棄却された懲戒の議決書を公開しています。
最近多くなりました、代理人弁護士がSNS、ラインを証拠として裁判所に提出する行為、都合のよいものや偽造変造したスクショが出されています。この事案もグループLINEのものが証拠として提出されています。
こちらから弁護士の主張を覆す証拠を提出しても弁護士会は知らぬ
いつものことですが、綱紀委員会に非行の証拠を提出しても、綱紀は「処分するに至る証拠はない」と判断されます。これくらいのことはどうしたというのでしょうね、
懲戒請求者 離婚事件の当事者(男性)
被調査人 東京都八王子市寺町43-9 中銀八王子マンシオン201
TAM法律事務所 田村良平 (登録番号54357)
当委員会第4部会は、頭書事案について調査を終了したので、審議の上、以下の とおり議決する。
主 文
被調査人につき、懲戒委員会に事案の審査を求めないことを相当とする。
第1事件の概要
事実及び理由
本件は、被調査人が、懲戒請求者の元妻の代理人としてなした主張内容や書面に記載した内容その他活動が不適切であるなどとして懲戒請求された事案である。
第2 前提事実
1 懲戒請求者とA (〇〇 (以下「元妻」という。)は夫婦であった。二人の間には、 男子2名(平成21年4月18日生、平成22年10月29日生) と女子1名の子(平成25年6月20日生) がいた。
2(1) 元妻は、 令和4年4月、子のうち女子のみを連れて家を出て、 別居を開始した。同月22日、被調査人は、別居後の元妻から、離婚に関する事件の依頼を受けた。
被調査人は、元妻、その妹及び母親がつくる「チームK(仮称)」というLINEグループ(以下「本件LINEグループ」という。)に参加し、グループLINEにて元妻から依頼を受けた事件に関する連絡や打ち合わせをしていた。
(2)被調査人は、懲戒請求者から連絡を受けるなどし、 元妻から依頼を受けた事件に関して、懲戒請求者とやりとりを行った。 また、元妻は、被調査人を手続代理人として、令和4年7月15日、東京家庭裁判所〇〇支部に離婚調停の申し立てをした。 その際の申立書には、申立の趣旨として、離婚、親権者の指定、 面会交流、財産分与、慰謝料、年金分割を求めるとの記載がされ、申立の動機欄には、「暴力を振るう」、「生活費を渡さない」との項目に○が記載されている。
そして、被調査人は、元妻の手続代理人として、上記離婚調停手続において、令和4年10月12日付け準備書面(以下「本件準備書面」という。)を作成し提出した。 また、被調査人は、調停外においても、元妻と懲戒請求者との子を巡る事情や離婚を巡る事情に関連して懲戒請求者の代理人とやりとりを行った。
(3)令和5年2月28日、 上記離婚調停手続において、懲戒請求者と元妻との間で離婚が成立し、その調停条項のなかで、 親権に関する事項、 養育費に関する事項、面会交流に関する事項、財産分与に関する事項などが合意された。
(4)上記調停成立後に、懲戒請求者から元妻に対し、 「財産分与 退職金支払い時期猶予のお願い」と題する連絡がなされた。これに対し、被調査人は、同連絡に対する回答を含む令和5年3月14日付け「ご連絡」と題する文書を懲戒請求者宛に直接送付した。
第3懲戒請求事由の要旨
1 被調査人が、 令和4年4月22日以降、懲戒請求者及びその代理人との間で裁判外のやりとりをした内容につい事実と異なる、脅迫行為にあたるその他弁護士として不適切な内容・方法に基づいており、 弁護士としての品位を害する。
2 被調査人が、 令和4年4月22日以降、元妻から依頼を受ける行為その他元妻サイドとのやりとりの内容が不適切であり、弁護士としての品位を害する。
3 被調査人が、 令和4年7月15日以降、裁判所での手続において、代理人として裁判所に提出した書類において事実と異なった内容を主張した、 また 、裁判内での対応において弁護士として不適切な行動をとっており、 弁護士としての品位を害する。
第4被調査人の答弁及び反論の要旨
1懲戒請求事由1について
いずれも否認する。 脅迫行為や暴言その他不適な内容・方法による対応をしたことはない。いずれも適正な弁護士業務の範囲で対応しているものである。 また、通知・回答等をした際の前提となる事情は、元妻から説明を受けた内容であり、その内容も問題のあるものでない。
2懲戒請求事由2について
元妻からの依頼を受任することについて不適切なことはないし、元妻及びその家族とのLINEは、懲戒請求者を含む第三者が見ることを想定していない ものであり、その内容について懲戒請求者が批判をすること自体失当である。
3懲戒請求事由3について
裁判所の書面についても、事実の歪曲とか捏造をしたことはない。書面の中に日付の記載について間違えたものがあるが、それは誤記である。書面の作成は依頼者の説明等を踏まえて行っており、懲戒請求者の批判はあたらない。
第5 証拠の標目
別紙証拠目録記載のとおり。
**
第6 当委員会第4部会の認定した事実及び判断
1 関係各証拠によれば、 前提事実は認められる。
2 各懲戒請求事由に関し、以下の事実が認められるとともに、以下のとおり判断する。
(1)懲戒請求事由1について
ア元妻は、別居に至るまでに懲戒請求者から暴言等を受け、 別居当日も服を破られるなどをした上で自宅から追い出されたと主張していたことが認められる。
また、被調査人と懲戒請求者あるいは同人の代理人とが交渉若しくは連絡その他やりとりを行う中で、懲戒請求者は、被調査人の事実認識や懲戒請求者側に対する説明に不満を持っていたことが認められる。
イ しかしながら、被調査人が依頼者である元妻から聴取した事実について虚偽と認識すべき事情はなく、同事実に対する評価について弁護士として不適切な判断をしているとも認められない。また、それらの事実認識若しくは事実に対する評価を踏まえた被調査人の裁判外の活動が、 脅迫行為にあたると認めることはできないし、弁護士として不適切な内容・方法に基づいた活動をしていたとも認められない。
ウ従って、懲戒請求事由1は認められない。
(2)懲戒請求事由2について
ア懲戒請求者は、本件LINEグループへの被調査人の記載について問題視している。
しかしながら、本件LINEグループは、 前提事実記載のとおり、元妻その妹と母親、及び被調査人の4名の限定されたメンバー間における、元妻から被調査人に依頼された事件に関しての連絡や打ち合わせのために 利用されており、そのメンバーや内容等に鑑みれば、 外部に公開されることが全く予定されていない秘密性の高いものであったと認められる。そして、本件LINE グループ上のやりとりの内容が懲戒請求者に明らかにな った事情は必ずしも明らかではないが、もとより懲戒請求者など第三者が 目にすることが全く想定されないものであったといえる。 また、本件LI NEグループ上における被調査人の発信も同グループメンバーに対してのみ宛てられたものであり、その発信内容も元妻から依頼を受けた事件に関係するものである。
そうであれば、上記のような本件LINEグループ上で被調査人のやりとりした内容が不適切なものであったとは認められず、弁護士として品位を害するものであったとも認められないし、もとより被調査人が元妻からの依頼を受任することに何ら問題はない。
イ 従って、懲戒請求事由2は認められない。
(3)懲戒請求事宙3について
ア懲戒請求者は、本件準備書面に記載された別居の年月日に関して虚偽であると主張し、その他被調査人が作成した書面に記載された事実の内容やその評価に不満を持っていること、さらには被調査人の調停手続での代理人としての活動や姿勢に不満を持っていることが認められる。
しかしながら、本件準備書面における別居の年月日の日付については、誤記であることが認められ、その誤記の程度や内容等に鑑みれば、元妻と懲戒請求者との間の紛争に関し関係者の判断を誤らせるものとは認めることができず、弁護士として品位を害するものであったとも認められない。
また、その他に被調査人が裁判所の手続において不適切な行動をとったと認めるに足りる証拠はない。
イ従って、懲戒請求事由3は認められない。
よって、主文のとおり議決する。
令和5年11月17日 東京弁護士会綱紀委員会第4部会 部会長 (記載省略)