日弁連広報誌2012年12月号に栃木義宏弁護士の懲戒処分が取消しなったとの採決が掲載されました。懲戒処分取り消し(採決の公告)
 
取り消された懲戒処分の公告
東京弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士氏名
 栃木 義宏 登録番号 13164    東京弁護士会
事務所 東京都港区虎ノ門    栃木・柳澤法律事務所   
2 処分の内容        戒 告
3 処分の理由
被懲戒者は2009613日、弁護士である懲戒請求者が所属する弁護士会に、同弁護士の懲戒請求をするにあたり、懲戒請求書に懲戒請求者の人格を誹謗中傷する表現を記載した。被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第70条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日
 2011103
201211日   日本弁護士連合会
 
栃木義宏弁護士の懲戒処分が日弁連で取り消しになりその詳細が掲載されています(201212月号自由と正義)
破産管財人であるA弁護士に対し懲戒請求を行ったのですがその書面に弁護士として品位を欠く内容があったというものです。すると懲戒を出された破産管財人である弁護士が栃木弁護士に懲戒請求を出し栃木弁護士は戒告処分となりました。栃木弁護士は処分は不服であると日弁連に審査請求しこれが認められたということです。
文面だけを見ればずいぶん下品な弁護士というイメージがありますが、破産した会社というのはあの会社ではないかということです。みなさんはどう思われますか?字数の関係で途中からになります。
 
        採 決 の 公 告
               記
1議決の内容
審査請求人を懲戒しない(戒告)
2議決の理由の要旨
(1)  破産管財人弁護士に対する懲戒請求書に
  「悪代官が難癖をつけて農民から過酷な年貢を取り立ててるに似た愚行」との表現
  「虚偽と知りながら、あるいは、虚偽であることを容易に知り得たにもかかわらず。破産管財人弁護士として必要な注意はおろか法律家としての最低限の注意すら怠り、不当に裁判を申立てかつその裁判において個人の名誉毀損における事実を主張した」との表現
  「破産管財人弁護士たる使命に背き、誠実に弁護士の職責を果たさなかった」との表現
  「社会正義に名を借りて根拠なく個人を誹謗中傷する」との表現
  「破産法解釈学の未熟にもかかわらずその研鑽を怠った」との表現を記載した。
(2)  東京弁護士会は本件記載を懲戒請求者の人格に対する誹謗中傷であり弁護士として品位を失うべき非行にあたるとし審査請求人を戒告の処分に付した。
(3)    ところで弁護士が懲戒請求書を作成した場合に、その記載内容がいかなる場合であっても弁護士としての品位を失うべき非行にあたらないとは解されないのであって、弁護士職務基本規定第70条において他の弁護士等との関係において、相互に名誉と信義を重んじることをされていることに鑑みれば、対象弁護士を屈辱する表現やその人格に対する誹謗中傷等については弁護士としての品位を失うべき非行にあたる場合があるものと解されるべきである。
(4)    そして本件記載①は例えとして適切なものでなく、また懲戒請求書にこのような卑俗な例えを用いる必要がなく軽率の謗りを免れないが、懲戒請求者の行った査定申立ての問題を指摘するために記載したのであり懲戒請求者の人格を攻撃するためではないから、懲戒請求者に対する屈辱的表現であるとかまでいえない。また本件記載②ないし⑤についても懲戒請求者に対する屈辱的表現であるとか、その人格に対する誹謗中傷であるとはいえない
(5)     なお、本件については東京弁護士会懲戒委員会議決書記載のとおり本件記載が懲戒請求者の人格に対する誹謗中傷であって懲戒処分に付すまでもない軽微な程度のものとはいえず非行にあたるとする反対意見がある。
(6)    以上の次第であるから審査請求人が懲戒請求者に本件記載をしたことをもって、弁護士として品位を失うべき非行にあたるとまでは認められないので東京弁護士会のなした懲戒処分(戒告)を取消し審査請求人を懲戒しないこととする。
3採決が効力を生じた年月日 20121016
2012121日 日本弁護士連合会
 
 
以上が処分取消しの採決の公告です。
元の事件の関係者、とくに被害を受けた方の皆さんは栃木弁護士の処分取り消しは当然であり栃木弁護士は正義の弁護士だと言われるでしょう。
逆に弁護士が弁護士に対して出した懲戒請求書にここまで書く必要はあったのかどうか意見が分かれることだと思います。
 
栃木弁護士は破産管財人弁護士の行為について非行であると懲戒を出したのです。このことについて、よくやっていただきましたと頭が下がるのではないでしょうか。まだまだ弁護士に対して懲戒を出すことは少ないようです。特に研鑽義務違反という弁護士としてあなたは勉強不足だという内容は懲戒はなかなか出せないでしょう
これからは弁護士が懲戒請求者になって相手方弁護士であろうといいかげんな仕事をしたら相手弁護士から懲戒を出されるということはいい事だと思います。お互い弁護士だからと傷をなめ合うような非行を見逃すことのないように懲戒請求を出すべきだと思います。
今年は弁護士同士の仁義なき戦いになるでしょう!
 
ひょっとするとこの先生の懲戒処分も取消しになるかもしれません
 
 

(名誉の尊重)
、、第七十条
弁護士は他の弁護士弁護士法人及び外国法事務弁護士 との
関係において、相互に名誉と信義を重んじる。。