弁護士自治を考える会
護士の懲戒処分を公開しています。「日弁連広報誌・自由と正義」20146月号に公告として掲載された弁護士の懲戒処分の要旨・熊本県弁護士会・木原武士弁護士の懲戒処分の要旨 
1発目から業務停止2月という一瞬厳しそうに見える懲戒処分
安政町法律事務所
 (報道がありました)
着手金不当受領:弁護士懲戒処分県弁護士会 /熊本
毎日新聞 20140315日 地方版
 遺産の処分を巡って着手金約2200万円を不当に受け取ったなどとして、県弁護士会は14日、熊本市中央区安政町の「安政町法律事務所」に所属する木原武士弁護士(40)を業務停止2カ月の懲戒処分にした。県内の弁護士に対する懲戒処分は今年度2件目。
 弁護士会によると、木原弁護士は県内の高齢女性=2013年1月に死亡=から、全ての遺産を1人の親族に相続するとしていた遺言書を、全て寄付するとの内容に変更するよう依頼を受けた。
 その後、新たな遺言書の有効性を巡って紛争が起きていないにもかかわらず、11年9月から12年6月にかけて遺産処分に関する法律事務の着手金として計約2200万円を受け取るなどしたとしている。
 

懲 戒 処 分 の 公 告
 熊本県弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名        木原武士 
登録番号       37434
事務所        熊本市中央区安政町
           安政町法律事務所
2 処分の内容     業務停止2
3 処分の理由
(1)被懲戒者はAから一切の遺産をAの姪である懲戒請求者に相続させる旨の公正証書遺言を作成し全財産を寄付する旨の新たな遺言書作成の意向を受けたが遺言信託に関する契約締結を提案した。遺言信託はB信託銀行に対し、Aの遺言信託に関するB行の質問に対するAの回答及びAの意向を伝えた程度で結局、遺言信託に関する契約は締結できず2011929Aの希望に沿う新たな公正証書遺言がなされた。被懲戒者はB行との協議は新遺言書作成の一環にすぎないものであったにもかかわらず、同日Aから公正証書遺言作成手数料1315378円とは別個に適正かつ妥当な弁護士報酬とはいえない契約交渉手数料93万円を受領した。
(2)被懲戒者はAと懲戒請求者との間に上記の新たな公正証書遺言書の有効性をめぐる紛争が発生していない上、Aに対し事件の見通し及び処理の方法のみならず、着手金算定の基礎となる金額、計算方法等について十分な説明をせずに2011929Aから交渉事件の着手金名目で適正かつ妥当な弁護士報酬とはいえない12736828円を着手金の追加として2012216日に535万円及び612日に3885160円をそれぞれ受領した。
(3)被懲戒者は2012919Aと財産の管理に関する委任契約等を締結し、その頃Aから通帳及びカードを預かり財産管理を開始した。被懲戒者はAの預り金口座から同月25日に30万円、同年1119日に30万円、同年124日に30万円をそれぞれ払い戻し、払い戻した現金を封筒に入れ支出の都度に受領した領収書を封筒に入れるという方法で管理したが収支明細を記録しなかった。
(4)被懲戒者の上記(1)及び(2)の行為は弁護士職務基本規定第24条に違反し上記(3)の行為は同規定第38条に違反し、いずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4 処分の効力を生じた年月日 2014314日 20146月1日   日本弁護士連合会