弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2021年5月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・東京弁護士会・市川達也弁護士の懲戒処分の要旨
処分理由・遺言執行事件・預り金の清算が遅かった
東弁会報『リブラ』2021年3月号の処分公表も併せてごらんください
東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。 記
1 処分を受けた弁護士氏名 市川達也
登録番号 26130
事務所 東京都中央区銀座1-13-1ヒューイック銀座一丁目ビル4階
市川法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止1月
3 処分の理由の要旨
被懲戒者は、2014年頃、Aから受任した遺言執行の代理業務に関し2017年中には遺産の換価を終えて相続人に配分できる状態にあったにもかかわらず、遺産の配分を行わないとして、2019年6月7日に所属弁護士会の市民窓口が苦情を受け付けたことを踏まえて所属弁護士会が同年7月に被懲戒者に対し預り金及び預金状況全般について照会を行い、回答を求め、また複数回督促をしたにもかかわらず、回答を行わず、調査に協力をしなかった。
被懲戒者の上記行為は所属弁護士会の預り金等の取扱いに関する会規第10条第1項等に違反し弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2021年1月17日 2021年5月1日 日本弁護士連合会
記
被懲戒者 市川達也(登録番号26130)
登録上の事務所 東京都中央区銀座1-13-1ヒューリック銀座一丁目ビル4階
市川法律事務所
懲戒の種類 業務停止1月
効力の生じた日 2021年1月17日
懲戒理由の要旨
被懲戒者は、2014年頃、遺言執行者代理人として受任した事件について2017年中には遺産の換価を終了したにもかかわらず、配分をおこなわないとして2019年6月7日、本会市民窓口に苦情の申立がなされたことを端緒に、同年7月10日本会から預り金等の取扱いに関する会規第9条に基づき、預り金及び預り預貯金の保管状況全般について照会を受け、回答を求められた。にもかかわらず期限までにこれを全く回答せず、本会の調査に協力をしない。
被懲戒者の行為は同会規第9条及び第10条第1項に違反し、弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
本件は本会からの照会及び調査を全面拒否した事案であり、被懲戒者の対応は制度の全面否定に等しく、虚偽の回答をした場合に比べても、調査の端緒すら得られないという点で、同じ程度に悪質である。また預り金の保管という弁護士の信用の根幹に関わる業務について2013年5月に新たに本会規が制定された趣旨を没却するもので、弁護士として特に遵守しなければならない重要な会規違反として、業務停止とすることもやむ得ないと判断する。
2021年1月20日 東京弁護士会会長 冨田 秀実