いわゆるAV救済法がまもなく国会で可決されるようです。女性の被害を救済する団体の中でも被害救済になると新法に期待し歓迎をする方々と、AVが固定化されるということで反対する方もいて、弁護士の中でもこの法案について、さまざまな意見があるようです。
弁護士、女性人権活動家のTwitter
小倉秀夫弁護士(東弁)
・高いお金を支払います。削除もすぐにいたします、なんて契約を提示する合理的な理由がありません。
・いつでも取り消せる。削除を要求できるということになると、事業者は、高い対価を支払ってもそれが保護にされるリスクを負うので、裸体映像を用いて商品を作る際に高い対価を払わなくなります。結果として、女性が自分の裸体を高い金で換価する機会を奪うことになります。
神原元弁護士(神奈川)
・現在は高いお金をもらって削除を求めない」選択肢しかないのは女優の選択肢を男の都合で狭めているのですよ。
・女優の自己決定権を最大限保障する立場に立てば、いかなる事情があっても自己の裸体映像を削除する権利を与えるのが当たり前ですね。
・人間の尊厳は金で買えるとする小倉秀夫は人間のクズだが、小倉理論が堕落した日本の主流であることは否定しがたい。
ならばせめて女優は自己の尊厳をできるだけ「高く」売りつけるべきである。万一人間の尊厳に値段をつけるなら、高価なものであって間違いない
井戸まさえ 女性人権活動家
実際に契約解除を求めようと思った時にネックになるのは出演料の返還である。13条3項の条文で解除された場合でも制作にかかる費用等についての損害賠償は免責されているものの14条に解除の効果の項目で『当事者はその相手方を現状に復させる義務を負う』とあり・・・
被害の拡大を防ぐため、未成年者取消権を存続する法制度の実現を今通常国会中に責任を持って進めるよう支援団体が強く求めてきたのです。与野党はこの声にこたえ、18歳・19歳に限定せずすべての被害を救済するために、議員立法でAV被害防止救済法案をまとめたのが今回の法案です。法案は、年齢、性別を問わず被害が広がっていることに照らし、年齢・性別に関わらず、広く被害を救済する強力な制度を導入しました。
■ 被害の甚大性に配慮した画期的な規定を含む法案
● 基本的な原則
法案は、個人の尊厳に立脚し、「出演者に対して性行為を強制してはならない」(3条)ことを前提に、被害者の人権や尊厳を守るべく、AV出演とその映像拡散のプロセス全体で被害者を保護する仕組みを導入しています。
● 契約締結段階
事業者に詳細な説明義務・契約書交付義務を課し撮影は契約書・説明文書の提供から1か月経過後と定めています。これまでは台本が前日に渡される、誰とどんな性交をさせられるかわからないという状況だったのに、事前に説明し、承諾があって、さらに一か月後に引き返す時間を保障して、初めて撮影できることになったのです。
● 撮影段階
仮に、出演契約で合意した性行為でも当日嫌であれば、性行為を拒絶できるとし、安全と任意性を保障する措置を事業者に義務付けています。
● 販売・配信まで
これまでは業者がとにかく撮影に持ち込んでしまえば、あとは出演者がいくら求めても販売・配信を進めてしまうケースが圧倒的でした。
ところが法案では、まず、撮影終了後公表までは4か月を空け、その間に出演者に映像を確認する機会を与えることも義務付けました。
事業者が義務に反した場合、出演者は出演契約をキャンセルできます(無効主張、契約取消・解除)そして販売・配信までの間、無条件で、違約金も支払う義務を負わずに、契約を解除することができます。そうすれば、業者が販売・配信することは許されない、ということになります。被害の支援現場の実態に照らせば、非常に重要な変化です。
● 配信後
さらに重要なのは、出演者は、販売・配信前だけでなく、販売・配信後も1年間(施行後2年間は2年間)はいつでも無条件で何らの違約金も課されずに契約を解除できます。 契約がない場合や契約が無効な場合、または出演者が契約をキャンセルした(契約取消・解除)場合、事業者は原状回復義務を負い、出演者は販売・配信の差止め請求ができます。
● さらに重要な点
さらに法案には、拡散防止に関する規定、事業者に対する罰則規定も設けられています。これらは、悪質業者による法律の違反や潜脱による被害を防いで実効性を確保するとともに、被害者にデジタルタトウーを残さないために強力な規定と言えます。 これらの規定は画期的で、被害者の被害回復のための強力な法的手段を付与するものです。適切に実施されれば、これまで苦しんできたあまりに深刻なAV被害から多くの人を救うことができるでしょう。
■ 法案をめぐる懸念
法案をめぐっては、「契約による性交を合法化するのでは」との懸念が指摘されてきました。法案はこの懸念に配慮し、規制対象の定義を修正したほか(性行為を行う姿態→性行為に係る姿態と訂正など)、法律の解釈の基本原則を示す第3条で、民事上も刑事上も、違法な性行為を合法にするものではない趣旨を明確に規定しました。 市民団体からは、そもそも性交を伴うAVや暴力的で安全でないAVを禁止すべきとの声が上がり、私も被害者の方々に接した経験から強く賛成します。残念ながらこの部分の合意に至らず、今回の法案には盛り込まれなかったのですが、これらの課題は、2年以内と定められた見直しに向けて議論を重ね、より良い改正を進める必要があるでしょう。
与野党実務担当者の説明文書は重く受け止められるべきだと思います。
以上一部引用ヤフーニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/itokazuko/20220525-00297639
伊藤和子 弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長
1994年に弁護士登録。女性、子どもの権利、えん罪事件など、人権問題に関わって活動。米国留学後の2006年、国境を越えて世界の人権問題に取り組む日本発の国際人権NGO・ヒューマンライツ・ナウを立ち上げ、事務局長として国内外で現在進行形の人権侵害の解決を求めて活動中。同時に、弁護士として、女性をはじめ、権利の実現を求める市民の法的問題の解決のために日々活動している。ミモザの森法律事務所(東京)代表。
女優F(前回投稿 弁護士に駆け込んだ女優)の時も「チョイ役も含めて300本出て強要かぁ~… で、キミが今まで稼いだ約6,000万円以上のお金の話はどこ行った?(しかも事務所が所得税の源泉徴収は行っているものの自分では確定申告はやってなくて住民税だって払ってないよね?)」
「販売をとめてほしい」「配信しないで」といくら求めても、止まることはほとんどありません。
個人撮影(適正AV団体でない)の被害も深刻で、騙されてFc2などのサイトに上がってしまってなんともならないなどという悲痛な相談が増えていました。
AV出演強要や児童ポルノ撮影に関わった業者が、法令違反で摘発されたり、有罪判決を受けても、その後再び社名を変えるなどして事業を再開し、再び女性や少女を苦しめる事例を多く見てきた。また、AV強要被害の陰に顧問弁護士がいることも痛感してきた。一般人には難解すぎる圧倒的に被害者に不利な定型契約書を作成するなどして、実質的に女性たちが意に反してAVに出演せざるを得ない環境を法的側面から整備し、被害者の代理人として販売差し止めを求めても、契約書を盾に拒絶回答するのは顧問弁護士の役割だった。今回の事件は、有罪判決を受けた事業者の顧問であったことについて弁護士がどこまで責任を問われるのか注目すべき事案であるが、これを先例として、今後AV事業者の顧問弁護士となる者には、AV出演強要被害や児童ポルノ被害を助長する行為を漫然と放置せず、被害を防止するべく十分な配慮をすることが求められるだろう。
伊藤先生にたまにはいいこと仰る、
大手AV制作会社のMが分裂しRという会社を設立した、けっこう強引なやり方をしていると事情通さんから聞いた。TVやニュースのコメンテーターのあのY口弁護士が顧問とのこと、もちろんAV会社が違法にならないように弁護士として指導しているのだと言われるに決まってますが・・・