件でAの代理人であった期間中の2019年3月7日、株式会社Cを債権者として、Aの自宅建物に根抵当権を設定し、同月11日に200万円を貸し付けたのを1回目として、同年12月11日に128万円を貸し付けるまでの約9か月の間、計8回にわたり、合計703万円を、弁済額を貸し付けから1年後とした上で年5%の利息を定めて貸付け、その間の同年10月に上記根抵当権の極度額を増額し、同年11月にAの自宅土地にも根抵当権を設定し、同年12月に極度額を増額した。4処分が効力を生じた日 2025年8月18日 2025年12月1日 日本弁護士連合会

②自由と正義12月号  親権問題で著名な弁護士が非弁提携で業務停止

処分を受けた弁護士氏名 上野晃 登録番号 36203 弁護士法人日本橋さくら法律事務所  懲戒の種別 業務停止1月

処分の理由の要旨 被懲戒者は、弁護士法人Aの代表社員であったところ、弁護士法人Aが2019年9月頃から同年12月頃までの間、ウエブサイトに相続コーデネート業者等を事業内容として掲げている株式会社Bから、同社に相談のあった3名について紹介を受け、上記3名から遺産分割交渉事件等を受任したところ、弁護士法人Aが受任した各事件の着手金20%相当額を上記3名の紹介を受けたことの対価としてそれぞれB社に支払うことを決定し、弁護士法人Aにおいて、B社に対し、同年9月27日、同年11月13日及び12月12日、受任した各事件の着手金20%相当額をそれぞれ上記3名の紹介を受けたことの対価として支払った。処分が効力を生じた日 2025年8月7日 2025年12月1日 日本弁護士連合会

③自由と正義9月号 離婚の相談にのり双方代理

処分を受けた弁護士氏名 堀田和希 登録番号 59598 放出東法律事務所 懲戒の種別 戒告

処分の理由の要旨 被懲戒者は、懲戒請求者の兄であるA及びAと夫婦であるBと交友関係を持っていたが、BからAに対して離婚の話をしてほしい旨依頼され、2023年1月20日、AにBがAとの離婚を希望していることを伝えたところ、同日以降同年2月12日までの間、Aと長時間通話するとともに継続的にLINEでのやりとりを繰り返し、AからBとは離婚したくないとの意向を聞かされたり、Bと直接二人で話し合う機会を設定するよう要望されたりするとともに、Bの不貞を疑っていることやその時期等についても説明を受けるなど、Bとの離婚問題について協議を受け、Bの利益のために活動しているとか、将来Bの代理人となる可能性があるとの説明をせず、AからBとの直接協議の日時等の調整の依頼を受諾して継続的にやり取りを行っていたにもかかわらず、同年3月3日、Bと委任契約を締結し、夫婦関係調整調停事件についてBの代理人に就任した。4処分が効力を生じた日 2025年4月28日 2025年9月1日 日本弁護士連合会

④自由と正義 9月号 養育費横領 業務停止3月 処分後、横野から岡崎に姓を変更

処分を受けた弁護士氏名 岡崎崇司 登録番号 33485 岡山 ゆうあい法律事務所  懲戒の種別 業務停止3月

処分の理由の要旨  被懲戒者は、AからBに対する養育費請求事件を受任し、2015年8月6日に合意を成立させ、この合意に基づき、同月26日、721万9742円が被懲戒者の預り金口座に振り込まれ、また、2016年3月2日、Aの代理人としてBに対する損害賠償請求を提起し、同年12月28日に和解が成立し、これに基づき、同年12月28日、200万円が被懲戒者の預り金口座に振り込まれたが、Aに送金しないまま、2017年9月25日から2020年3月15日にかけて、合計810万円を、本来の預り金の使用目的以外の目的で払い出し、被懲戒者の事務所の口座または被懲戒者が業務とは別に管理する個人口座に入金する等した4処分が効力を生じた日 2025年5月14日 2025年9月1日 日本弁護士連合会

⑤自由と正義9月号 受任できない事件

処分を受けた弁護士氏名 西田幸広登録番号 42431 熊本 弁護士法人Si-Law  懲戒の種別 戒告

処分の理由の要旨 被懲戒者は、2022年4月から同年10月頃にかけて、懲戒請求者とAとの間で離婚請求の訴えが係属して、戸籍上の手続までは完了していない状況下において、Aとの性的関係を持ちながら、Aの代理人として、懲戒請求者からAに対する不当利得返還請求訴訟及びAから懲戒請求者が理事長をしている法人Bに対する役員報酬支払請求訴訟に係る訴訟行為をした。4処分が効力を生じた日 2025年3月24日 2025年9月1日 日本弁護士連合会

⑥自由と正義8月号 預り金返還せず依頼者を罵る

処分を受けた弁護士氏名 平野曜二 登録番号 17829 愛知 平野曜二法律事務所  懲戒の種別 業務停止1月

処分の理由の要旨 (1)被懲戒者は、2018年7月頃、懲戒請求者から、夫婦関係調整調停申立事件、預金債権の仮差押申立事件を受任したが、これらの事件の受任にあたり委任契約書を作成せず、同月11月に懲戒請求者から委任されて提起した離婚訴訟についても委任契約書を作成しなかった。

また、被懲戒者は、懲戒請求者から事件を受任するに当たり、弁護士費用に関する明確な説明を行わず、懲戒請求者が被懲戒者を解任する旨通知した、2019年6月18日以降、支払った弁護士報酬の説明を再三求めたにもかかわらず、領収書の但し書きに記載しているとおりである等と回答するのみで、懲戒請求者に改めて説明することを理由なく拒否続けた。

(2)被懲戒者は、2019年2月、懲戒請求者が作成した文書の余白に二度にわたり「バカ」と自らの依頼者を罵り屈辱する記載をして返信して「あなたには文才がない」と懲戒請求者を揶揄するような表現をわざわざ記載した文書を懲戒請求者に返信した。

また、被懲戒者は、同年8月18日、懲戒請求者より解任を告げられ、弁護士費用である着手金に該当する分の明細を明確にした上で返還してほしいと求められたのに対し、委任契約上返還すべき着手金があるかどうか検討し、その説明をする必要があったにもかかわらず、その説明をすることなく、懲戒請求者を被告とした民事訴訟を起こす旨を記載した文書を懲戒請求者にファクシミリで送信し、同月28日、「お金に汚い性格」「本当にエゲツナイ人」と懲戒請求者を罵り、屈辱した表現を記載した文書を懲戒請求者にファクシミリで送信した。

(3)被懲戒者は、上記(1)の借差押申立事件について、裁判所の決定に基づき、2018年8月9日に320万円、同月10日に10万円の計330万円の供託金をそれぞれ第三者供託の方式で建て替えて供託し、同月31日に懲戒請求者が上記供託金相当額320万円を被懲戒者に支払ったところ、供託金取戻請求権は第三者供託をした被懲戒者に帰属し、懲戒請求者において供託金を取り戻し、これを懲戒請求者に対して返還する義務を負い、自らその義務を負うことを知り、それを履行することが可能であったにもかかわらず、上記(1)の離婚訴訟の顛末の報告、被懲戒者への謝罪を条件とすることに固執し、懲戒請求者がA弁護士らに委任して提起した上記供託金相当額等の支払を求める損害賠償請求訴訟の2021年12月10日の期日まで、不当に履行を拒否し続けた。

(4)被懲戒者は上記(3)の供託金取戻請求権の債権譲渡の方法への協力を依頼した懲戒請求者に対し2020年3月23日、これを拒否し、法律上の根拠を含めて懲戒請求者及び同人が依頼した弁護士から直接文書にて誠実に返事をもらいたい旨を要求し、同月26日、これを受けたA弁護士から懲戒請求者の代理人であることが明示された供託金の取戻手続に関する説明文書を送付されて回答を得たにもかかわらず、同年4月1日、あえてA弁護士を介さず、懲戒請求者を非難し、被懲戒者へのお詫びが前提である等の交渉の条件を付した内容証明郵便による文書を、直接、懲戒請求者に送付し、懲戒請求者が上記(3)の損害賠償請求訴訟を提起した後の2021年10月になってもなお、A弁護士らの対応を正当な理由なく非難する内容の文書を直接、懲戒請求者送付した。処分が効力を生じた日 2025年3月18日 2025年8月1日 日本弁護士連合会

⑦自由と正義 8月号 離婚事件を得意とする弁護士がXでNPOを誹謗中傷

処分を受けた弁護士氏名 川村真文 登録番号 21993 大阪 シンブラル法律事務所  懲戒の種別 戒告

処分の理由の要旨 被懲戒者は、2023年12月24日から2024年1月6日頃にかけて、被懲戒者の運営するアカウントを用いたSNSサービスにおいて「人の善意を利用して私服をこやす最低のビジネスモデル」等と懲戒請求者である特定非営利活動法人A及びA法人の創設者であるBを誹謗中傷する屈辱的な投稿した。

被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2025年3月13日 2025年8月1日 日本弁護士連合会

(注)「私服」(まま)をこやすは「私腹」と9月号で訂正

⑧自由と正義7月号 離婚事件放置

処分を受けた弁護士氏名 大﨑克之 登録番号 36213 神奈川 川崎パートナーズ法律事務所 懲戒の種別 業務停止6月

処分の理由の要旨 被懲戒者は、懲戒請求者から2021年5月11日、離婚調停事件を受任したところ、懲戒請求者に対し、同年7月8日に懲戒請求者にとって初回となる調停期日が開催されるに当たり、調停の当事者本人が調停期日に出頭することの適否についての説明を行わず、同年9月8日の調停期日が開催されるにあたっては、書面を取り交わすだけなので、懲戒請求者は出頭する必要がないと説明し、懲戒請求者が2回の調停期日に出頭しない状況にした、

また、被懲戒者は2022年1月25日開催予定の調停期日に先立つ同月21日に、懲戒請求者と打ちあわせを予定していたが、懲戒請求者に対し、新型コロナウイルスの濃厚接触者になったなどとメールを送信して打合せを中止し、その日のうちに日程調整の連絡をせず、同月25日の調停期日は3月25日に延期になった、さらに、被懲戒者は、同年12月22日の調停期日当日に、懲戒請求者に対し、新型コロナウイルスに感染したため調停に出席できない旨の連絡をメールでしたが、懲戒請求者が被懲戒者にどうすればよいかなどのメールを送信しても何ら返信せず、同月23日以降、懲戒請求者が複数回連絡しても、連絡が取れない状態になった。処分が効力を生じた日 2025年3月11日 2025年7月1日 日本弁護士連合会

⑨自由と正義6月号 財産分与事件の放置

処分を受けた弁護士 氏名 戸出健次郎 登録番号 36055第一東京 戸出総合法律事務所 懲戒の種別業務停止6月 2025年12月5日 業務停止9月に変更(異議申立)

処分の理由の要旨 (1)被懲戒者は、2015年12月15日、懲戒請求者から夫に対する離婚請求及び財産分与請求等を受任し、2016年9月20日に調停離婚を成立したが、財産分与が合意できず、2018年9月19日に財産分与請求の調停を申立てたところ、6期日のうち3期日について懲戒請求者に無断で出頭せず、同年11月7日に取下げ擬制となった結果、懲戒請求者は離婚の時から2年を経過するまで協議に代わる処分を家庭裁判所に請求する権利を喪失した。

(2)被懲戒者は、上記(1)の財産分与請求事件について、懲戒請求者に対し、事件が調停から審判に移行したことを報告したのみで、その他の経過については報告せず、呼び出しを受けた審判期日の連絡をせず、期日を欠席したこと、更に期日を欠席すれば取下げ擬制になること、その後取下げ擬制になったこと等を報告しなかった。

(3)被懲戒者は、2018年5月9日、財産分与対象財産の一部であるとして、懲戒請求者の夫から預り金328万1682円を受領したところ、上記(1)の財産分与請求事件が取下げ擬制により終了した2019年11月7日をもって委任契約は終了し、その後、遅滞なく懲戒請求者に返還する義務があったにもかかわらず、これを返還しなかった。4処分が効力を生じた日 2025年2月12日 2025年6月1日 日本弁護士連合会

⑩自由と正義1月号 離婚事件を多く取り扱う弁護士

処分を受けた弁護士氏名 飯田絵里子 職務上の氏名 松野絵里子 登録番号 27308 東京ジェイ法律事務所 懲戒の種別 戒告

処分の理由の要旨 被懲戒者は、2019年8月9日、Aが招集した懲戒請求者有限会社Bの唯一の取締役である懲戒請求者Cの取締役解任とDの取締役選任を議題とする臨時株主総会にDの代理人として出席し、上記株主総会の議長につき、懲戒請求者Cの代理人であるE弁護士による立候補及び裁決の求めを受けてAが裁決による議長選出の方向を示し、E弁護士もこれに同意したにもかかわらず、裁決ではなく仮議長であるAの指名によって自身が議長になった旨を述べてそのまま議長に選任されたものとしてその後の議事を進行し、懲戒請求者Cについて3000株の株式の議決権行使をすることができる旨の仮処分決定に反し、議決権数はAは2000株、懲戒請求者Cが1400株として、懲戒請求者Cについて3000株の議決権行使を認めず、懲戒請求者Cの取締役解任及びDの取締役選任の議案を可決させた。4処分が効力を生じた日 2024年7月17日 2025年1月1日 日本弁護士連合会