妻が弁護士に法律相談に行った、なんと妻と弁護士が不貞,タワマンに同棲！弁護士の私生活の行為に所属弁護士会と日弁連に指導監督責任を問うた裁判『判決書』令和4年10月12日横浜地裁

 

《東京高裁判決書》弁護士と不貞行為をした妻に対し夫が損害賠償請求/弁護士は南青山のタワマン36階に住み真っ赤なポルシェのボス弁！

 

令和4年10月28日判決言渡 同日原本頜収　同日原本領収 裁判所書記官 

令和3年(D)第408号損害賠償等請求事件 口頭弁論の終結の日　令和4年10月12日 

判 　決 

原告　　　　夫 

被告　　　　東京都千代田区　　M栄一弁護士　2669×（第二東京弁護士会） M法律事務所代表

被告　　　　東京都千代田区　　M井章弁護士　3421×（第二東京弁護士会）M法律事務所勤務

被告　　　　㈱A銀行コンプライアンス統括部　K野　　二弁の弁護士当時に妻の代理人に就任

被告　　　　第二東京弁護士会　会長　菅沼友子

被告　　　　日本弁護士連合会会長　小林元治　

 主　文

1　原告の請求をいずれも棄却する。 

2 訴訟費用は原告の負担とする。 

事 　実 

第1 当事者の求めた裁判 

1 請求の趣旨 

(1)被告M栄一弁護士は原告に対し,250万円及びこれに対する平成30年9月26日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え

(2)被告松井章及び被告Kは,原告に対し, 連帯して40万円及びこれに対する平成30年10月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 

(3)被告らは, 原告に対し, 連帯して50万円及びこれに対する平成30年10月15日から支払済みまで年5分の割合による金員を支 

払え。 

(4)訴訟費用は被告らの負担とする。 

(5) 仮執行宣言 

2、請求の趣旨に対する答弁 

主文同旨 

第2 当事者の主張 

1  ̇請求原因 

(1)請求の趣旨1項について 

ア 原告は,平成16年5月26日にN（妻）と婚姻の届出をした。 

イ 被告M栄一弁護士は,平成30年8月頃以降,N（妻）と不貞行為に及び,同人と同棲するようになった。 

原告は,被告M栄一弁護士の不貞行為により精神的苦痛を被ったところ、その慰謝料は250万円を下回ることはない。 

よって,原告は,被告M栄一弁護士に対し, 民法709条に基づき, 250万円及びこれに対する不法行為の後である平成30年9月26日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 

(2)請求の趣旨 2項について 

ア 被告す井及び被告K野は,被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であるところ,原告のN（妻）が原告に対し平成30年10月15日付け訴状を提出して提起した離婚等請求訴訟において、同人の訴訟代理人として主張立証をする際, 以下のとおり原告について名誉毀損・侮辱的行為をした。 

①　原告は,他人を馬鹿にすることが多々ある。 

②　 原告は,勤労意欲が欠如している。 

③ 　原告は,耐え難い悪臭である。 そのため同じ部屋にいることも苦痛である。 原告は, 肉体労働でないにもかかわらず,使用済み　　の下着を洗面器に洗剤と共につけておくと水が茶色に変わるほどの物質が体内から放出され悪臭を放っている。 

④　原告は,暴力や暴言を正当化する。 

⑤　原告は,常習的に,合理的理由もなく,N（妻）及び子に対し怒鳴る, 殴るの暴力的対応をする人 

⑥　人間として悪質 

⑦　原告は,金に対する執着が強い。 

⑧ 人の話を聞かないため会話が成り立たない。 

⑨ ストーカー行為をしている。 

⑩ 原告は,中途半端な人間であり,子の手本としてふさわしくない。 大学受験ではH大学に失敗しM治大学しか進学できず,M乳業では昇進試験に落ち続け40歳であるにもかかわらず管理職にもなれず, 中小企業診断士の試験も通信教育に高額な費用を使ったにもかかわらず何回も落ちて断念し,中学・高校の野球部では補欠, マンションのサッカーチームでも補欠, ゴルフも高額な道具を使用してスクールに通ったにもかかわらず下手である。 

⑪ 裕福な人間がT島の駅から離れた小さな汚い住宅を買って住んでいるか。 あなたの実家はそういう家か。 

⑫ 40歳になってもM会社で管理職になれないあなたもクズなのか。 

⑬ 3年間勉強しても中小企業診断士になれないあなたはクズじゃないのか。 

⑭ 会社で出世できないということはあなたの能力の話であり, N（妻）とは関係がない 

イ 原告は,前記名誉毀損・侮辱的行為により精神的苦痛を被ったところ、その慰謝料は40万円を下回ることはない。 

ウ よって,原告は,被告M井章弁護士及び被告K（元弁護士）に対し,民法709条に基づき, 連帯して40万円及びこれに対する不法行為の日である平成30年10月15日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 

(3) 請求の趣旨3項について 

ア(ア)被告M栄一は, 被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であるところ,次の行為をして原告ら夫婦間の葛藤を高め,婚姻関係の破綻又は悪化を招いた。 

a (2)アの訴訟において,被告M井章及び被告Kと共に,原告のN（妻）の訴訟代理人として主張立証をする際, (2) アのとおり原告について名誉毀損・侮辱的行為をしたこと。 

b平成30年11月から平成31年1月にかけて,原告の妻N緒に原告勤務先の社会保険を不正使用させたこと。 

C 原告の妻Nに, S協同病院の奨学金252万円の債務を負わせた上で,債権者である同病院に対し, 連帯保証人である原告に支払を求めさせたこと。 

(イ)被告M井章及び被告Kは,被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であるところ, (2) アの訴訟において,原告の妻Nの訴訟代理人として主張立証をする際, (2) アのとおり原告について名誉毀損・侮辱的行為をすることによって、原告ら夫婦間の葛藤を高め、婚姻関係の破綻又は悪化を招いた。 

(ウ) 原告は,平成31年4月15日 令和3年5月30日及び同年8月2日,被告第二東京弁護士会に対し, 被告M栄一弁護士の原告の妻Nとの不貞関係等について相談をしたり,同被告の不法行為を止めるように指導監督を依頼したり,被告第二東京弁護士会には被告M栄一弁護士を指導監督する責任があると主張したりしたが,被告第二東京弁護士会は指導監督をしようとせず、その結果被告M栄一弁護士の不貞関係は解消されず, 原告の婚姻関係の破綻又は悪化を招いた。 

(エ)原告は,令和3年8月8日, 被告日本弁護士連合会に対し,被告第二東京弁護士会が指導監督を怠っていることを説明して被告M栄一弁護士に対する対応を求めたが拒まれ, その結果同被告の不貞関係は解消されず, 原告の婚姻関係の破綻又は悪化を招いた。 

原告は,被告らによって婚姻関係が破綻又は悪化し精神的苦痛を被ったところ,その慰謝料は50万円を下回ることはない。 

ウ よって, 原告は,被告らに対し,民法709条に基づき、連帯して50万円及びこれに対する不法行為の日である平成30年10月15日から支払済みまで同法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 

2 請求原因に対する被告M栄一弁護士の認否 

(1) ア 請求原因 (1) アは認める。 

イ 同イは否認する。 

被告南栄一が交際を始めたのは平成30年9月である。 

ウ　ウ否認ないし争う。 

原告は, 妻Nから, 同人と被告M栄一弁護士との不貞行為に係る慰謝料100万円等を含む401万5615円の弁済を受けた。

(2)ア請求原因 (3)ア(ア)のうち, 被告M栄一が被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であること,同被告が,被告M井章及び被告Kと共に,原告の妻Nが平成30年10月15日付け訴状を提出して提起した離婚等請求訴訟における同人の訴訟代理人であったことは認め, その余は否認する。 

イ 　同イは否認ないし争う。 

3 請求原因に対する被告M井章及び被告Kの認否 

(1)ア 請求原因 (2) アのうち,被告M井章及び被告Kが,被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であること, 被告M井章及び被告Kが,原告の妻Nが平成30年10月15日付け訴状を提出して提起した離婚等請求訴訟における同人の訴訟代理人であったことは認め, その余は否認する。 

イ 同イは否認ないし争う。 

(2)ア請求原因 (3) ア(イ)のうち,被告M章及び被告Kが,被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であること,被告M井章及び被告Kが,原告の妻Nが平成30年10月15日付け訴状を提出して提起した離婚等請求訴訟における同人の訴訟代理人であったことは認め,その余は否認する。 

イ 同イは否認ないし争う。 

請求原因に対する被告第二東京弁護士会の認否 

(1)請求原因 (3)ア(ア)のうち, 被告M栄一が被告第二東京弁護士会に所請求原因(3)ア(ア)のうち,被告M栄一が所属属する弁護士であることは認める。 

(2)請求原因(3) ア(ウ)のうち, 原告が,平成31年4月15日,令和3年5月30日及び同年8月2日,被告第二東京弁護士会に対し,被告M栄一の原告の妻Nとの不貞関係等について相談をしたり、 同被告の不法行為を止めるように指導監督を依頼したり,被告第二東京弁護士会には被告一を指導監督する責任があると主張したりしたこと,被告第二東京弁護士会が指導監督をしようとしなかったことは認め,その余は否認ないし争う。弁護士の個別具体的な活動に対する弁護士会の監督は懲戒手続によって図られるべきであるところ,原告は,被告M栄一の懲戒手続を申し立てていない。 

(3)請求原因同イは不知ないし争う。 

請求原因に対する被告日本弁護士連合会の認否 

(1)請求原因(3) ア(ア)のうち,被告M栄一が被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であることは認める。 

(2)請求原因(3)ア(エ)のうち,原告が,令和3年8月8日,被告日本弁護士連合会に対し, 被告第二東京弁護士会が指導監督を怠っていることを説明して被告南M栄一に対する対応を求めたが拒まれたことは認め,その余は否認ないし争う。 弁護士に品位を失うべき非行があった場合における弁護士に対する監督等は懲戒制度(懲戒手続)を行われるべきであり,被告日本弁護士連合会が原告に求められるまま懲戒手続によらずに被告M栄ーを監督等することはできない。 

(3)請求原因 (3) イは争う。 

抗弁(被告M栄一) 

原告の婚姻関係は、遅くとも平成30年8月には破綻していた。 

抗弁に対する認否 

否認する。 

理 由 

1 請求原因(1)について 

(1)請求原因(1) アの事実は,原告と被告M栄一との間で争いがない。 

(2)請求原因 (1) イ及び抗弁について判断する。 

ア 前示請求原因 (1) アの事実に証拠 (甲1, 2, 8ないし 10, 14, 22, 23,25, 26, 30, 4 1, 52, 54, 56, 57 6 3, 6  6572ないし74,80ないし114,乙 1,5, 乙1,5,17) 及び弁論の全趣旨を総合すると、次の事実が認められる。 

(ア)原告は, 昭和54年1月15日生まれの男性であるところ,平成16年5月26日, N妻 (昭和58年2月3日生まれ)と 婚姻の届出をし、長女(平成16年生まれ) 及び二女(平成19 年生まれ)の2子をもうけた。 

(イ) 原告の妻Nは,正看護師の資格を取得したいと考え,平成28年4月に看護専門学校に入学したところ,この頃から飲みに出歩くようになり,平成29年2月頃からは週に4,5回は夜中に帰って家事や子育てをしなくなり, 不貞を疑う原告と口論をすることも多くなって,同月26日から原告とは別の部屋で就寝し原告との性的関係もなくなった。 

(ウ) 原告は,平成29年2月27日, 妻Nに対し, LINEで「止めないから夜働け」, 「努力をしないでクズなんだからクズらし いセイカツヲしろ」, 「俺の金で生きようとするな」とのメッセージを送ったところ,奈緒は, 「就職して子供といえでてく」と 返信し,原告から「親はクズ, 浮気はする, 家事や育児はしない,家族と噺もしない, 学校は自主退学で親権取れるわけないだろ。 一人で名古屋帰れ」とのメッセージを受けると,「浮気なんかしてない。子供と離れたくない」,「名古屋になんて帰らない」, 「家事と育児はもう少し気をつける」と返信した。 これに対し, 原告は, 「ありがとう」,「朝は言い過ぎたごめんね」と返信した。 

(エ) 原告の妻Nは,平成29年7, 8月頃に知り合った男性と親密な関係となり,同年9月30日, 理由も行先も告げずに独りで自宅を出て原告と別居するに至った。 

(オ) 原告は, 平成29年10月29日から同年11月7日までの間,妻NとLINEで次のようなやり取りをした。 

原告 「Nちゃんは幸せになれそうですか?3人の不幸と引き換 えに得る訳ですから何としても幸せになるようにしてください。」 

原告 「Nのことを思う気持ちと憎いと思う気持ちと交互に浮かんで,整理がつきません。」 

原告 「念の為だけど, 帰って来るのをいつでも待っているからね」 

原告 「鬱症状がでているのですが、 育児が出来なくなったらどうしたら良い?情けない話で申しわけない。」 

妻N「離婚してください。 子供は私が引き取ります。」 

原告 「俺や子供の人生を滅茶くちゃにして, みんなに怨まれても離婚したいの?」 

妻N「はい! したいです。」  

(カ) 原告は,平成29年11月9日 妻Nに対し, LINEで「元気?みんな寂しがってるから帰っておいで」などのメッセージを送るほか,その後も送信をしたが, 同人からの返信はなかった。妻Nは,同月末頃,原告を相手方として,婚姻費用分担調停及び夫婦関係調整 (離婚) 調停の申立てを横浜家庭裁判所●支部にした。原告は,同年12月8日、妻Nに対し, LINEで「せめてもう少し話ができるかと思ってたよ。 ・・・もうみんな終わりだね。こっちももう終わりだから。」, 「さすがに我慢できないから。」, 「ここまでやることない,とかは無しね。 地獄はあなたが選んだ道なんだから。」 などとメッセージを送った。 

(キ)原告は,平成30年に入って, 妻Nを相手方として夫婦同居調停の申立てを横浜家庭裁判所●支部にしたところ, 妻Nは,同年8月,原告との家事調停事件係属中,訴訟代理人を務める弁護士の被告M栄一弁護士と性的関係をもつようになり、 同年9月頃から, 同被告の自宅で同居生活を始めるようになった。 同被告は,同月26日,原告に対し,電話で妻Nと同棲していることを告げ,離婚をするよう求めたが、 原告は応じなかった。 

(ク) 原告は,家事調停事件において提出した平成30年9月30日付け主張書面において, 妻Nが不倫を繰り返しており,同月頃から被告M栄一弁護士とも交際を開始して同棲をしているなどと主張する一方,妻Nに対する愛情は喪失しておらず、 同居後の生活については,妻Nが家庭内暴力を主張していることも考慮して,夫婦げんかをしないように心がけ、 相手のことを責めず認めるように努め,具体的な関係修復方法は専門書を参考にし, 心が落ち着いてきたら趣味や旅行などを計画するとも主張した。 (原告の妻Nは,離婚調停が平成30年10月4日に不成立で終了すると,同月16日, 離婚訴訟を横浜家庭裁判所●支部に提起したところ、同支部は,令和元年8月5日に妻Nの請求を棄却し,東京高等裁判所も令和2年2月13日に妻Nの控訴を棄却した。 

以上の事実関係によると,被告M栄一弁護士は,原告の妻Nに配偶者がいることを知りながら, 平成30年8月以降同人と不貞行為に及んだことが認められる。これに対し,被告M栄一弁護士は, 抗弁のとおり主張するところ,前示事実関係によると、原告の婚姻関係は,平成29年11月末頃には相当程度悪化していたということができるものの,原告は,平成30年に入って夫婦同居調停の申立てをするとともに,同年9月26日に被告M栄一弁護士から妻Nと同棲していることを告げられた後も家事調停事件において提出した同月30日付け主張書面において,妻Nに対する愛情は喪失しておらず,同居後の生活については,妻Nが家庭内暴力を主張していることも考慮して, 夫婦げんかをしないように心がけ; 相手のことを責めず認めるように努めるなどと主張しており,婚姻継続の意思を失っておらず、関係修復のための努力をしていたのであって,同年8月の時点で原告の婚姻関係が破綻していたとまでいうことはちゅうちょされ,他に抗弁事実を認めるに足りる証拠はない。

(3)請求原因 (1) ウについて判断する。 

被告M栄一弁護士の不貞行為の期間, 原告の年齢,家族構成その他原告主張の点を含む本件に現れた一切の事情をも併せ考慮すると,原告が被告の不貞行為によって被った精神的苦痛を慰謝するには, 100万円が相当である。 もっとも,証拠 (甲3, 79, 乙14, 15) 及び弁論の全趣旨によると,原告は,妻Nらを相手方として,被告M栄一弁護士との不貞行為により精神的苦痛を受けたと主張して慰謝料440万円 の支払等を請求する訴訟を提起したこと,当該訴訟の控訴審判決(東京高等裁判所令和4年7月20日判決)は,妻Nに対し,当該不貞行為に係る慰謝料100万円を含む352万円及び遅延損害金の支払を命じたところ, 同人は,同月21日 当該判決に従い,遅延損害金を含む401万5615円を原告名義の銀行預金口座に振込送金したことが認められ,以上の事実関係によると,原告の損害は全て填補されたというべきである。 

(4) 以上によると, 原告の請求は、理由がない。 

2 請求原因(2) について 

(1)請求原因 (2) アのうち, 被告M章及び被告Kが,被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であること,被告M井章及び被告Kが,原告の妻Nが平成30年10月15日付け訴状を提出して提起した離婚等請求訴訟における同人の訴訟代理人であったことは,原告と被告松井章及び被告河野真実との間で争いがなく,証拠 (甲6,1424,53,54,78,乙16)及び弁論の全趣旨によると, 当該被告両名は,同じく訴訟代理人である被告M栄一弁護士と共に,当該訴訟において,請求原因 (2) ア1ないし10のような主張立証をすることに関与したことが認められる。 

しかしながら,証拠(甲624,53, 5 3, 54, 78,78,乙16)及び弁論の全趣旨に照らすと,これらの主張立証は,準備書面における 

主張　妻Nの陳述書における記載又は原告の本人尋問における反対尋問としてされたところ, 原告との性格の不一致という抽象的な離婚原因の一つについて具体的に主張立証するためにされたもので,原告の性格や性情等を具体的に裏付ける事実に関するものであるし,当該訴訟の争点が多岐にわたることから当該争点を立証するために陳述書において専ら妻Nの主観や記憶に基づき原告に関する広汎かつ具体的な事柄が糾弾的に記載されることもやむを得ないというべきであるし, 反対尋問は,主尋問においてした供述内容等の信用性や合理性を糾弾するために行われるものであり、尋問の内容が相当程度に先鋭的になったり糾問的になったりすることもやむを得ないところ,当該反対尋問は,原告の供述内容等の信用性や合理性を糾弾するために行ったことが明らかである上, 裁判官の訴訟指揮に従ってそれ以上の尋問は速やかに控えており、 以上の点を考慮すると,当該主張立証は,必ずしも穏当ではない表現が使用されているとしても、訴訟活動に名を借りて専ら原告の人格攻撃を意図したものであるとまでいうことはできず,正当な訴訟活動の範囲を逸脱するものとは認められないのであって,原告に対する名誉毀損・侮辱的行為として不法行為となることはないというべきである。 

(2) そうすると,原告の請求は、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がない。 

請求原因 (3) について判断する。 

(1)請求原因 (3)ア(ア)のうち, 被告M栄一が被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であること, 同被告が,被告M井章及び被告Kと共に,原告の妻奈緒が平成30年10月15日付け訴状を提出して提起した離婚等請求訴訟における同人の訴訟代理人であったことは, 原告と被告M栄一との間で争いがない。 

原告は,被告M栄一弁護士が請求原因 (3) ア(ア)a ないしょの行為をして原告ら夫婦間の葛藤を高め、婚姻関係の破綻又は悪化を招いたと主張するところ, a については,2において判示したところに照らして理由がなく,bについては,証拠(甲6,8) 及び弁論の全趣旨によると, 被告M栄一は, 保険証の返還を求める原告に対し, 妻Nの訴訟代理人として返還請求等の別訴の提起を促し返還に応じなかったことが認められるものの,この一事から直ちに同被告が妻Nに社会保険の不正使用をさせたと推認することは困難であり、他に当該事実(同被告が妻Nに社会保険の不正使用をさせたこと)を的確に裏付ける証拠はないし,cについては,証拠 (甲9,10)及び弁論の全趣旨によると, 妻Nは,平成30年8月22日, 奨学貸与金の返済を求める●協同病院(神奈川県厚生農業協同組合) に対し, 返済能力がないと述べたこと,被告M栄一弁護士は,同年11月13日, 妻Nの代理人として,●協同病院に対し, 妻Nに返済能力はなく, 法的措置を講じるか連帯保証人に対する請求をするように要請する旨回答したことが認められ,奈緒が返済しなかったのは, あくまで資力がなかったことが原因であることうかがわれる一方,原告夫婦の関係を悪化させる意図があったことを的確に裏付ける証拠はなく,被告M栄一弁護士の前示対応が原告に対する不法行為となることはないというべきであるから, 原告の前示主張は理由がない。 

(2)請求原因(3) ア(イ)のうち, 被告M井章及び被告Kが,被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であること, 被告M井章及び被告Kが,原告の妻Nが平成30年10月15日付け訴状を提出して提起した離婚等請求訴訟における同人の訴訟代理人であったことは, 原告と被告M井章及び被告Kとの間で争いがないものの、2において判示したところに照らすと,当該訴訟における主張立証が原告に対する不法行為となることはなく、請求原因 (3) ア (イ)は理由がない。 

(3)被告M栄一が被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であること原告が,平成31年4月15日,令和3年5月30日及び同年8月2日,同被告に対し,被告M栄一の原告の妻Nとの不貞関係等について相談をしたり, 同被告の不法行為を止めるように指導監督を依頼したり,被告第二東京弁護士会には被告M栄一を指導監督する責任があると主張したりしたこと, 被告第二東京弁護士会が指導監督をしようとしなかったことは,原告と被告第二東京弁護士会との間で争いがない。 

これを本件についてみると, 原告が主張する不貞行為はあくまで被告M栄一の私生活に関する事項である一方, 原告が懲戒手続をとることに障害があったとはうかがわれず, 前示した特別の事情があったことを的確に裏付ける証拠はないのであり, 被告第二東京弁護士会が前示のような対応をしたことが原告に対する不法行為となることはないというべきである。 

(4)被告M栄一が被告第二東京弁護士会に所属する弁護士であること, 原告が, 令和3年8月8日,被告日本弁護士連合会に対し, 被告第二東京弁護士会が指導監督を怠っていることを説明して被告M栄一に対する対応を求めたが拒まれたことは, 原告と被告日本弁護士連合会との間で争いがないものの, (3) において判示したところに照らすと, 被告日本弁護士連合会が前示のような対応をしたことが原告に対する不法行為となることはないということができる。 

(5) 以上によると、原告の請求は、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がない。 

よって,主文のとおり判決する。 

横浜地方裁判所相模原支部 裁 判　官 小林 邦

という判決でした。

弁護士に非行、品位なき行為があれば先ずは所属する弁護士会に懲戒請求を申立てすべきという裁判所の判断ですが弁護士会とくに二弁に懲戒請求を申出ても、ほぼ棄却されます。二弁や日弁連が処分しないから提訴するしかないのですが・・・