弁護士自治を考える会

2019年10月 今月の弁護士業界

早いもので10月も終わり、残すところ2か月となりました。懲戒処分件数,9月は2件しかありませんでしたが10月は10件とペースが上がり今年度通算82件になりました。
あと2か月で18件処分を出していただければ久々の処分数100件の達成となります。
(なお日弁連の公表する2019年の処分件数は処分の効力が生じた日が2019年1月1日以降となりますので日弁連の計算では現在70件目となります。)

10月の話題 2つ
①在日コリアン弁護士の勝訴確定=ネット呼応、大量の懲戒請求-最高裁

10/30(水) 17:52配信産経新聞
「懲戒請求は差別」確定 在日コリアン弁護士勝訴 最高裁
最高裁判所=東京都千代田区(伴龍二撮影)
 在日コリアンの金竜介弁護士(東京弁護士会)が、理由のない懲戒請求を申し立てられたとして東京都の男性に55万円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(林景一裁判長)は、双方の上告を退ける決定をした。男性の行為を「差別」と認定する一方、33万円の支払いを命じた1審東京地裁判決を変更し、賠償額を11万円に減額した東京高裁判決が確定した。29日付。5裁判官全員一致の結論。

懲戒請求の内容が差別と認定されて11万円の賠償が認められた裁判でした。

弁護士への懲戒請求で処分可能なものは以下の内容です。

(1)弁護士の業務についての処分された主な内容
① 事件に着手しない
② 委任契約書を作成しない。報酬や事件の処理に関する説明がない。
③ 報酬が高すぎる
④ 和解金を払わない。預り金を着服
⑤ 相手、相手方弁護士、依頼者、裁判官に暴言、誹謗中傷をする。
⑥ 解任されたのに着手金や資料を返還しない
⑦ 相手方と繋がっていた。自分が依頼したのに逆に相手側代理人になり訴えてきた。
⑧ 依頼者の秘密を漏えいした。
⑨ 自力救済を行った。行わせた。
⑩ 非弁提携
⑪ 弁護士会・日弁連会費滞納
⑫ 法律を知らない。
⑬ 接見回数をごまかす。接見にいく交通費をごまかす。
⑭ 業務停止中の弁護士業務 

⑮ 広告規定違反

(2)弁護士業務以外の処分された主な内容
① 脱税
③ 痴漢・盗撮・児童買春、レイプ
④ 市民への暴行、器物損壊、
⑤ 飲酒交通事故、飲酒検問で検挙、ひき逃げ
⑥ 妻がいながら依頼人に結婚をほのめかして愛人した。

以上です。以上の内容であれば処分が下されます。

 

② 性被害を告発した伊藤詩織さん訴え 「刑法や教育、まだ変えるべき所はある」

10/28(月) 西日本新聞
性暴力について語るジャーナリストの伊藤詩織さん
 女性を性暴力被害から守るため、今春施行された県性暴力根絶条例を知ってもらうイベントが27日、福岡市南区の福岡市男女共同参画推進センター・アミカスであった。性被害を実名で告発したフリージャーリスト伊藤詩織さんが登壇し、「性暴力に対する社会の見方は変わってきたが、(密室内での合意など)刑法や教育などまだ変えるべき所はある」と訴えた。

 イベントは市民団体「地域で男女共同参画を!拡げようネットワーク」実行委員会の主催。約300人が参加した。会場では、伊藤さんの告発を題材にした英国BBCの性犯罪ドキュメンタリーを観賞した後、伊藤さんと、同条例制定に関わった県議の堤かなめさんが対談した。

 伊藤さんは、元テレビ局記者の男性に損害賠償を求めた訴訟を巡って、男性側の代理人弁護士から「虚偽・虚構」と侮辱を受けたことを紹介。その中で「弁護士の懲戒に動いた人がいた。動いてくれたことがうれしかった」と話した。性暴力やセクハラを告発する世界的な運動「#MeToo」が広まっており、「社会の景色は変わった。プレッシャーはあるが、行動できる人が増えた」と今後に期待を込めた。西日本新聞社

懲戒請求者の方に伊藤詩織さんが『懲戒に動いた人がいてうれしかった』と仰ってますとお伝えしておきました。懲戒請求者の方は『彼女のために懲戒を出したわけではありません、彼女の支援者の中には弁護士もおられるのに、本来はそちらの弁護士が懲戒を申立てたらと思いますが一般人からの懲戒請求の方が良かったのかもしれません。』とのこと処分が決まるのはこれからです。

10月に官報に公告として掲載された懲戒処分 通算73件目から82件目まで

73 10月4日  高島章  22968  新潟   業務停止3月  9月17日
74 10月10日 武藤治樹 37497  福岡   業務停止1月 9月25日
75 10月11日 小川正和 25456  第一東京  戒告    9月27日
76 10月16日 亀岡尚則 46169  大阪    戒告    9月30日
77 10月16日 湯浅勝喜 41932  神奈川   戒告    9月25日 
78 10月17日 内山裕史 31881  第二東京  戒告    9月26日
79 10月21日 松野真  36893  大阪    退会命令  10月1日
80 10月23日 安富真人 28320  神奈川   戒告    10月2日 
81 10月28日 中谷誼  30226  埼玉    戒告    10月9日
82 10月29日 反田一冨 19492  山梨    戒告     8月2日

2019年 懲戒種別 10月31日
戒告     51
業務停止   26
退会命令   5 (神奈川2)(福岡)(茨城)(大阪)

2019年 弁護士会別処分者
東京     13    戒告7 業務停止6
大阪     12    戒告8 業務停止3 退会命令1
第二東京   9     業務停止3  戒告6
第一東京   7     業務停止5 戒告2
福岡     5     業務停止3 戒告1  退会命令1
埼玉     5     業務停止2 戒告3
神奈川    4     退会命令2 戒告2
京都     4     戒告3  業務停止1
茨城     3     戒告2   退会命令1
愛知     3     戒告3
福島     2     戒告2
熊本     2     戒告1業務停止1 
静岡     2     戒告2
山梨     2     戒告2
金沢     1     業務停止1
島根     1     戒告1
三重     1     戒告 
長野     1     戒告
千葉     1     戒告
仙台     1     戒告
群馬     1     戒告
新潟     1     業務停止

2019年 登録番号別処分者
10000 以下     3
10000~20000    15
20000~30000    29
30000~40000    13
40000~50000    9
50000~55000    3
55000~

10月の弁護士に関する報道・当会記事

①札弁主催のフォーラムに係争中のパネラーがいるから『大丈夫か』と電話をし自分のブログに当時者の主張を投稿し「懲戒相当」となり自分は大丈夫でなかった?愛知の弁護士 
当会10月27日

 

②ブログで訴訟相手の女性屈辱・弁護士に「懲戒審査相当」弁護士「正当防衛」と反論・愛知県弁護士会  産経10月24日

③非弁活動させた古川信博弁護士に有罪判決。大阪地裁 
2019年10月19日

④遺産4千万円を口座で保管せず、黒川勉弁護士(大阪)業務停止3月懲戒処分・大阪弁護士会 
2019年10月17日

 

日弁連広報誌「自由と正義」10月号

弁護士氏名   所 属  登録番号  処 分      処分日

 野村義造  第一東京 15405  業務停止3月   5月20日
非弁提携
② 吉原紀子  東京   39378   業務停止3月  5月23日
高額な顧問料受領
③ 山下 陽  千葉   32047   戒告     5月29日
医療過誤事件の怠慢な事件処理
④ 松村直哉  大阪  28624    戒告      6月3日
自己破産事件の放置、預り金の返還が遅い
⑤ 西村秀樹  大阪   業務停止3月       6月5日
債務整理事件の放置、報告せず、弁護士費用清算せず
⑥ 真尾亮   福岡   18136  退会命令    6月5日
預り金返還せず、非弁提携
⑦ 高城昌宏  茨城   35018   戒告    6月9日
事件放置
⑧ 野武興一   茨城    17776   退会命令   6月18日
事件放置、預り金流用
⑨ 後藤貞和   仙台   50760    戒告    6月19日
法テラス案件の事件放置

裁決の公告(処分取消)
井筒壱 大阪 2018年10月2日 戒告処分⇒処分取消  8月26日