第一東京弁護士会がなした懲戒の処分について、同会から以下のとおり通知を受けたので、懲戒処分の公告及び公表等に関する規程第3条第1号の規定により公告する。
記
1 処分を受けた弁護士氏名 玉里友香 登録番号 39962
事務所 東京都中央区銀座8-14-11 ワイエヌ銀座ビル10階FLS-A レアーナ法律事務所
2 懲戒の種別 業務停止2月(2021年8月20日 処分変更 業務停止1月)
3 処分の理由の要旨
(1)被懲戒者は、株式会社Aの代表取締役B及び取締役Cが解任され、Dが代表取締役であるとの認識の下に、A社の代理人として、その債権者に対し2014年1月29日にDが代表者である旨記載した支払猶予を求める内容の通知書を送付しておきながら同年3月5日にDから話を聞いたときにはDら新経営陣の都合からB及びCが取締役に留任しておりDが代表取締役を辞任したと主張することにしたことを認識しながら、特に事実関係を問いただすことも異を唱えることもせず、同月7日、B及びCに対して、A社の代表取締役又は取締役としの職務一切を放棄しているなどとする上記通知書と矛盾する内容の各通知書を送付し、またA社の債権者に対し、同年4月3日、A社に対する債権の支払に関して代表取締役であるBの代理人に対して問い合せをするように依頼する旨の通知書を送付した。
(2)被懲戒者はEを原告、株式会社Fらを被告とする建物明渡請求訴訟事件の訴訟上の和解が成立した後、2015年10月15日頃、上記和解内容に不満があるとするF社から上記和解の無効等の相談を受け受任したが、F社の代理人として上記和解の無効を主張する請求異議の訴えにおいて提出した同年12月18日付え訴状訂正申立書に相応の根拠がないにもかかわらず、上記和解成立当時Eの代理人であった懲戒請求者G弁g氏とF社の代理人であったH弁護士が『内通しており、馴れ合い的な関係にあった』などと記載し、懲戒請求者G弁護士の名誉を一著しく棄損した。
(3)被懲戒者は2016年2月5日、上記(2)の事件に係る建物に関する賃料減額等について正当な理由がないにもかかわらず、Eの代理人である懲戒請求者G弁護士の承諾を得ないでE及びEの関係者らと面談し直接交渉を行った。
(4)被懲戒者の上記(1)の行為は弁護士職務基本規程第31条に違反し、上記(2)の行為は同規程第6条及び第70条に、上記(3)の行為は同規程第52条に違反しいずれも弁護士法法第56条第1項に定める弁護士としての品位を失うべき非行に該当する。
4処分が効力を生じた日 2020年3月26日 2020年11月1日 日本弁護士連合会
第一東京弁護士会が2020年3月26日付けで告知した同会所属弁護士 玉里友香 会員(登録番号39962)に対する懲戒処分(業務停止2月)について、同人から行政不服審査法の規定による審査請求があり本会は、2021年8月16日 弁護士法第59条の規定により懲戒委員会の議決に基づいて、以下のとおり採決したので懲戒処分の公告公表規程第3条第3号の規定により公告する。
記
1 採決の内容
(1)審査請求人に対する懲戒処分(業務停止2月)を変更する、
(2)審査請求人の業務を1月間停止する。
2 採決の理由の要旨
(1)第一東京弁護士会は(以下「原弁護士会」という。)は以下の二つの事案が併合して審理された審査請求人に係る本件懲戒請求事件につき、審査請求人を業務停止2月の処分に付した。
(2)第一事案は、審査請求人が、株式会社A(以下「A社」という)の新経営陣である代表取締役Bから旧経営陣であるC及びDを代表取締役及び取締役から解任予定であるとの説明を受け①2014年1月29日付けで、A社(代表取締役会長B)の代理人と記載して、Cらの解任を前提に、債権者に対し、取締役交代に伴い監査等を行うため支払いを猶予されたい旨の書面を送付しながら、②その後、BからA社の株主総会ではCらは解任されず、Bが代表取締役を辞任したとの説明を受け、同年3月7日付けで、A社(前代表取締役B)の代理人と記載して、Cらに対し、代表取締役及び取締役としての職務を果たすようにとの書面を送付し③さらに、同年4月3日付家で、A社(代表者の記載はない)の代理人として、債権者に対し、代表取締役CがA社の財務諸表を持ち出したなどと記載した書面を送付したとの行為につき、審査請求人はCらが株主総会で解任されており、Bの説明が実態と異なることを認識しながら、上記②及び③の書面を送付したとして弁護士職務基本規定第31条違反とされた事案である。
(3)第二事案は審査請求人が既に成立した裁判上の和解に関与した原告・被告の弁護士につき、合理的な根拠もないのに「内通しており、慣れ合い的な関係にあった」と訴状訂正申立書に記載した行為が弁護士職務基本規定第6条及び第70条に違反し、また相手方弁護士から直接交渉になるのではないかと指摘を受けていたにもかかわらず、調停の相手方と面談した行為につき同規程第52条違反とされた事実である。
(4)審査請求人の本件審査請求の理由は、要するに、原弁護士会の前記認定と判断には誤りがあり、その取消しを求めるというにある。
日本弁護士連合会懲戒委員会が審査した結果、第一事案における審査請求人の行為は、誠実かつ公正に職務を行うべき弁護士としてあり得ない行動であるが、原弁護士会の判断とは異なり、審査請求人がCらを解任していないBの説明が実態と相違することを認識していたとまでは認定することはできないと判断した、したがって、第一事案における審査請求人の行為は稚拙であるものの悪意をもって行ったとまでは認められないこと、審査請求人は真摯に反省していると認められること等を勘案すると業務停止2月は重きに失し、これを業務停止1月に変更することが相当である。
(5)なお、第一事案については審査請求人の認識の有無にかかわらず、審査請求人の行為は、会社内紛の一方当事者の言に安易に従ってしたものであり、弁護士としての基本的な心構えに欠けた極めて非常識な行為であったこと、第二事案についても弁護士にとって屈辱的な批判を安易に行うという点で、極めて非常識な行為であることを勘案すれば、審査請求を棄却すべきであるとする意見が相当数あったことを付言する。
3 採決が効力を生じた年月日 2021年8月20日 2021年10月1日 日本弁護士連合会
2020年3月26日 業務停止2月 第一東京弁護士会
2021年8月16日裁決 告知日8月20日 業務停止1月 日本弁護士連合会