当会会員に対し、当会綱紀委員会へ調査請求した旨の公表について

当会は当会会員に対し、懲戒の事由があると思料したため、大阪弁護士会会則第116条第1項に基づき、懲戒の手続に付し、綱紀委員会に事案の調査を求めました。本件につきましては、弁護士自治に対する社会の信頼を維持するため、大阪弁護士会会則第122条第1項に基づき公表いたします。

当会会員に対し、当会綱紀委員会へ調査請求した旨の公表について

2023年(令和5年)12月20日

大阪弁護士会  会長 三 木 秀 夫

当会は、下記会員(以下「対象会員」といいます。)について、懲戒の事由があると思料したため、大阪弁護士会会則第116条第1項に基づき、懲戒の手続に付し、綱紀委員会に事案の調査を求めました。本件につきましては、弁護士自治に対する社会の信頼を維持するため、大阪弁護士会会則第122条第1項に基づき下記のとおり公表いたします。    

                記

1 対象会員の氏名等  氏 名 川口正輝  登録番号 54970
事務所の名称 G&C債権回収法律事務所
事務所の所在地 大阪市北区天神橋1-19-8MF南森町ビル9階

2 事案の概要(当会が綱紀委員会に調査を求めた理由)
(1) 弁護士法第27条に違反すること
対象会員が依頼者から国際ロマンス詐欺及び国際投資詐欺に関する事件を受任するにあたり、対象会員と業務委託契約を締結した広告業者及び当該広告業者から派遣され又は紹介された事務員(以下「広告業者事務員」という。)は、業務委託料として報酬を得る目的で、詐欺事件の被害者から加害者に対する金銭返還請求という法律事件に関して、対象会員による具体的な指示に基づくことなく、依頼者から事情を聴取し、報酬額を決定して、委任契約を締結するという法律事務を取り扱っており、これを反復継続す
ることで業として行っていた。広告業者及びその代表者、並びに、広告業者事務員は、いずれも、弁護士又は弁護士法人ではなく、また、これらの者によるかかる行為を許容する別2段の法令の定めもない。したがって、広告業者及び広告業者事務員によるかかる行為は、本来、弁護士が、弁護士としての専門的判断において行うべき受任手続の枢要部分を、弁護士ではない者が担っていたものとして、弁護士法第72条に違反するものである。
対象会員は、広告業者及び広告業者事務員が弁護士又は弁護士法人ではないことを認識しながら、国際ロマンス詐欺及び国際投資詐欺に関する事件について、これらの者が委任契約を締結するにあたり、その宣伝広告及び委任契約書に、対象会員及びその所属する事務所の名義を表示させていた。
かかる対象会員の行為は、弁護士法第72条に違反する者に自己の名義を利用させるものであり、同法第27条に違反するものである。また、かかる対象会員の行為は、同条と同旨を定める弁護士職務基本規程第11条にも違反するものである。
(2) 弁護士職務基本規程第9条第1項及び弁護士等の業務広告に関する規程第3条第1号乃至第3号に違反するおそれが大きいこと
対象会員による広告表示は、これを目にした国際ロマンス詐欺又は国際投資詐欺の被害者に対して、一般にこれら事件の被害回復が現実には難しいにもかかわらず、あたかも対象会員へ事件処理を依頼すれば高額の回収が実現できる可能性が高いかのように誤認させる表示であり、誤導にわたる情報(弁護士職務基本規程第9条第1項)にあたるおそれが大きい。
同様の理由により、対象会員による広告表示は、「誤導又は誤認のおそれのある広告」又は「誇大又は過度な期待を抱かせる広告」として、弁護士等の業務広告に関する規程第3条第2号及び同条第3号にも該当するおそれが大きい。
対象会員による広告表示の中で掲載されていた国際ロマンス詐欺又は国際投資詐欺に関する事件の取扱事例については、実在せず、又は、実在したとしても表示されたとおりの金額の回収はできなかった架空のものであるにもかかわらず、あたかも対象会員の事務所が実際に過去に取り扱った事例であるかのように表示しているものであって、虚偽の情報の提供にあたるおそれが大きい(弁護士職務基本規程第9条第1項)。

同様の理由により、対象会員の広告表示の一部については、「事実に合致していない広告」として、弁護士等の業務広告に関する規程第3条第1号にも該当するおそれが大きい。
(3) 弁護士職務基本規程第29条第1項に違反すること
対象会員は、国際ロマンス詐欺及び国際投資詐欺に関する事件を受任するにあたり、対象会員みずから依頼者との面談又は電話面談を行っていなかったのであり、事件の見通しや処理の方法について、依頼者に対し直接説明をすることはなかった。また、対象会員は、広告表示により、対象会員へ事件処理を依頼すれば高額の回収が実現できる可能性が高いかのように誤認させることで依頼を受けていたのであり、依頼者に対し、これら事件の被害回復が現実には難しいという事件の見通しを説明することはなかった。
かかる対象会員の行為は、事件の受任にあたり、依頼者から得た情報に基づき、事件の見通しや処理の方法について適切な説明をすることを義務付ける弁護士職務基本規程第29条第1項に違反するものである。

3 綱紀委員会に調査を請求した年月日  令和5年10月23日

4 相談窓口
当会は、対象会員の依頼者等からの相談に対応するため、次のとおり特設電話相談窓口を設置いたします。
日時 12月20日 午後1時から午後5時12月21日、22日、25日及び26日
午前10時から午後5時(正午から午後1時までの時間帯を除く。)
電話番号 06-6364-8951

以上

G&C債権回収法律事務所  https://grandciel-law.jp/individual/

報道

(速報)着手金9億円以上か…「ロマンス詐欺」関連業務を資格持たない企業等にさせたか 大阪弁護士会   12月20日MBS

MBSニュースhttps://www.mbs.jp/news/kansainews/20231220/GE00054359.shtml