損害賠償請求事件・市会議員が弁護士(第二東京)を訴えた裁判の訴状

2022年10月27日東京地裁第1回(結審)

令和4年ワ20894号 民事7部 603号法廷 13時20分 第1回口頭弁論期日

判決言渡し日 2022年11月24日(木)13時10分

訴  状

東京地方裁判所 御中       令和4年8月16日

原告 個人  (館山市市会議員)

原告代理人  弁護士 杉山程彦   

〒238-0007 神奈川県横須賀市若松町3-4 山田ビル プレミア法律事務所  

被 告

●●弁護士 (第二東京弁護士会)

損害賠償請求事件

訴訟物の価格 金330万円

貼用印紙額  金2万2000円

           請求の趣旨

第1 被告は原告に金330万円及びこれに対する令和4年8月4日より支払い済みまで年3分の割合による金員を支払え。

第2 訴訟費用は被告の負担とする。

との判決及び仮執行宣言を求める。

           請求の理由

第1 原告は館山市市議会議員である。

被告は弁護士である。

第2 原告は,SNSサイトTwitterに2022年8月3日午後3時40分に   

別居親は何でも反対するから、共同親権はできない論の間違い】 別居親がしたいのは子どもとの生活。ぶっちゃけ、それ以外はどーでもいい。メンドクサイことは任せる。やなら、こっちがやる。 お任せでいいが、そちらに独裁親権を持たせると前のように親子断絶しそうだから「念のため親権」ね 

との投稿をした(甲1)。

これに対し,弁護士を自称するアカウント名小魚さかなこが,同日午後9時30分に上記原告投稿を引用した上,

「ぽいすぎんか」

と投稿した(甲2)。

この「小魚さかなこ」のツイートに続け,被告は同日午後9時33分に つまりこの人は、

「育児は丸投げするけど良いとこ取りをさせろ」 「逆らったときのために拒否権をよこせ」と言ってるわけですね

と投稿した(甲3)。

 さらに,「小魚さかなこ」は同日午後9時35分に 

そうとしか読めないです。

と投稿した(甲4)。

被告はこれに続き,同日午後9時37分に 

こんな自己中心的なことを大々的に自白する意味が分からないですね。それが恥ずかしいことという自覚がないのでしょう

 と投稿した(甲5)。

  さらに,同日午後9時41分に小魚さかなこは    

その自覚のなさがDV事件を思い起こさせます。

  とツイートした(甲6)。

第3 以上のツイートに続いて,被告は,同日午後9時41分に  

DV夫ってこんな奴ばっかりですからね

  との投稿をした(甲7)。

第4 つまり,被告は,原告のことをDV夫と断定したのである。DVとはすなわちドメスティックバイオレンスであり,「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」のことである。

ことにそこに「夫」が着いた場合,一般的に肉体的に不利な女性である配偶者に暴力を振るう夫という意味にあり,社会的に不名誉であることは著しいものである。ことに,原告は市議会議員であり,市民の信用が日常の政治活動や選挙時の信用の基盤である。 そのような立場にある原告にとって,DV夫と評されることは信用低下もはなはだしい。また,被告は弁護士なので,他の者が同様のツイートをした場合と比して,専門家である以上その投稿内容は信用されるので,原告の受ける害は通常人行った場合よりも害悪は大きい。

第5 念のため,被告の上記投稿に違法性阻却事由があるか検討する。

   根拠も具体的な中身もなく,原告のことをDV夫と誹謗する行為は公益性も公共の利害もない。

   そして,原告は暴力をふるったことはない。のみならず,原告は独身なので,そもそも配偶者に暴力を振るうことは不可能である(甲8)。

   ゆえに,違法性が阻却されることはありえない。

第6 また,仮に名誉毀損に当たらない場合でも少なくとも侮辱には該当する。

第7 その後の投稿では,「田貫の六畳敷き」となのる人物が,同日午後10時17分に

まぁ彼はバツ無しシングルオーバーフィフティですけどね

(甲9)。と,「ガテン 地道にマスクと手洗いしようぜ」と名乗る人物が,同月4日午前4時に

「だからシングルなんでしょ」

(甲10)

被告の投稿に誘発され侮辱行為している。

これは損害の拡大と評価できる。なお,これらの投稿からして,DV「夫」とは誤解されていないとの指摘が考えられるも,被告の投稿のみで,原告がDV夫と誤解される危険はある。

また,夫でなくても,原告はDVをする男性であると評価されることは間違いなく,原告の信用低下は甚だしいものがある。

ゆえに,被告の行為は不法行為に該当する。 

第8 上述したように,原告は市議会議員であり,被告は弁護士である。

一般人同士の行為と比して,その損害は大きい。

原告の受けた損害は少なく見積もって,金300万円である。

また,原告は訴訟を提起するにあたり,弁護士への委任が不可欠であったから,弁護士費用も相当因果関係の範囲内で損害に当たる。

その金額は少なく見積もって金30万円である。

第9 よって,被告は不法行為による損害賠償請求権に基づき,金300万円及びこれに対する令和4年8月4日より,支払い済みまで年3分の割合による遅延損害金を支払えとの判決を求める。      

証拠方法

甲1 Twitter投稿

甲2 Twitter

甲3 Twitter投稿

甲4 Twitter投稿 

甲5 Twitter投稿

甲6 Twitter投稿 

甲7 Twitter投稿

甲8 戸籍謄本

甲9 Twitter投稿 

甲10 Twitter投稿 

添付書類

訴状副本    1通

証拠説明書   2通

甲1~9号証 各2通 

委任状     1通  

             以 上 

(注)文中『小魚さかなこ』は岡村晴美弁護士 登録番号34964 愛知県弁護士会 弁護士法人南部法律事務所平針事務所

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