着手金受け取りながら依頼人に不適切な対応 経過報告、法的助言怠る 弁護士(奈良)に2度目の懲戒処分
着手金を受け取りながら依頼人への適切な説明を怠ったなどとして、奈良弁護士会は14日、同会に所属する辻内誠人(まさと)弁護士(46)を戒告の懲戒処分にしたと発表した。処分は6日付。
弁護士会によると、辻内弁護士は平成25年2月頃、遺産分割事件に関する手続き代理の依頼を受け、着手金20万円を受け取った。だが、依頼人への経過報告や審判後の不服申し立て方法についての説明、法的助言などを怠り、委任契約書も作成していなかった。
辻内弁護士は3月にも、依頼を放置したなどとして戒告の懲戒処分を受けている。同会の緒方賢史会長は「誠に遺憾であり、弁護士職務基本規定と弁護士倫理の順守を一層徹底したい」とコメントした。
引用サンケイ
弁護士自治を考える会
1年に2回懲戒処分を受ける弁護士は珍しくはありませんが、2回目でも戒告ということです。別々に分ければ戒告になるという考え方もあります。同日に2回処分を受けた弁護士もいますが「戒告」が2つでした。
前回の懲戒処分は2017年3月です。
懲戒処分の要旨
懲 戒 処 分 の 公 告
奈良弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
1 懲戒を受けた弁護士
氏 名 辻内誠人
登録番号 33807
事務所 奈良市橿原市久米町
橿原法律事務所
2 処分の内容 戒 告
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は2011年7月10日頃にAから依頼を受けてAが被害を受けた暴行傷害に関する損害賠償請求事件を受任したが委任契約書を作成しなかった。
被懲戒者は2012年11月29日、相手方代理人弁護士Bから上記事件についてAが主張する暴行態様を否定する回答が届いていたにもかかわらず、弁護士Bと特段の交渉を行わずAとも十分な協議をせず、また2014年10月頃、Aから上記事件の損害賠償請求権の消滅時効期間が経過する前に訴えの提起をするよう求められ、訴えを提起することを約束したにもかかわららず、Aの症状固定日である2012年4月13日3年以上が経過した2015年11月30日まで訴えを提起しなかった。
(2)被懲戒者は2013年6月頃、CからCの母親に関する成年後見申立事件を受任したが委任契約書を作成しなかった。被懲戒者は上記事件についてCと協議をせず、申し立てをしないでいる理由も説明しないまま、漫然と事件処理を放置した。
(3)被懲戒者は2013年6月頃、Cから離婚事件を受任したが、委任契約書を作成しなかった。被懲戒者はCとの間において離婚調停の申立てをすることを約束したにもかかわらず、Cと協議をせず、申し立てをしないでいる理由も説明しないまま、漫然と事件処理を放置した。
(4)被懲戒者の上記行為はいずれも弁護士職務基本規程第30条、第35条及び第36条に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士として品位を失うべき非行に該当する。 4 処分の効力を生じた年月日 2017年3月24日
2017年7月1日 日本弁護士連合会
前回の処分の時にも書きましたが、奈良だけは「戒告処分」でも実名報道です。他の弁護士会は戒告では会見も開かず、問い合わせにも弁護士の実名報道はありません。