『 職務上請求  責任の行方 ④ 』

 

当ブログでは、七人の記者班リポートとして 『責任の行方』 と題す書庫を設け、テーマを掲げ追求リポートしていきます。当会公開質問状など調査回答含め取材し、班として配信していきます。今回 『職務上請求』について4回目の配信 です。

 

最高裁 『弁護士会照会』 判決

 

先週、弁護士会照会における『回答拒否』ついて、日本郵政と弁護士会(弁護士含む)が争われた上告裁判で判決が下された。

 

『回答拒否の日本郵政が勝訴』  『弁護士会 敗訴 』 である。

 

『愛知県弁護士会の住所照会に日本郵便が回答を拒否したことの是非が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(木内道祥(みちよし)裁判長)は18日、「回答拒否によって弁護士会の利益が侵害されたとはいえず、弁護士会に損害賠償請求権はない」との初判断を示した。その上で、日本郵便に賠償を命じた2審名古屋高裁判決を破棄し、弁護士会の請求を棄却。日本郵便に回答義務があることの確認を求めた部分については、審理を高裁に差し戻した。』(産経ニュース より引用) 

 

 

 今回 信書 など法規定解釈で、『転居先の住所・電話番号開示』 がプライバシーにあたるかも争っていたようであるが、弁護士組織 『弁護士会』 も原告となり起訴した事件であるのだから、今後全国各地の弁護士方や弁護士組織が、如何様な解釈を述べるにせよ(損害賠償権があるか否かの判断だった云々)、そもそもの訴額(請求額)も相当低いことから、弁護士側の策・思惑が大きく外れた痛手な敗訴であることに間違いはないであろう。

 

そもそも、日本郵政は、弁護士会照会制度の論に否定的な見解を持っている、数少ない精鋭企業、いや安全な企業、いや顧客第1主義論をもつ企業であると思う。
 

 

イメージ 1

 

 

 

 

この事件の元は 『詐欺の賠償』 があり、当然追及されて然りの事件、回収すべき事件でもある。

 

しかし、このような犯罪被害を背景で絡められるような事件で、世論と共に心証を利用し、弁護士会は『照会制度』 の義務を強調し勝訴を得て、今後の『照会回答の義務』 判例に利用しようと安易に画策したのではなかろうか。

 

 

 

そんな中、こんな事件も裁判で進行しているようである。

 

『令状なしのGPS捜査、違法性判断へ 最高裁』

 

 

『裁判所の令状なしに、捜査対象者の車などにGPS(全地球測位システム)端末を取り付ける捜査手法が違法かについて、最高裁は5日、15人の裁判官全員による大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で審理することを決めた。最高裁は重要な論点について判断する場合などに大法廷を開く。令状なしのGPS捜査をめぐっては各地で判断が分かれており、最高裁は何らかの判断を示すとみられる。』

 

『正義』 の定義は、立ち位置で全く異なるものでもある。

 

弁護士はこの状況に限らず、捜査対象者が 『冤罪』 なら、どんな解釈するのだろう。

 

弁護士はこの状況に限らず、警察がこの手法を拡大すると、どんな解釈するのだろう。

 

『人の振り見て我が振りなおせ』 性善説唱える弁護士に必要ないのでしょうか。

 

金銭(商い)で 個人情報プライバシーを取得する制度

 

今一度、弁護士職務権限である制度、 『職務上請求』と『弁護士会照会(会請求 弁護士法第23条2)』の概要を簡単に振り返っておきます。

 

 

①  職務上請求

 

弁護士や司法書士が依頼を受けた民事事件について、事件対象者(相手方含む)に関する個人情報 『戸籍謄本』 『住民票』 などを、役所(諸官庁)へ開示請求(謄本・抄本の入手)できる制度。

 

 

 

② 弁護士会照会制度 (会請求 弁護士法第23条2)

 

弁護士が依頼を受けた事件について、弁護士が事実を調査するなど、弁護士の職務を円滑に行うために設けられた制度(弁護士法第23条の2)。個々の弁護士が行うものではなく、弁護士会がその必要性と相当性について審査を行った上で関係する企業等組織に情報照会を行う仕組み。

 

事件関係者の口座(財産情報・契約情報)の金融的な照会(取得)が主な目的にある。

 

 

 
上記①②ともに、民事上の事件で必要な情報を得るための制度である。もちろん金銭的賠償などを求めるのに、必要な情報ではある。そして、裁判を効率よく進めるという一端もある。

 

しかしながら、片方の意見(考え・策)で秘匿とされている情報を入手する制度でもある。

 

とどのつまり 『個人情報・プライバシー情報』 を金銭があれば入手できる制度である。

 

 
その上、この職権を有する弁護士は、依頼人の存在を設定(想定)し上手く定義することで  『弁護士自らの目的』 つまりは 『自己の満足(利益)』 にも本制度の利用が可能となる。
 

 

『訴訟準備のため』 と請求書の欄に一言記せば、情報を得てしまう現状であり、この 『情報の行方』、つまり結果検証、事実の確認する仕組みなど何も構築されていないのである。
 

 

イメージ 2

 

実際に裁判に至らなかった場合でも、責務は問われず、しかも当事者『個人情報の開示事実』は通知すら無い。

 

『相手方に知られれば正当な権利が失われるおそれ』があるのかもしれない。ならば、入手してから半年後にでも情報当事者へ通知すればよいのではなかろうか。

 

そんな務めすらも必要とされてないどころか、悪用防止の論議すら触れず、悪用には日光三猿の如く見ず聞かず言わず、制度の強制ともいえる論調で推奨つづけるのが 『性善説全うする』弁護士組織で、今の 『職務上請求制度』 であり 『弁護士会照会制度』 である。

 

 

 

弁護士性善説を全うするが、日々弁護士による依頼人の金銭使い込みまで多発する現状である。そして同業者の弁護士職務の多発する被害にようやく 『見舞金』 など一案が持ち上がっただけで、 『弁護士の人数増やすからだ』 『俺の金(納めた会費)使うな』 を唱えるのが弁護士でもある。

 

片方の思惑で実現する制度

当然、明確に争いが提起され、裁判所が介入したなら、開示は当然である。裁判所では公正に尽くす前提で、双方、争いを明確に主張できる。俗に言う 『裁判を受ける権利』 である。

 

その双方同等の立場で第三者たる裁判所の判断により情報開示を指揮されれば、如何様にも対象官庁・企業も迅速に開示、回答すべきであろう。

 

この『職務上請求』『弁護士会照会』制度において、重篤な問題は 『片方の意見』 で行為がなせること ではなかろうか。

 

『職責の性善説』以外保証も担保も無い、悪用も簡単になせる制度でもある。

 

『片方の意見』 で遂行できる制度には、仮差押制度もある。

 

これは裁判所の判断で成され、担保金を納める。それでも多々問題がある仕組みである。

 

弁護士職責は 『懲戒』 に付されると戒告でも 『痛恨』 である旨述べる方が大勢居る。

 

しかし、仮差押制度でさえ 事実が違った場合でも 『担保金程度の金額』 で信頼失墜を代償とするのが司法でもある。

 

社員抱える企業が失う信頼には 百万円程度 で被害を度量するが、弁護士自らの職責信頼失墜には大きな被害が未来永劫訪れるように見せる。不可思議な業界 弁護士 である。

 

 悪用できる制度と示せば『悪用すれば懲戒など厳しい処分が待っている』 と表向き主張する方もいるであろう。しかし、『如何様な懲戒』 で 『厳しい』 のであろうか?綱紀委員会や懲戒委員会で時間も数年と有し、出ても 『退会・除名』 など無い。

 

しかもその 『懲戒情報』 すら、我々の 『検索センター』 以外に容易に確認する仕組みは無く、弁護士組織では、検索する機能 すら構築しようとしない。

 

悪用の懸念

 

『職務上請求』は特に、片方の意見で進められる。

 

つまりは悪用も可能である制度で、欠点が存分にある。

 

 
弁護士は依頼者のために職務を遂行する。

 

取得された情報が悪用されても未来に発する結果責任を弁護士は当然課せられない。

 

いや、責任が発生することは無いからこそ 『不知』だの『知らなかった』『知る由もない』『神のみぞ知る真実は求められていない』 詭弁並べれば、逃避いや回避できる。

 

そもそも、同業の非違行為を追及する弁護士は、皆無に等しいのが現状でもある。

 

弁護士に『自由と独立』は既に死語、 『仲間と商売』 が実情なのであろう。

 

 

 

『職務上請求』制度、斜視に鑑みれば裁判せずとも 『弁護士を利用』 し個人情報が得られる 『商い』に利用されかねない制度でもある。

 

そして当然ながら弁護士は『職務遂行』として金銭を得る。これも商売である。

 

つまり、Win Win の関係を築けると謳えるほど弁護士に都合のよい商品、いや制度といったところであろうか。

 

 

 

『情報』 は一度得ると、容易く消せるものでは無く、自然劣化も無い、ソフトウェアである。

 

この情報の行方、利用の行方、そして、その端緒を発した責任の行方は如何様に・・

 

つづく

 

(七人の記者)