週刊新潮の「少年実名報道」に日弁連会長が遺憾声明「報道に不可欠ではない」(全文)

 

川崎市の中学1年生が殺害された事件で、殺人容疑で逮捕された18歳少年の実名と顔写真が、3月5日発売の「週刊新潮」に掲載された。それを受け、日本弁護士連合会は「少年法61条に反する事態であり、誠に遺憾である」という村越進会長の声明を発表した。

この声明のなかで、村越会長は「少年による事件については、本人と推知できるような報道がなされると、少年の更生と社会復帰を阻害するおそれが大きい」と弊害を指摘しつつ、「憲法21条が保障する表現の自由が極めて重要であるとしても、少年の実名等が報道に不可欠な要素とはいえない」と見解を述べている。 村越会長の声明の全文は、以下の通り。

少年の実名等報道を受けての会長声明

本年3月5日発売の「週刊新潮」は、2月20日に神奈川県川崎市で中学1年生男子の遺体が発見された事件について、被疑者である少年の実名を挙げ、顔写真を掲載した。
これは、少年の犯行について氏名、年齢等、本人と推知することができるような記事又は写真の報道を禁止した少年法61条に反する事態であり、誠に遺憾である。
少年法は、少年が成長途中の未成熟な存在であることに鑑み、「健全育成」の理念を掲げている(1条)。凶悪重大な少年事件の背景にも、少年の成育歴や環境など複雑な要因が存在しており、少年のみの責任に帰する厳罰主義は妥当ではない。そして、少年による事件については、本人と推知できるような報道がなされると、少年の更生と社会復帰を阻害するおそれが大きいことから、事件の内容や重大性等に関わりなく、そのような報道を一律に禁止しているのである。
国際的に見ても、子どもの権利条約41条2項は、刑法を犯したとされる子どもに対する手続のすべての段階における子どものプライバシーの尊重を保障し、少年司法運営に関する国連最低基準規則(いわゆる北京ルールズ)8条も、少年のプライバシーの権利は、あらゆる段階で尊重されなければならず、原則として少年の特定に結びつき得るいかなる情報も公開してはならないとしている。
少年の実名等の報道については、2000年2月29日大阪高裁判決や、ネット上で既に実名等の情報が拡散していること、更には被害者側が実名等で報道されることとの対比なども議論されている。しかし、上記大阪高裁判決は、民事上の賠償責任までは認めなかったものの、少年法61条の趣旨を尊重した抑制的な対応を報道機関に求めており、また、ネット上での情報拡散については、プライバシー権等の侵害など、それ自体の違法性が問題となり得る。そして、名誉・プライバシー権保護の理念は、被害者とその遺族についても尊重されなければならないことはいうまでもない。
もとより、憲法21条が保障する表現の自由が極めて重要であるとしても、少年の実名等が報道に不可欠な要素とはいえない。事件の背景・要因を正確かつ冷静に報道することこそ、同種事件の再発を防止するために不可欠なことである
当連合会は、2007年11月21日付けで少年事件の実名・顔写真報道に関する意見書を発表したほか、これまでなされた同様の報道に対し、少年法61条を遵守するよう重ねて強く要請してきた。それにもかかわらず、今回同じ事態が繰り返されたことは極めて遺憾である。
当連合会は、改めて報道機関に対し、今後同様の実名報道・写真掲載をすることのないよう要請する。
2015年(平成27年)3月5日
日本弁護士連合会    会長 村 越  進

お言葉ですが、会長

静岡の弁護士が児童買春して懲戒請求を出されました。懲戒請求者は
当時者でありません。誰でも懲戒請求者になれます。
懲戒委員会の議決書に児童(少女)の名前(苗字)がありましたが
会長のお言葉をお借りすれば
少年による事件については、本人と推知できるような報道がなされると、少年の更生と社会復帰を阻害するおそれが大きい」と弊害を指摘しつつ、「憲法21条が保障する表現の自由が極めて重要であるとしても、少年の実名等が報道に不可欠な要素とはいえない」
と述べておられます。
 
静岡の弁護士が児童買春をして懲戒処分になり、議決書に児童の情報がありました。情報公開した綱紀委員に懲戒請求を出しました。
 
議決書 平成26年(綱)第1号第2号第3号第4
静岡県弁護士会所属弁護士・対象弁護士 内田文喬(10403
同           ・対象弁護士 小野森男(14191
同           ・対象弁護士 渡邉昭 (14196
同           ・対象弁護士 本杉隆利(14195
 
『主文』(懲戒請求者の請求を棄却)
対象弁護士らについて懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする
『理由』
第1    対象弁護士らは平成231125日当時、静岡県弁護士会懲戒委員会の
委員長及び委員の立場にあった者でありが、同年議決書(平成23年静岡県
弁(懲78号懲戒請求事件)において児童買春行為を行った弁護士による
被害児童の個人情報を記載し懲戒請求者に対して右議決書を交付したこと
により懲戒請求者に被害児童の氏名を漏えいした。
 

 

『対象弁護士らの弁明』

 

(内田文喬弁護士)
○○(苗字記述)某が18才に満たない児童であることを議決中に表記することは事件対象弁護士の非違行為を特定するため必要な表記である
○○某(氏名記述)なる表記は被害女性の性のみを表記したのものであるが他に男女の別、住所、生活環境等被害児童に関する記載が何らないのでかかる表記によって被害児童の特定に質す具体的危険性が認められるとは言えない。よって対象弁護士に対する本件懲戒請求事件が弁護士法第561項にいう非行とは言い難い
(小野森男弁護士・渡邉昭弁護士・本杉隆利弁護士の弁明は1字1句同じ)
 

 

『当委員会の判断』

 

  『個人情報』とは生存する個人に関する情報であって当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより個人の特定を識別することができることとなるものを含む)をいうとされているところ(個人情報保護法第2条1項)議決書で明らかにされているのは被害児童の姓(苗字)と年齢が18才未満であることのみであり事件が1300万人超の人口を擁する東京都内で発生したことを併せ鑑みればこれより被害児童を識別することは不可能であるものと評することができる。したがって懲戒請求者が問題にしている議決書の被害児童に関する記載事項はそもそも個人情報にはあたらないものである。そして個人情報とはいえない以上、その漏洩云々はそもそも問題とならず対象弁護士らに弁護士法第56条第1項の非行があったと認めることはできない。よって主文のとおり議決する。
   平成26年3月3日静岡県弁護士会綱紀委員会 委員長 河村正史
 
(被害女児はたいへん珍しい苗字ですので特定できます)
 

日弁連はよくて他はダメという会長それはいかがなものか

児童A・少女Aでいいのではないですか