弁護士の懲戒処分を公開しています。
全国から弁護士の非行行為、懲戒について、いろいろお問合せが増えています。
今回当会に弁護士会の苦情があったある方、
東京弁護士会のベテラン弁護士に相続事件を委任しました。委任といっても、経営する会社の顧問弁護士でした。会社と個人とは依頼内容が違いますが、このベテラン弁護士、委任契約書も締結せず、報酬も決めず、説明せず、巨額な着手金と報酬を要求してきた。これに対し委任者は顧問弁護士でありながら、いくらなんでも高過ぎると顧問弁護士を解任し懲戒請求を東京弁護士会に申し立てた。
綱紀委員会の審査はおおよそ6月程度で終えるようにということになっていますが、実際はかなり時間がかかります。懲戒の審査開始から6月を超えた場合は日弁連に相当期間異議を申し立てることができます。日弁連は速やかに綱紀の議決をするようにと所属弁護士会に通知をします。
東弁綱紀 3年放置 5回目の相当期間異議を受ける
懲戒請求日 平成27年3月17日
調査開始 平成27年3月23日
1回目 異議(相当期間) 平成28年4月4日
2回目 異議(相当期間) 平成28年8月28日
3回目 異議(相当期間) 平成29年3月8日
4回目 異議(相当期間) 平成29年12月4日
5回目 異議(相当期間) 平成30年3月8日
懲戒請求者が東京弁護士会に何度も電話をすると、毎回「今、やってます!」というラーメン屋の出前みたいな返事しか返ってきません。
なぜ、東京弁護士会綱紀委員会はここまで意図的に議決を遅らせているのでしょうか?
① 議決すると処分しなくてはならない。こんなアクドイ事をやるのか東弁はと、社会に対する信頼が更に無くなる。
② 対象弁護士と綱紀委員との力関係で議決できない。
③ 対象弁護士が高齢で死ぬまでまっている。
(対象弁護士が死亡の場合は審査終了)
④ 対象弁護士が有名な裁判、話題の裁判を受けている。
(たぶんこれはない)
⑤ 懲戒請求者が対象弁護士に損害賠償を求めてくるような感じがあり時効 まで出さない。
⑥ 所属弁護士会や日弁連の現役の役員か役員になりたがっている。
⑦ 対象弁護士が国から表彰や勲章を欲しがっている。
そんなところだと思います。
それでは、懲戒請求から綱紀委員会の議決までどのくらいかかるでしょうか
日弁連の「弁護士白書」によると、
2016年 懲戒請求から綱紀の議決まで
6か月以内 1533件 割合 51,2%
1年以内 831件 割合 27,7%
2年以内 498件 割合 16,6%
3年以内 91件 割合 3,0%
3年超 42件 割合 1,4%
合計2995件 100 %
懲戒申立から1年以内で綱紀委員会は判断をしたのは約80%
2年でほぼ、議決されたことになります。
残念ですが、5回目の異議を出された方は割合1,4%の中に入ってしまいました。
なお2016年に処分された件数は114件です。
2995件懲戒が出て114件(実際は前年出されたものも多くあります)
毎年、懲戒申立て総数の3%前後しか処分はありません。
綱紀委員会で「懲戒相当」という議決が出ても次に懲戒委員会に審議が付されます。やはり懲戒委員会でもかなりの期間を要します。
【日弁連 弁護士白書「2017」より】