懲戒請求申立を受理し事件番号を付け綱紀委員会で非行の調査をしたが、対象弁護士が登録換えを出していたことが分かったので懲戒の審査を終了した青森県弁護士会

ある懲戒請求者さんからの情報です

弁護士に非行があれば懲戒請求を所属の弁護士会に出すことができます。弁護士会宛てに申立てをし、綱紀委員会で審査されます。懲戒請求者は、どこの弁護士会に所属をしているかを調査し
申立書に所属弁護士会がどこであるかを書きます。
受け取る弁護士会は、確かにこの弁護士は当会に所属していると
調べ申立書を綱紀委員会に送付し事件番号が付き懲戒の審査が始まります。
ところが、青森県弁護士会に申し立てた懲戒請求が以下のように
強制終了されました。

議決書  
主 文

対象弁護士の登録換えにより本件審査を終了する。

理 由

青森県弁護士会会員であった対象弁護士に対し、平成28年4月14日懲戒請求がなされたが、日本弁護士連合会から対象弁護士は懲戒請求がなされる前の同月4日、埼玉弁護士会へ登録換えの請求を
行い、平成28年6月2日付けで同弁護士会へ登録した旨、青森県弁護士会に対し通知された。
登録換えにより、青森県弁護士会は対象弁護士に対する懲戒権限を喪失したため、当委員会は本件請求につきもはや審査を得ないことになった。
よって本文のとおり議決する。
平成28年6月27日

       青森県弁護士会綱紀委員会
         委員長 三上稚通
平成28年7月4日 青森県弁護士会 会長 竹本真紀


懲戒請求を受理した時は確かに青森県弁護士会の会員だった。
しかし後で埼玉に登録換えを出していたことが分かった。
だから、懲戒は審査できないという理屈である。

懲戒請求が出されていれば登録換えはストップするのが多くの弁護士会、今回は懲戒が出される前に登録換えが出ていた。青森県弁護士会は気がつかなかった。だから、この懲戒はなかったことにします。ということです。

それならばです。
非行をやったと感じている弁護士が、とりあえず登録換えを弁護士会に出しておいて、懲戒が出されたら登録換えしますとやれば
登録換えにより審査終了になり懲戒は逃れることになる。

今回の対象弁護士は、青森から埼玉へは懲戒をお土産に持って行ったわけではない。懲戒は一旦白紙となり、埼玉弁護士会に出し直しをしなければならない。その間に除斥になるかもしれない。
青森県弁護士会の解釈は正しいのかどうか?

弁護士法第10条

「対象弁護士」
登録換えをするには法第10条により所属弁護士会に届け出て、その受付された旨を証する書面を得、新たに入会しょうとする弁護士会を経て日弁連に登録換えを請求しこれが認められたことを要する。所属弁護士会に対する右の届出は登録換えが日弁連に認められることを停止条件とする条件付き退会届であるから登録換えの請求手続き中といえどもその弁護士は従来の所属弁護士会に所属していることになる。
したがって登録換えの請求後、登録換えが認められるまでの間は従来の所属弁護士会の懲戒手続きにおいてその弁護士は対象弁護士となる
懲戒請求後、綱紀委員会の調査手続き前に登録換えが認められると弁護士は旧所属弁護士会との関係で対象弁護士としての適格性を失い「懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする」との議決がなされることになる。

③調査開始に伴う登録換え等の制限
事案が懲戒の手続きに付されることにより対象弁護士は手続きが結了するまでは登録換えまたは登録取り消しの請求をすることができなくなる。
「懲戒の手続きに付された」と手続きが結了する意味が明らかにされなければならない。
イ 「懲戒の手続きに付された」の意味
綱紀委員会の手続きに付されたときをいうのか(非限定説)懲戒委員会の手続きに付されたときをいうのか(限定説)の考え方が分かれていたが平成1169日付で日弁連会長から各弁護士会会長宛てに通知した。
「弁護士会は所属の弁護士または弁護士法人について懲戒の事由があると思料されるとき又は懲戒請求があったときは懲戒の手続きに付し綱紀委員会に事案の調査をさせなければならない」と限定され綱紀委員会に事案の調査をされることをもって「懲戒手続きに付された」ときであることが事実上あきらかとなった。より具体的には「懲戒の手続きに付された」とは弁護士会の会長が綱紀委員会に事案の調査を命じる旨の決裁をしたと解される。

時系列
4月4日  登録換え申請
4月14日 懲戒請求が出される
6月2日  登録換えが認められる
6月27日 懲戒審査終了(綱紀委員会)

弁護士法第10条抜粋
所属弁護士会に対する右の届出は登録換えが日弁連に認められることを停止条件とする条件付き退会届であるから登録換えの請求手続き中といえども、その弁護士は従来の所属弁護士会に所属していることになる。

したがって登録換えの請求後、登録換えが認められるまでの間は従来の所属弁護士会の懲戒手続きにおいてその弁護士は対象弁護士となる


懲戒請求者の方は
今回の懲戒請求は「審査終了」という納得のいかない形で棄却をされていますので、日弁連に異議申立を行いますとのこと

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