弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2011年10月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・京都弁護士会・中村愈弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・報道7月11日のNHK報道

手に訴訟取り下げ業務停止

京都弁護士会に所属する73歳の弁護士が、工事の請け負い代金を巡る訴えを勝手に取り下げたり、消費者金融業者に対する提訴の依頼を受けながら放置したりしたとして、弁護士会は業務停止1年の懲戒処分としました。業務停止1年の懲戒処分を受けたのは、京都弁護士会に所属する中村愈弁護士(73)です。京都弁護士会によりますと中村弁護士は、平成15年ごろ工事の請負代金を巡り、600万円の支払いを求める訴訟の依頼をうけましたが、依頼者の男性に無断で訴えを取り下げて放置した結果、600万円が請求できなくなったとして、男性から懲戒請求を受けていたということです。
さらに、中村弁護士は同じ時期に消費者金融業者に対し、払いすぎた金を返すよう求める訴えを起こすよう女性から依頼を受け6万円を受け取りましたが、これも提訴せず放置したということです。また中村弁護士は、弁護士会の8か月分の会費や負担金、40万円を滞納したとして京都弁護士会はこのほど、弁護士の職務規程に違反したとして、業務停止1年の懲戒処分を決めました。京都弁護士会は、中村弁護士の言い分に関しては公表できないとしています。

懲 戒 処 分 の 公 告

 京都弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。          記

1 処分を受けた弁護士氏名 中村愈

登録番号 12475

事務所 京都市伏見区深草  中村愈法律事務所      

2 懲戒の種別   業 務 停 止 1 年

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は懲戒請求者Aから建物建築請負代金の請求の依頼を受け、Aに対し建物の買主を被告として訴えると説明し買主を被告として訴訟を提起した。しかし被懲戒者は訴訟に関する書類をAに交付せず、Aに事前に相談せず訴訟を取り下げ、事後の報告をしなかった。また被懲戒者は注文主に対する別訴を提起するとAに説明しながら、実際には訴訟を提起せず、請負代金債権を消滅時効にかからしめたほか、Aからの問い合わせに対し「書類を提出した」「勝つか負けるかわからない長引きそうだ」などと述べた、さらに被懲戒者は証拠書類等記載の返還及び費用の清算を怠った
(2)被懲戒者は懲戒請求者Bから過払い金返還請求の依頼を受け6万円を受領したがその事件処理を放置した
(3)被懲戒者は20096月分から同年10月分までの5か月分及び同年12月分から20102月分までの3か月分の合計8か月372000円の弁護士会の会費及び負担金並びに日本弁護士連合会の会費及び特別会費を滞納した。
(4)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規定第35条第3644条及び第45条に蒸気(2)の行為は同規定第35条に、上記
(3)の行為は弁護士法第22条にそれぞれ違反し上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
 
4 処分の効力を生じた年月日 201179日 201110月1日   日本弁護士連合会