201876日オウム事件の松本死刑囚らに死刑が執行されました。

松本死刑囚の2人の弁護人には懲戒処分があります。

松井武弁護士(二弁)は当初業務停止1月でしたが、日弁連で戒告に変更されています。松下明夫弁護士【主任】(仙台)は戒告でした。

処分の理由は「控訴趣意書」を提出しなかったという処分理由です。
懲戒請求者は東京高裁
弁護人が採る最善の弁護方法とは、処分覚悟で採った方法は最善だったのか? 


 
懲戒処分の公告 (当初の処分)
第二東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下の通り通知を受けたので懲戒処分の公告及び公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する
                 記
1 懲戒を受けた弁護士
氏名 松 井 武 登録番号 23111第二東京弁護士会
事務所 東京都港区赤坂2
港合同法律事務所
2 懲戒の種別  業務停止1月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は他の弁護士と共同で殺人等被告事件につき第1審で死刑判決を受けた被告人の控訴審における私選弁護人となった。高等裁判所は上記被告事件の控訴趣意書の提出期限を2005年8月31日と指定したが被懲戒者らは上記期限までに控訴趣意書を提出せずその後も高等裁判所から何度か書面や電話で控訴趣意書を提出するよう強く求められたがこれに応じなかった。そのため高等裁判所は2006年3月27日控訴棄却の決定をし、その後被告人に対する第1審の死刑判決が確定した。被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める品位を失うべき非行に該当する
4 処分の効力の生じた日2009年7月30日
2010年1月1日  日本弁護士連合会
 

懲戒処分の公告
 懲戒を受けた弁護士
氏名 松 下 明 夫 登録番号 22933 仙台弁護士会所属
仙台市青葉区一番町2
仙台第一法律事務所   懲戒の種別  戒告
処分の理由の要旨
被懲戒者は地方裁判所で死刑判決を受けた被告人Aの控訴審の弁護人で
あったが控訴趣意書提出期限である2005831日を遵守する事なく期限までに控訴趣意書を提出することを怠り、控訴棄却という重大な結果を生じさせAにつき1審の死刑判決が確定した。
被懲戒者の上記行為は弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての
品位を失うべき非行に該当する。
処分の効力の生じた日  2008924
200911日 日本弁護士連合会
 
       
 採 決 の 公 告(処分変更)
第二東京弁護士会2009730日に告知した同会所属弁護士松井武会員
に(登録番号23111)対する懲戒処分(業務停止1)について同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり本会は201039日弁護士法第59条の規定により懲戒委員会の議決に基づいて以下の通り採決したので懲戒処分の公告及び公表の規定に関する規定第3条第3号の規定により公告する
            記
1 採決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止1月)を変更する
(2)審査請求人を戒告する。
2 採決の理由の要旨

(1)審査請求人はAとともに、被告人Bに係る殺人等被告事件控訴審の私選弁護人であった(主任弁護人はA)が控訴趣意書を提出期限までに提出しなかったため控訴棄却がなされ結果として控訴審における被告人の実質審理を受ける機会を失わせ被告人に係る第1審の死刑判決が確定することとなったから原弁護士会は審査請求人を業務停止1月の処分にした(2)審査請求人及びA(2名を合わせて「審査請求人ら」という)被告人の  利益を最大限に図るためにあえて控訴趣意書の不提出を選択したもの  であり単に控訴期限を失念した場合と同列に扱えず弁護活動の適否の問題とはなっても品位の問題とはなり得ないと主張する。しかし審査請求人らの上記選択は被告人の利益を図る目的のためといえ控訴趣意書の差出期間を長期にわたって徒過したと判断せざるを得ず、その結果死刑という重大な判決を確定させてしまい、被告人の控訴審における裁判を受ける権利を失わさせたものと評価せざるを得ないまた弁護士職務基本規定第46条には弁護士が「最善の弁護活動に努める」旨が規定されているところ「最善の」弁護活動とは「主観的に最善」と判断するもではなく、他の弁護士からみても「客観的に最善」と認められるものと解され、本件の控訴趣意書不提出が死刑判決確定という重大な結果を招いたことから判断すると「主観的最善」に著しく偏したものと言わざるを得ない、(3) もっとも審査請求人らの弁護活動を全体に見ると刑事弁護人として主観的には「真摯な活動」をしていたものであることは理解できるからその点を斟酌することができる(4)主任弁護士はAとなっているが、本件刑事弁護人としての役割、仕事の分担及び活動について審査請求人とAとの間に軽重の差はないことが認定でき上記(2)及び(3)を踏まえ審査請求人に対する懲戒処分としてはAと同じく戒告とする

3 採決が効力を生じた年月日  2010317
  201051日  日本弁護士連合会