東弁会報リブラ 2023年9月号
懲戒処分の公表 安岡隆司弁護士
東京弁護士会会報 懲戒処分の公表
東京弁護士会所属の弁護士、弁護士法人が戒告以上の処分を受けた時に会報リブラに処分要旨が掲載されます。この後に日弁連広報誌「自由と正義」にも処分要旨が掲載されます。
東弁会報 リブラ
https://www.toben.or.jp/message/libra/
懲戒処分の公表
本会は下記会員に対して、弁護士法第57条に定める懲戒処分をしたのでお知らせします。
被懲戒者 安岡隆司(登録番号31683)
登録上の事務所 東京都中央区日本橋箱崎町16-1 東益ビル2階
弁護士法人箱崎総合法律事務所
懲戒の種類 業務停止10月
効力の生じた日 2023年6月15日
懲戒理由の要旨
1 被懲戒者は、2018年12月頃、懲戒請求者Aから債権回収事務を受任し着手金を受領したが、その際、委任契約書を作成せず、受任から約2年間事件処理に着手せず、懲戒請求者Aに対し報告や説明も行わずに放置した。これらの行為は弁護士職務基本規程(以下「基本規程」という。)第30条第1項、第35条及び第36条に違反する。
2 被懲戒者は2020年6月頃、建物明渡訴訟の被告代理人に就任したが、相手方である懲戒請求者B代理人からの度重なる連絡や問い合わせに何の回答もせず交渉の進展を阻害し、訴訟事件の期日に2度にわたり無断欠席し訴訟事件を遅延させた、これらの行為は基本規程第76条に違反する。
3 被懲戒者は、2020年11月頃、懲戒請求者Cから離婚事件を受任し着手金を受領したが、委任契約を作成せず、相手方代理人から懲戒請求者Cにとって重要な内容が記載されている書面を受領しながら懲戒請求者Cに10日あまりの間報告せず、懲戒請求者Cから依頼された市に提出する児童手当に関する書類を提出期限までに作成せず、懲戒請求者Cから事件処理の遅滞を理由に解任され着手金の清算を求められてもこれを行わず、委任事件終了後も録音媒体等返還しなかった。これらの行為は基本規程30条第1項、第35条、第36条、第39条及び第45条に違反する、
4 被懲戒者は、2020年9月頃、懲戒請求者Dから貸金請求事件を受任し、着手金を受領したが、委任契約を作成せず、事件処理を遅滞し、懲戒請求者Dから解任され着手金と預かり資料の返還を求められてもこれを行わなかった。これらの行為は基本規程第30条第1項、第35条及び第45条に違反する、
5 被懲戒者は、2021年3月頃、懲戒請求者Eから離婚調停申立及び面会交流申立事件を受任したが、調停を成立させるために懲戒請求者Eが相手方に支払う財産分与の額に被懲戒者が100万円を自ら補填することを約束し実際に支払い、また面会交流事件について懲戒請求者Eに連絡せず、報告、協議を怠った、これらの行為は基本規程第25条及び第36条に違反する。
6 被懲戒者は2021年11月と12月、本会から本会が苦情を受け付けた事件の処理状況について報告書を提出すべき旨の指示を受けたにもかかわらずこれに応じず、2022年1月、本会から預り金等の取扱いに関する会規第9条に基づく照会を受けたにもかかわらずこれに応じなかった、これらの行為は、本会の市民窓口業務の遂行及び本会の被懲戒者に対する指導・監督権の行使を不能ならしめたものであり、また預り金等の取扱いに関する会規第10条第1項に違反する。
7 被懲戒者は2018年8月頃、懲戒請求者Fから損害賠償請求訴訟を受任し着手金を受領したが、一部被告に対する訴えを懲戒請求者Fに無断で取下げ、訴え取下げ後に新たに同人から受任した被告に対する訴訟及び強制執行事件の処理を行わず、その後、懲戒請求者Fから解任されたことによる着手金の清算及び預り資料返還の義務があったがこれを怠った。これらの行為は、基本規程第22条、第35条、第39条及び第45条に違反する、
被懲戒者の上記行為は、弁護士法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
2023年6月27日 東京弁護士会会長 松田純一