懲 戒 処 分 の 公 表  日本司法書士連合会
日司連懲戒処分の公表及び開示に関する規則に基づき、懲戒処分事例について次のとおり公表する。
「懲戒1」懲戒処分者 
事務所  和歌山県和歌山市黒田二丁目1番8号 
司法書士 野田 真秀 
上記の者に対し、次のとおり処分する。
    主 文
戒告に処する。
     理由 
第1 事案の概要 
本件は司法書士野田真秀(以下「被処分者」という)が受任した成年後見業務について、被後見人の死亡により後見人の任務が終了したにもかかわらず、後見業務に関する最終管理計算報告書等について、民法第870条に定める報告期間を徒過した上、〇家庭裁判所(以下〇家裁)からの再三の督促にも応ずることなく、1年以上にわたって裁判所に対する報告を怠り正当な理由なく放置したとして和歌山県司法書士会から和歌山地方法務局に対s手司法書士法に基づく報告がされた事案である。
第2 認定事実 
以下の事実が、和歌山県司法書士会の調査報告書及び被処分者の供述その他の一件記録から認められる。
1 被処分者は、平成19年10月30日、司法書士となる資格を取得し、平成20年3月18日付け登録番号〇号をもって司法書士の登録を受け、同日、和歌山県司法書士会に入会し、司法書士の業務に従事しているものであり、これまでに懲戒処分歴はない
2 被処分者は平成28年2月〇日に審判確定の成年後見業務(以下「当該後見業務」という)を受任し後見人に就任したが、その後被後見人が平成30年〇月〇日に死亡したため、被処分者は、翌々日、〇家裁に死亡報告をした。
3 被処分者は子請け人の任務終了後、民法870条所定の期限である平成30年〇月〇日までに当該後見業務に係る最終管理計算報告書等を提出する必要があったが、同日を過ぎても〇家裁に対し、当該書類を提出せず、その後も、〇家裁から督促を受けながら、提出しなかった。
4 〇家裁は、平成31年2月〇日、被処分者に対し改めて、当該後見業務に係る最終管理計算報告書等の提出を督促した、これに対し被処分者は、被後見人の相続財産管理人の選任申立てが必要となったため、この件と合わせて最終管理計算報告書等を提出する旨を回答した。
しかしながら、被処分者は、その後も、〇家裁に対し、最終管理計算報告書等を提出しなかった。
5 〇家裁は、令和元年8月〇日、被処分者に対し、同月〇日を最終報告期限として、当該後見業務に係る最終管理計算報告書等を至急提出するよう督促した、しかしながら、被処分者は期限までに最終管理計算報告書を提出しなかった。
なお被処分者は同月〇日、〇家裁からの問い合わせに対し、同年9月〇日には最終管理報告書等を提出する旨回答したが、同日までに提出は無かった。
6 その後、被処分者は令和元年9月〇日、〇家裁に対し、被後見人の相続財産管理人選任を申し立てたが、最終管理計算報告書は提出されず、同月〇日になって同報告書等を提出した。
第3処分の裁定 
1 前記2の2から6までによれば、被処分者が後見人に就任してから、その任務完了まで当該業務に関する事務処理を正当な理由もなく放置して遅延させたことは明らかであり、その行為は司法書士の信用を失墜させるものとして、司法書士法第2条(職責)第23条(会則の遵守義務)和歌山県司法書士会則第79条(品位の保持)第87条(依頼事件の処理)第98条(会則の遵守義務)に違反する。
2 上記1の違反行為は、司法書士及び司法書士法人に対する懲戒処分の考え方(処分基準)別表違反行為の欄番号11「受任事件の放置」に準ずるものと認められ、懲戒処分の量定としては「戒告又は2年以内の業務停止」が相当とされている。
3 被処分者は、正当な理由なく最終管理計算報告書等の提出を1年2か月もの間、放置したものであり、その結果は軽いものとはいえない。しかしながら、被処分者は、令和元年7月から〇〇の治療を受けており、それ以前から当該疾患が被処分者の業務に影響を及ぼしていたと考えられる。また被処分者は本件について反省の態度を示しており、平成19年の開業以来懲戒処分もない。これらの事情は被処分者にとって酌むべき情状といえる。
4 よって、これらの事情を考慮し、司法書士法第47条第1号の規定により被処分者を主文のとおり処分する。
令和4年11月18日 法務大臣 齋藤 健