弁護士自治を考える会

弁護士の懲戒処分を公開しています。日弁連広報誌「自由と正義」2021年8月号に掲載された弁護士の懲戒処分の公告・新潟県弁護士会・髙島章弁護士の懲戒処分の要旨

処分理由・死亡した弁護士に対しSNSで誹謗中傷をした。

髙島章弁護士は現在8回の処分を受け処分回数現役第2位です。7回目の処分要旨です。8月号にはもう1件処分要旨(6回目)が公告として掲載されています。

この戒告処分は非常に珍しいもので年に1回あるかないかのものです。

今回の懲戒処分の流れは

① 懲戒請求・所属弁護士会綱紀委員会が審査

⇒棄却

② 日弁連綱紀委員会へ異議申立

⇒棄却 

③ 綱紀審査会に審査申立

⇒審査相当

④ 所属弁護士会懲戒委員会が審査

⇒ 処分 (戒告・業務停止・退会命令・除名処分の中から) 

この戒告処分は髙島弁護士が2021年2月18日に業務停止6月の処分を受けて3月31日は出されたもの、業務停止期間中に処分されました。2020年11月10日に綱紀審査会の審査相当が議決され2021年3月31日正月休みを含め、たった4カ月で審査終了し処分しました。一度棄却をしたものが、綱紀審査会から回ってきた。毎年年度末役員交代の時期には出しにくい処分がこそっと出てきます。

綱紀審査会の審査相当の要旨(対象弁護士の氏名はありません)

綱紀審査会の審査相当事案 日弁連広報誌「自由と正義」2021年3月号
審査相当事案について
(1)事案の概要
対象弁護士が、ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という。)に意見を投稿した申立外の故人である弁護士(以下「A弁護士」という、)に対しA弁護士に対する否定的表現を含む投稿(以下「本件投稿」という。)をしたことが弁護士としての品位を失うべき非行に当たるとされた事例。
本件投稿の表現内容が問題となり、原弁護士会綱紀委員会は原弁護士会懲戒委員会に審査を求めないことを相当とする旨判断し、当連合会綱紀委員会も結論においてこの判断を支持した。
(2) 綱紀審査会の議決の理由の要旨
① 事実
対象弁護士はSNSであるフェイスブックを利用しており、弁護士や市民運動関係者等の約1000名が対象弁護士の「友達」として登録されていた。対象弁護士はA弁護士の活動に対しフェイスブック上に書き込みをしたが、それが端緒となりA弁護士との間で激論となった、その後A弁護士は死亡し、対象弁護士はほどなくその事実を知り、SNSであるツイッターを通じて「好訴妄想の弁護士さんを知っている。Bに住んでいた人、死去されたらしい。」「好訴妄想(こうそもうそう)」英querulous delusion,独 Querulantenwahn)は妄想反応の一種で、独善的な価値判断により自己の権益が侵されたと確信し、あらゆる手段を駆使して一方的かつ執拗な自己主義を繰り返すものをいう」と投稿した。(本件投稿)
(3)判断
弁護士は弁護士としての職務の遂行に関し批判的な立場を含む様々な立場から論評されることを甘受すべき立場にあるから、弁護士が弁護士を批判する行為が直ちに品位を失うべき非行に当たるとはいえない。 
しかし、対象弁護士は本件投稿において「好訴妄想の弁護士さんを知っている」との表現に続けて「好訴妄想」の英語表記やドイツ語表記を併記し、その具体的病態を記載しており、これを閲覧した一般人に対し、「好訴妄想」があたかも国際的に認められた医学的疾病であるかのような印象を与え、よって、A弁護士が精神的疾患を抱えていたのではないかととの印象を与えるものである。
本件投稿の表現はA弁護士を不当に中傷するものであり、A弁護士の生前の職務の遂行に対する批判として行われたものであることを考慮しても、正当な論評の範囲を逸脱したものと言わざるを得ない。
死者の名誉であっても一定の範囲で保護されるべきであり少なくとも死者の名誉を不当に害する行為は弁護士としての品位を失うべき非行に当たり得る。
そして、対象弁護士のフェイスブックの本件投稿は弁護士職務基本規程第6条及び第70条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に当たる。 
(3) 綱紀審査会の議決の年月日 2020年11月10日
T弁護士(愛媛)は当初福島県弁護士会の法律事務所に勤務弁護士として登録しました。リベラルで有名なボス弁でしたが、しばらくして愛媛でご自身の法律事務所を開設しました。彼は先輩弁護士の方からみると素人くさい正義感、青臭い正義感ということでSNS上で論争を繰り返していました。彼は懲戒申立も多くしていました。子ども連れ去り、DV冤罪に関係した弁護士には相手が弁護士会長であろうと申立てをするという正義感の弁護士さんでした。高島先生と論争をしたのは、2015年頃宮崎県でマッサージ店の人間が客の女性に対しわいせつ行為を行ったという事件がありました。宮崎県弁護士会の弁護人が女性に被害届を取り下げろ、刑事裁判になれば店主が録画した動画が法廷で流される。それでも構わないのかという趣旨で被害女性に対し示談を強要したのではないかという報道がありました、多くの弁護士は弁護人として依頼人のためにした行為で問題は無い、しかしT弁護士は弁護人として脅迫的な示談は非行にあたるとSNSなどで意見を述べたことで多くの弁護士から批判を受けました。(宮崎県弁護士会は懲戒請求を棄却)高島先生とは処分要旨にあるようにかなり激論がありました

 

懲 戒 処 分 の 公 告  2021年8月号

新潟県弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。

                   記

1 処分を受けた弁護士氏名 髙島 章  登録番号 22968

事務所 新潟市西区寺尾台2-8-26 プルミエール寺尾台101

髙島章法律事務所 

2 懲戒の種別  戒告  

3 処分の理由の要旨

被懲戒者は、死亡したA弁護士について、2015年12月3日、ツイッター上に、「好訴妄想の弁護士さんを知っている。」、「好訴妄想(こうそもうそう、英: querulous delusion、独:Querulantenwahn)は、妄想反応の一種で、独善的な価値判断により自己の権益が侵されたと確信し、あらゆる手段を駆使して一方的かつ執拗な自己主張を繰り返すものをいう」と記載し、これを関覧した一般人に「好訴妄想」があたかも国際的に認められた医学的疾患であるかのような印象を与え、A弁護士が精神的疾患を抱えていたのではないかとの印象を与える投稿をし、もって、A弁護士を不当に中傷した。

被懲戒者の上記行為は、弁護士職務基本規程第70条に違反し、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4処分が効力を生じた日 2021年3月31日 2021年8月1日 日本弁護士連合会

弁護士同士が互いの主張をSNS上で述べ合うことについて非行であるとか問題があるとはいいません。一方的ではなく双方いろいろ言い合ったと思います。残念なのは死亡した相手にいうべきではない言葉を投稿したことです。

(弁護士に対する懲戒請求は対象弁護士が死亡した時は終了になりますが、懲戒請求者が死亡しても懲戒の審査は続きます。

T弁護士が生前に出した懲戒請求
懲 戒 処 分 の 公 告 2017年1月号

新潟県弁護士会がなした懲戒の処分について同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告公表に関する規定第3条第1号の規定により公告する

1 懲戒を受けた弁護士氏名  髙島 章  登録番号22968  事務所新潟県中央区東中通一番町  高島章法律事務所

2 処分の内容  戒 告

3 処分の理由の要旨

(1)被懲戒者は2015年3月31日、多数の者が閲覧することが可能なインターネット上のソーシャルネットワーキングサービスにおいて、懲戒請求者A弁護士に対し『お前は馬鹿だ』、『あなたが弁護士を辞めろ』、『あなたと顔を合わせた際、第一にやることはあなたを殴ることです』等の攻撃的かつ威圧的で懲戒請求者A弁護士を屈辱する書き込みをした。

(2)被懲戒者は、2015年4月13日、上記ソーシャルネットワーキングサービスにおいて、懲戒請求者A弁護士について懲戒事由があることを事実上法律上裏付ける相当な根拠について調査、検討をした形跡もないまま、懲戒請求者A弁護士に対する懲戒請求案として7項目にわたる非行事実の骨子を示した上、相当程度の業務停止処分を科するのが相当である旨の書き込みをした。

(3)被懲戒者の上記行為は弁護士職務基本規定第6条に、上記(2)の行為は同規定第70条及び第71条に違反し上記各行為はいずれも弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。

4 処分の効力を生じた年月日 2016年8月23日   2017年1月1日  日本弁護士連合会