弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2026年6月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・ 熊本県 弁護士会・西田幸広弁護士の懲戒処分取消(採決の公告)の要旨
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取消前の元の処分要旨
熊本県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 西田幸広
登録番号 42431
事務所 熊本県八代市西松江城町4-30 2階
弁護士法人Si-Law
2 懲戒の種別 戒告(処分取消)
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、2022年4月から同年10月頃にかけて、懲戒請求者とAとの間で離婚請求の訴えが係属して、戸籍上の手続までは完了していない状況下において、Aとの性的関係を持ちながら、Aの代理人として、懲戒請求者からAに対する不当利得返還請求訴訟及びAから懲戒請求者が理事長をしている法人Bに対する役員報酬支払請求訴訟に係る訴訟行為をした。
被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2025年3月24日 2025年9月1日 日本弁護士連合会
熊本県弁護士会が2025年3月24日に告知した 同会所属弁護士 西田 幸広 会員(登録番号 42431) に対する懲戒処分(戒告)について、 同 人から行政不服審査法の規定による審査請求が あり、 本会は、 2026年4月14日、 弁護士法第59条の規定により、懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり裁決したので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第3号の規定により公告する。
1 裁決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(戒告)を 取り消す。
(2)審査請求人を懲戒しない
2 裁決の理由の要旨
(1) 審査請求人は、 懲戒請求者がAを被告として提訴し、請求の棄却が確定した離婚請求訴訟において、両者の間の婚姻関係は破 綻していたと認定されていたが、戸籍上の手続はなされていない状況下において、 Aと性的関係を持ちながら、 Aの代理人として、懲戒請求者からAに対する不当利得返請求訴訟及びAから懲戒請求者が理事長をしている法人に対する役員報酬支払請求訴訟(以下併せて「両訴訟」という。)に係 る訴訟行為をした。
(2) 原弁護士会は、婚姻関係が破綻しているとしても、戸籍上の手続までは完了していない状況下で、審査請求人が、性的関係が 生じたAの代理人として、 その夫である懲戒請求者に対して継続的に訴訟手続を行うことは、懲戒請求者に不信を抱かせたり、 あるいはAからの過度の要求が訴訟行為に反映されたりしているのではないかとの疑念を生じさせることになり、これが一定期間継続していれば、 弁護士制度に対する不信にまで発展しかねないので、審査請求人 の上記(1)の行為は弁護士法第56条第1項に 定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当するとして、審査請求人を戒告処分に付した。
(3) 当会懲戒委員会が審査した結果、審査請求人とAとの間の性的関係が開始される約5年前にAと懲戒請求者との婚姻関係が破綻していたことは裁判所の認定するところ であって、この性的関係が懲戒請求者に対する不法行為を構成しないことは原弁護士会懲戒委員会も判断するとおりであり、審査請求人とAとの間に性的関係があった当時、両訴訟の手続は相当程度進んでいたこと等からすれば、その性的関係が開始され た時点で、審査請求人とAとの間におい て、審査請求人が代理人であることを利用 してAに対し、 何らかを強要する又は事件処理に関して過度に迎合的な態度を示す、 あるいは、Aが審査請求人に対し、事件処理において不当な要求をするなど、何らか の利害が対立する関係にあったとは認められない。また、実際に、その後の両訴訟の経緯をみれば、 結果的に事件処理に影響があったとは言えない。したがって、審査請求人とAとの性的関係の開始によって、懲戒請求者に原弁護士会懲戒委員会が認定す る不信や疑念を生じさせるおそれは少なく、これが弁護士制度に対する不信にまで発展する可能性も低いと認められる。 これらの要素を検討した結果、審査請求人の行為は、弁護士としての品位を失うべき非行に該当する可能性が皆無とは言えないが、 審査請求人が本会懲戒委員会の審査において真摯に反省の態度を示していることも併 せ考えれば、原弁護士会の懲戒処分を維持 することは、相当ではない。
(4) よって、 原弁護士会のなした懲戒処分を 取り消し、 審査請求人を懲戒しないことと するのが相当である。
なお、前記判断に対して、特段の事情が認められない限りは、依頼関係が生じた後に弁護士が依頼者との間で性的関係をもつことについては、品位を失うべき非行であ ると言うべきであり、 また、本件においては、多数意見が示す理由をもってしても特段の事情があったとは認められず、審査請求人に弁護士としての品位を失うべき非行 があるとした原弁護士会の判断は相当であるとの反対意見があったことを付言する。
3採決が効力を生じた年月日 2026年4月20日 2026年6月1日 日本弁護士連合会
