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塀の中からの懲戒請求 ④  服役囚は懲戒請求者「手紙(3)」
 
強盗傷害事件で現在、服役している弁護士懲戒請求者
自分の刑事裁判のときに弁護人となった弁護士が被告人として納得のいく弁護ではなかったというのが懲戒事由。裁判員裁判施行前のモデルケースとなった裁判。
弁護人の所属弁護士会は棄却、すると服役囚は棄却した綱紀委員長と弁護士会長に対しても懲戒請求を出した。3件の懲戒請求を出したがすべて棄却。
残るは綱紀審査会(弁護士が審査しない)だけとなった。
 
10月に刑務所から手紙が来ました。
どうすればいいのか。綱紀審査会に出すべきか
私に一任されました。ひとつの理由は刑務所には調査をする道具も六法全書もありません。書式も分かりません。もうひとつの理由は綱紀審査会に出して確実に処分は取れるのかということでした。
 私の返事は
  裁判の時の弁護人の懲戒請求に関しては綱紀審査会で最後の審議をしてもらいましょう。刑事事件の弁護人の被告人にとって満足のいくものでなかったという理由であれば懲戒処分は取れなくても意義はあるかもしれません。おそらく懲戒相当と議決されない可能性の方が高いと思います。
  懲戒処分を出さなかった綱紀委員長・弁護士会長に綱紀審査会への審査請求は止めましょう。意味のないことです。綱紀委員長が懲戒相当と決議しなかったといって懲戒請求を出せば日本中の綱紀委員長がいなくなります。二弁の懲戒委員長のような不正なことがあれば別ですが懲戒しないことが懲戒事由というのはそれは無理です。弁護士会長への懲戒請求は絶対に無理な請求です。弁護士会長は弁護士の懲戒審議に一切加わってはいけませんし、どんな処分を出しても意見をいうこともできません。綱紀委員会は公平中立であり弁護士会からの圧力も受けないとされているからです。しかし実態は元弁護士会長などが綱紀委員会や懲戒委員会に被懲戒者の代理人だと出てきて圧力を掛けているのは事実です。服役囚の綱紀委員会でそのような圧力や不正があったとは確認できませんのでやはり綱紀審査会への審査請求は止めたほうがいいでしょう
 
服役囚のお父さんに手紙を出しました。
一番心配しているのはこのまま懲戒請求を続けていれば罪を認めて、反省して刑に服しているのかと刑務所に疑われるのではないか。リスクが伴うのではないか。つまり満期前の仮釈放が遠のくのではないでしょうか。それでも審査請求を出しますか?
 
彼の父さんから手紙が来ました
息子は弁護人の弁護を納得していないのは事実。このまま満期まで不満を持って刑期を務めるのはあまりに忍びない。刑務所に六法全書もネットもない。どうか審査請求書を書いていただけないかということでした。私は3件の審査請求を1件だけにして綱紀審査会への申請書を作りました。既に日弁連に届いていると思います。 
服役囚からも彼の53歳の誕生日に手紙が来ました。
1012日が誕生日だということでした。私は1011日が誕生日で58歳になったと返事を書きました。
彼が満期を迎えるのは還暦になるころでしょうか。
あなたの満期の頃は私はあの世かもしれませんね・・・・・・・
 
そして201212月末に服役囚から手紙が届きました。
弁護人の懲戒請求が棄却され日弁連に異議申し立てを出したのですがこの異議申立は門前払いとなっていました。それは刑務所が所属弁護士会から届いた議決書が服役囚に届いていなかったためと判明します。そのため期限内に異議申立ができなかったのです。
彼の新しい闘いが始まりました。
 
次回、服役囚からの手紙 (4)