「新手のヤミ金」給与ファクタリングで集団提訴 大阪簡裁、全国2例目

6/3(水) 18:24配信

将来受け取る給与を債権として買い取り現金を融通する代わりに、高額の手数料を要求する「給与ファクタリング」は違法な貸し付けで契約も無効だとして、利用者8人が3日、ファクタリング業者「ZERUTA」(東京)など7社に計約690万円の返還や支払いを求める訴訟を大阪簡裁などに起こした。  集団提訴は全国2例目。新型コロナウイルスの影響による困窮で返済に行き詰まり、支援団体に相談を寄せる人が増えている。弁護団は給与ファクタリングを「新手のヤミ金」と指摘している。  訴状などによると、原告はいずれも大阪府に住む20~50代の男性8人。業者は将来受け取る給料の一部を債権として買い取り、高額な手数料を差し引いて現金を融通。実質年利が数百%に及ぶケースもあり、出資法違反などにもあたると訴えている。業者はホームページで「ブラック(リスト)の方でもOK」「給料の前借り感覚」などと呼びかけ、顧客を募っていた。  ファクタリングは従来、中小事業者間で行われてきた債権譲渡による資金調達法。この手法を個人向けに転用したのが給与ファクタリングで、業者側は「給与債権の売買は貸し付けではなく、貸金業法や出資法の適用を受けない」などと主張しているが、金融庁は「貸金業に該当する」との見解を示し、注意を促している。

 ■「このままだと破綻」…被害者語る泥沼の恐怖  利息ではなく「手数料」、借金ではなく「ファクタリング」-。業者側は言葉を巧みに変え、手続きがネットやSNSだけで済む気軽さをアピールして、生活困窮者に近づいた。「給料日なのにお金がほとんどない。このままだと破綻する」。原告の40代男性が3日の記者会見で語ったのは、泥沼化する給与ファクタリングの怖さだった。  建設業界で働く男性は昨年から当面の生活費などのため、給与ファクタリングを数社利用。給与を債権に1社あたり2万8千~5万6千円を受け取り、給料日に1~2万円の手数料を上乗せして返すことを繰り返した。「手数料が高い」との認識はあったが、任意整理の経験があり、正規業者からの資金の借り入れは困難だったという。  新型コロナウイルスの影響で今年1月ごろから仕事が減り、「一気に返済が苦しくなった」(男性)。滞れば勤務先に業者から連絡がいくかもしれない。そんな不安から債務者支援団体「大阪いちょうの会」(大阪市)に助けを求めた。  同会ヤミ金対策委員長の前田勝範司法書士は、給与ファクタリングについて「通常のヤミ金を超える年利数百%以上の暴利。安易に手を出すと、返済のために何社からも借りるはめになる」と危険性を指摘する。  集団提訴や金融庁の注意喚起などもあり、給与ファクタリングから撤退する業者も増えているとみられる。だが前田氏は「これは犯罪というはっきりとした司法判断を得て、警鐘を鳴らしていきたい」と話した。

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/2020/200522.html

  

偽装ファクタリング業者に対する適切な規制を求める意見書  東京弁護士会

 

このところ、ファクタリングと称して、貸金業の登録を受けずに、業として高額な手数料(債権額と買取金額の差)を徴収して売掛債権等の債権を買い取るという形式で資金融通サービスをしているものの、実質的には高金利で金銭を貸し付けているとみるべき事例が増えています。
ファクタリング契約ないし債権譲渡契約において、譲受人に償還請求権や買戻請求権が付いている場合、債務者(売掛先等)への通知や債務者の承諾の必要がない場合や、譲渡人が譲受人から債権を回収する業務の委託を受け譲受人に支払う仕組みとなっている場合など、いま問題となっているファクタリング取引の多くは貸金業法および出資法の適用上、「金銭の貸付け」と解すべきであり、これらの取引を業として行うことは貸金業法違反(無登録営業)および出資法違反(高金利)に該当すると考えられるものです。
そこで、当会では、2020年5月11日開催の常議員会の審議を経て「偽装ファクタリング業者に対する適切な規制を求める意見書」をとりまとめ、東京地方検察庁検事正、警視総監、警察庁長官、金融庁長官、内閣府特命担当大臣(金融担当)、法務大臣、衆議院議長、参議院議長、国民生活センター理事長、東京都知事に対し、標記の意見書を提出しました。

弁護士自治を考える会

東弁の意見書がブーメランのように東弁に返ってくる。

給与ファクタリング業者はいわゆるヤミ金です。新手の高利貸しです。

東京弁護士会及び日弁連は適切な規制を求める意見書を各行政機関に送りましたが、このファクタリング業者に暴利を得るシステムを構築し知恵を付けた弁護士がおります。現在、ファクタリング会社の顧問に収まっています。

しかも東京弁護士会の会員です。既に懲戒請求が何件か出ております。

東京弁護士会は各行政機関に意見書を出す前に、東弁の会員に対し新手のヤミ金に力を貸すなと注意をする方が先ではないでしょうか。

片方では、新手のヤミ金に手を課し、片方では違法だという、まさにマッチポンプ、どちらにしても儲かる

この先、恥をかくのは東弁、日弁連なのではないですか

いわゆる「給与ファクタリング」と称するヤミ金融の徹底的な取締りを求める会長声明         日本弁護士連合会 

近時、「給与ファクタリング」等と称して、業として、個人(労働者)が使用者に対して有する賃金債権を買い取った上で金銭を交付し、当該個人を通じて当該債権に係る資金の回収を行う者(以下「給与ファクタリング業者」という。)が急増している。新型コロナウイルス感染症の影響から生活が困窮し、給与ファクタリング業者に手を出してしまうケースが増加している。

給与ファクタリング業者は、自らの行っている業務は「債権の売買」であり、「金銭の貸付け」には当たらないから、貸金業法や出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下「出資法」という。)の適用を受けないなどと主張し、あたかも合法な資金融通サービスであるかのようにホームページ等で宣伝・広告をし、広く顧客を募っている。

しかしながら、労働者が使用者に対して有する賃金債権について、労働者が賃金の支払を受ける前にそれを他に譲渡した場合においても、その支払については労働基準法第24条第1項が適用され、使用者は直接労働者に対して賃金を支払わなければならない。そのため、「給与ファクタリング」と称するスキームにおいて、給与ファクタリング業者は、労働者に対してその支払を求めるほかない。そうであれば、当該スキームは、経済的に貸付けと同様の機能を有していると考えられ、貸金業法第2条第1項及び出資法第7条の「手形の割引、売渡担保その他これらに類する方法によってする金銭の交付又は授受」、すなわち「金銭の貸付け」に当たる。なお、貸金業の監督官庁である金融庁も、令和2年3月5日付けで公表した同庁監督局総務課金融会社室長名の「金融庁における一般的な法令解釈に係る書面照会手続(回答書)」において、同様の解釈としている。

したがって、給与ファクタリング業者が、貸金業の登録を受けずに、業として、「給与ファクタリング」と称する資金融通サービスを行うことは、貸金業法に違反する(同法第47条2号、第11条第1項)。また、給与ファクタリング業者が徴収する手数料は利息とみなされるから(出資法第5条の4第4項)、これを年利に換算した場合に年109.5パーセントを超えているときは、出資法に違反する(同法第5条第3項)。上記のいずれも刑事罰の対象となる行為である。

この点、給与ファクタリング業者の多くは、年利に換算すると数百パーセント以上にも相当するような高額な手数料(債権額と買取金額の差額)を徴収しているのであって、かかる業者は貸金業法及び出資法に違反する違法なヤミ金融業者と断ずるほかない。そこで、当連合会は、金融庁及び警察庁その他関係行政機関に対し、給与ファクタリング業者の取締りを徹底するよう求める。併せて、当連合会は、給与ファクタリング業者と称するヤミ金融の撲滅に向けて、相談体制を強化するなど、改めて努力する所存である。

 2020年(令和2年)5月22日

日本弁護士連合会   会長 荒   中